道路レポート  
秋田峠 盛夏編 最終回
2004.2.14



上小阿仁トンネル 〜 秋田峠ゲート
2003.8.7 12:22


 現道は峠のトンネルへ向けて、ほぼまっすぐに登っていく。
この1kmほどは旧道が残っておらず、つまらないが現道を走行する。
下りは、気持ちいいんだけどね。



 峠の前後には、やはりトンネル化以前の旧道があり、この秋田峠探索のハイライトとなるわけであるが、その手前にもう一カ所、見逃しやすい旧道部分がある。
現道が直線の場所で、やや蛇行していた旧道が、取り残されているのだ。
ここは特に閉鎖されているわけでもなく進入が容易だ。



 しかし、今回は想像以上に廃道ムードが濃くなっていて驚いた。
天気はよいのに、ここだけは異常にウェットであり、路面もぬめっている。
両側から笹を中心にした浸食が猛烈に進んでおり、かつては2車線だった道が、もう0.5車線幅を残すだけになっている。
ここは勾配の結構きついので、少し応える。


 しかし、ほんの100mほどで、あっけなく現道に合流する。
途中、右に分岐する無名の林道があり、この林道へのアクセスに旧道は利用されている。


さあ、峠までに残す旧道は、あと一つだけ。



秋田峠ゲート 〜 旧 秋田峠
12:26

 南沢から、現道のみを走行すれば約7km。
現道のピークである秋田峠トンネルが見えてくる。
あの稜線の向こうは、郡が変わり、南秋田郡五城目町となる。
本トンネルの竣工は、1981年。
これ以前に利用されていた道は、旧道として残っている。

この写真の分岐を、右だ。
この旧道入り口には、以前は開かずのゲートが設置されていたが、ある頃から解放され、今はゲートすら朽ちてしまった。
道が荒れ、もはやゲートなど無くとも通り抜けは困難になりつつあるが。



 上の写真を見ればお分かりの通り、決してこの峠は遠くない。
ご覧の「いい雰囲気」の旧道ならば、ずっと走っていたいとさえ思うのだが、峠は僅か300mほどの登り坂の先に現れる。
この時期は実際以上に荒れ果てて見えるが、まだ路面やブロックの法面などの構造自体は健在であり、草さえ刈れば利用できそうなほどだ。



 さすがに峠の直前の登りだけはきつい勾配だ。
ヘアピンカーブの先に、木々の切れ目となっている場所が、峠の切り通しである。
この部分の冬の写真もあるので、ご覧いただきたい。



 同じアングルで撮影した写真だが、夏場には確認できない制限標識が写っている。
以前は沢山残っていたように記憶している本旧道の標識も、今ではもう、数えるほどだけになっている。

確かに、道路標識を売っているのは見たことがないし、…いや個人が買える物なのか分からないが、いずれにしても、貴重な標識を悪戯目的で破損したり、持ち帰ったりするのはやめてほしい。
私からの、切なる願いである。

本レポートとは、直接関係ないのだが…。





 最後のカーブを曲がれば、秋田峠だ。
前後の区間が急なカーブで構成されているので、峠の切り通しはやや広めに作られている。
ここにも、いくつか国道時代の名残が残っている。

まずは、写真に写る案内標識だ。
残念ながら「白看」ではないが、「南秋田郡五城目町」と記されている。
反対車線側には、かつては間違いなく「北秋田郡上小阿仁村」と書かれた標識もあったが、今では支柱しか見あたらない。





 進行方向を向いて、峠の切り通しを撮影。

道の両側には雪崩防止ネット付きのコンクリート壁が設置されているが、森の浸食により見えない。

ここから先は五城目町。
レポートも終わりが近づいてきた。



 個人的に、旧秋田峠最大の見所が、この「おにぎり」だ。
非常によい状態で残っており、「上小阿仁村 割山」という補助標識まで健在だ。
この標識だけは、初めてここを通った時から、全然変わらず峠を見守っている。

今思えば、初めて来た10年くらい前には、「へぇ、この道使われてないんだな。」ということは、路面に積もった落ち葉を見て初めて知る事が出来る程度の、まだ現役に近い状態だった。

決して険しい峠道ではないといえ、管理を失った道の荒廃は進み、着実に消滅に近づいている。



 今ではもう、よい思い出の一つになってしまったが、この時は本当に死ぬかと思った。

積雪30cm、しかも俗に言うドカ雪、すなわち、おもーい水気たっぷりの雪だ。
そんな雪が膝丈まで積もった旧道を、五城目側から延々チャリ押しで登ってきたんだった。
途中から、記憶がほとんど無い。
ただただ、3歩歩いては立ち止まり、息を整えた。
僅か3歩だ。
そのことだけは、鮮明に覚えている。
チャリが、あんなに重かった日は、他になかった。
とっくに濡れた足は感覚が麻痺し、己の体重すら、痛みとしてしか感じられなかった。
あともう1km峠が遠かったら、冗談抜きで、私は意識を失っていただろう。
もちろん、そのまま…この低山でも…死亡したに違いない。




