廃線レポート  
森吉森林鉄道跡
2003.10.11



 森吉山。

夏は登山に、秋は紅葉、冬は樹氷に春はスキーにと、その典型的なアスピーテを成す秀麗な山容は、見て楽しめるのみならず、多くの人々に憩いを与えている。
だが、この地がレジャーで脚光を浴びるようになったのは、ごく近年のことである。
それこそ、平成12年に森吉高原で開催されたジャンボリーでその名を全国に知らしめたといっても良いだろう。

ほんの20数年前まで、ここはマタギ衆の神聖な領域であり、気持悪いほどの原生林に覆われた、森であった。
ただ、県内の他の主な観光化された山と比較して、この森吉山のとくに東麓一帯の未開発度は高い。
昭和28年、小又川に竣工した森吉ダムの青い湖面に遮られるような形で、湖の北側と、森吉山を含むその南側とではほぼ交通が絶たれた。
その後、北側では林道か舗装され県道となり、また谷筋を埋め尽くすように新しい林道が伸ばされた。
森林開発の餌食になったのである。
だが、ダム湖のせいでアクセス性が極端に悪い南側の沢筋は開発が遅れ、そのうちに森吉山県立公園が制定されるなど、自然保護の機運も高まりを見せた甲斐もあって、なんと2003年現在でも、未だ自動車が殆ど近づけない一大原生林を形成しているのだ。

この森吉山東麓の粒様川を中心とした山域は、かつて山野を自由に駆け巡って暮らしていたマタギの衆たちさえも、「神様の沢」として畏怖していたという一帯なのである。

この、県内でも最も未開といってよい粒様川を目指す、今日では完全に廃れた手段が、かつてあった。
それは、森吉町の中心である阿仁前田地区から延々小又川沿いを遡行し、森吉ダムに沈んだ一帯を迂回し、その核心部へさえも到達していたという。
その名は、森吉森林鉄道。

記録によれば、その本線である森吉線の全長が33.9km、まさしくマンモス級である。
この森林鉄道は、昭和5年ごろから順次開通を見、また昭和43年にはいくつもあった支線ともども廃止となった。
また、これら鉄道網は完全には解明されておらず、実際現地で見られる軌道跡がどの支線の、或いは本線の物なのかなど、不明な点は多い。
しかしそれでも、所有している昭和42年刊行の道路地図では、阿仁前田から粒様沢源流まで誇らしげに伸びる一本の黒い線と、その途中に立ち塞がる幾つもの隧道が描かれていた。
とくに、現在では接近が極めて難しい場所となっている事は先述したとおりの森吉ダムを南に迂回する部分には、気が狂ったか、あるいは編纂者が適当に見繕ったかのような、馬鹿げた隧道が描かれているのだ。
とにかく、長いのだ。
当時の地図など正確性は無いに等しいが、それもある隧道は、3キロ。
少なく見積もっても、2キロメートルはあるようだ。
当時の県内には二つと無かったはずの全長2kmを越えるような長大隧道が、今では野に帰っているというのか?!
しかも、その存在を語る者もいないほど忘れ去られ?!

私は、始めてその地図を見た時、我が目を疑ったことを良く覚えている。
その晩は興奮で眠られず、翌日朝一で行った県立図書館で閲覧した古い地形図には、途中までしか軌道は描かれてはいなかった。
ダムの手前で行き止まりとなっていたのだ。
ありがちな展開である。
やはり、あの地図は当てにならないのか?
編纂者の乱暴な書き足しだったというのだろうか??

私は、何度と無く自問自答をしながら、約半年間、機会を待っていた。
森に分け入る機会を。

そして、2003年10月上旬。
鳥海山の山頂がこの秋初めて白く染まり、秋田市でも秋の便りを鮮明に感じるようになってきたその日、遂に計画を実行に移した。
計画名は、『森吉森林鉄道』。
目的は、森吉森林鉄道本線および、粒様沢など核心部に至る隧道部の探索と、全容の解明である。
余りにも計画範囲が広く、とても一回では達成困難な目的であったし、実際まだまだ計画は中途なのだが、現時点での探索の成果を、以下に発表したい。

長い前置きで申し訳ない。
だが、私は未だに興奮に打ち震えているのだ!
はやく、
早く次回計画を実施したい!!


長い前置きが申し訳ないだけでなく、もう一つお詫びがある。
今回の更新は、前置きだけで終了である。
本文は、次回より開始したい。
あんまりだという声が聞こえてきそうなので、怪しい隧道群を記した現在のところ唯一の紙媒体と思われる例の地図の、例の部分をアップしよう。

見てください。
そして、ツッコミを入れてください。
「こんな道、さすがにないだろう!」と。
ちなみに、この執筆時点では、まだ本当にこれらの隧道があるのかは分かっていません。 あると分かっているのにこんなにひっぱったら、いやらしいですよね(笑)
私にも、分からないんです。
 


その1

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