真室川森林軌道について、探索時に私が持っていた情報は少ない。
それは、現地が遠く、私の町の図書館ではほとんど情報が得られなかったためだ。
私に与えられた情報には、以下の二つがあった。
一つは、私がこの探索を計画した原因であり、また、本路線について知るきっかけとなったWEBサイトの存在である。
それは、おなじみ『山形の廃道』だ。
そして、サイト内で公開されている「真室川町の歴史民族資料館に存在する路線地図」の画像を、作者様の好意によりお譲り頂いたものが、今回唯一の“軌道の描かれている地図”であった。
そして、もう一つは、「JTBキャンブックス刊 全国森林鉄道」の巻末に収録された全国の軌道リストである。
そこには、真室川営林署の管轄する路線として二本が示されている。
小又線 (2級) 延長12.4km 昭和6年〜39年
大沢川線 (2級) 延長8.9km 昭和18年〜40年
このデータに、頂いた地図(下)と、現在の地図を見較べて、可能な限り出発前に経路を予想した。
推定される経路は、殆どが現在の道路と異なってる。
途中には3本の隧道が、ほぼ等間隔に描かれていて、それぞれの延長が80・120・180mということも、地図から分かる。
特に、最も西よりの180mの隧道の前後は、付近に道路もなく、かなりの困難が予想された。
路線の起点は奥羽本線の釜渕駅、左の図は今回探索部をトリミングしているが、終点は鮭川の最上流部にあったようで、その付近は現在、高坂ダムに水没している模様。
また、ダム付近からはさらに西側の郡境部の山域へと延びる路線も描かれており、この支線を、併走する河川名から「大沢川線」と断定した。
となると、本線の正式名称は消去法により「小又線」となる。
地図を良く見ると、途中に「下小又」と書かれた場所を通過しており、この名を裏付ける。
それでは、実際に真室川森林軌道「小又線」の探索の成果を、紹介していこう。
今回探索の対象としたのは、鮭川沿いで、国道344号線からのアクセスが容易な高坂地区から、山中を隧道と共に貫き、小又、三滝を経て、起点釜渕へと至る部分だ。
情報の少ない状態からの、体当たりでの軌道跡探索は、これまでに無い多くの困難を伴うものとなった。
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