旧 秋田峠 〜 秋田峠トンネル
12:29

 秋田峠を後にすると、道は初めて下りに転じる。

この先は、全体的にこれまで以上の荒れ方だ。
特に、路面の荒廃が著しく、アスファルト上に既に土が出来上がり、毎年急速に劣化が進んでいるようだ。
残った道幅は、ほぼ1車線以下であり、自動車で立ち入るなら、車体が傷つくことを覚悟すべきだ。



 結構な勾配で下っておりつい速度が出るが、路面はぬるぬるしている場所が多く、操作を誤れば転倒する。
小さな倒木や落石も散見され、慎重に通行することを希望したい。



 殆ど視界の開ける場所のない秋田峠だが、この辺りで僅かに西側の展望がきく。
まあ、見えるのは鉄塔が点々と続く杉の森ばかりだが。

ガードレールが、現状からは信じられないほど遠くにあるが、これはもちろん、かつてはこれだけの幅があったということだ。
センターラインの白線も、まだ微かに認められる。



 さらに500mほど進むと、道は鋭いヘアピンを二、三度描いて、現道に合流する。
ちょうど、現道の秋田峠トンネルの五城目側坑口の上部すれすれを通っており、現道の往来を見下ろすことが出来る。
夏場は、余り視界が利かないが…。

写真の箇所は、ちょうど坑口上部のヘアピンだが、アスファルトは緑の下に消えてしまっていた。
あと数年すればここにも幹が育ち、本当に四輪車は通行できなくなるだろう。




 木々の隙間から見下ろす現国道。
3桁国道にしては通行量も多く、特に大型車が目立つ。


 で、現道に合流。

こちら側にも、特に閉鎖物はなく、自由に進入できる。

合流後は、500mほど現道を下る。
この部分の旧道は、現道によって消失してしまった。
そしてまた、旧道が左に現れるのだが、これが今回のレポート最後の旧道区間だ。


秋田峠トンネル 〜 川堤
12:36

 秋田峠現道にある4つのトンネルのうち、最も短い五城目トンネル。
峠区間では、これが最後のトンネルである。
現道はこのトンネルと前後の橋によって、山河を直線的に横断しているわけだが、やはりここにも旧道が存在する。
峠区間としては、最後のまとまった旧道部であり、このレポートの最後を飾る区間だ。


ちなみに、この旧道部分は、本レポートの前身である「厳冬編」にも紹介している。
というか、五城目側から、この合流点まで描いて、私は力尽きたのであるが。

要するに、ここから先は既に紹介済みと言うことだ。
季節による印象の違いを、確かめてほしい。




 ロープゲートの痕跡があるが、やはり解放されている。

旧道は、富津内川の源流部の流れに沿って、現国道とは違い地を這うように進む。




 雑木林の中、緑のアスファルトに2条の轍が敷かれているという、なんとも味わい深い区間だ。
崖側の落石防止用のネットは、もう殆どが落石と共に落ちてしまい、延々と支柱だけが法面の上に続いている。
本来の色を留めている物は何もなく、道自体、緑の世界に取り込まれてしまったかのよう。

美しい。



 ぐねぐねと蛇行しながら下っていく。
その途中には、うっかりすれば見落としてしまうだろう標識が、まだ残っていた。
最近では殆ど見かけることが無くなった「警笛鳴らせ」だ。

今現役の国道では、全国にいくつ残っているんだろう。
整備された道には絶対に不要な標識だもの。

もちろん私も、チリリンと、蝉の声に掻き消されながらも鳴らしましたよ。
道交法遵守!!


 また、こんな場所もある。

崩れた土砂が道幅を狭めており、2輪車以外の通行は難しいかもしれない。

ずっと下りなので、ペースよく探索はすすみ、そして。



 ついに開放的な景色の合流点だ。

ここで、峠区間の主だった旧道は終了となる。
本当に僅かな物も含めれば、まだいくつもあるのだけど。
また、このまま何キロか下れば川堤の集落跡があり、その先は徐々に民家も増えていく、するとそこにもバイパス化から取り残された旧道が、多数存在している。
これらについては、「厳冬編」に紹介したとおりである。




 これが、旧道の合流点だ。

秋田峠の現道は、本当に立派な峠道だが、チャリには些かつまらなすぎる。
その点、旧道は楽しい。
現道に比べて危険は有るが、各人の嗜好に合わせ、どの部分にチャレンジするかを選びながら進むのも楽しかろう。

私は、手軽で遊び方の幅も広い本旧道が、大好きだ。




 川堤集落跡のすぐ手前に、ご覧の脇道が、国道の東側に分かれている。

これこそが、“極悪路”笹森峠に至る道だ。


…いずれ、また…。




  お ま け

簡単な地図を作成した。

探索の役に立てば幸いである。











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