走破レポート  畑の沢林道 その4
2002.5.22


 長い沢の道をのり越え、峠に向けての登攀が始まった。
そして間もなくヨッキれんの眼前に広がった、峠への遠大なパノラマ!
この道への愛を思い出し、弾む気持ちで先を急ぐ。
このときはまだ、これからおきるアクシデントのことを知る由もない…。
<地図を表示する>


断崖地帯直前
2002.5.16 15:25
 険しさを増す斜面に張り付くようにグネグネとした道を登って行くと、路面もいよいよ荒れてくる。
また、幅も狭くなり、車一台やっととなる。
いよいよ、先ほど眺めた断崖の道が目前に迫っている。
 あの角を曲がると…。


断崖絶壁の道
15:26
 で、その場所。

 正直、写真では迫力をうまく表現できなかったのですが、まさしくここが、で見た、断崖にかかる道です。

 道の端に立って、直下の沢筋を見下ろすと、足がすくみました。
ベタな表現だけど、ホントそう。
底までの直角に近い断崖の高さは、100mはあります。
真下を撮った写真もあるけど、全然遠近感が表現できなかったので、やや遠くを写した写真を載せてみました。
さっきまで、この沢の底のあたりを延々走って来たのです。
「結構高そうだなぁ。」って、感じていただけました?

 難しいなー、写真で迫力を出すのって…。
 どうも納得できないので、苦し紛れにもう一枚。
これが一番、この場所の雰囲気出てます。

 ごつごつした岩肌。
おざなりな落石防止(できそうもない)ネット。
凹凸の激しい路面と、その狭さ。
そして…、
おい、車写ってますよ。軽トラが。
 実はこれ、この日の畑の沢で、唯一(動いてる)車とすれちがったワンシーン。
このとき初めて、思った。
「もしや、抜けられるのかも。復旧しているのかも。」って。

軽トラの親父曰く、「どごがら来た??」

プッ、…何で彼らの発言は、いつも大体同じなのでしょうか?
当然、町から来たのですよ。

峠までのパノラマ
15:30
 無理に写真をつなげたので、ちょっとブレがひどいですが、右に方に写る土壁が峠のすぐ手前のもの。
海抜600mをやや越える、一帯の稜線が間近に迫ってきています。
峠は近いのです。
気持ちよくてサイコー!
15:33
 なんとも気持ちの良い道。
こんな上部まで伐採の手が伸びているのは嘆かわしいことかもしれないのだが、太陽と風を全身に受けて走れる、贅沢な道です。
 手が届きそうなほど近づいた西側の稜線。
あれを越えれば井川町大又沢。
さっきもどっかで出てきたフレーズですが、この道を走っていると、俎山の壁は何度も何度も眼前に聳え立ち、その都度道が折れて、でもまた高度を稼いだ頃に眼前に…、と繰り返すので印象に残ります。
でも、この様に向き合うのも、この場所が最後のようです。
 後はそっぽを向いて、一路、東側の稜線越えに専念です。
あそこがかつての…
15:39
 そう。
あそこが、99年に最後に走ったときにも、あらゆる通行を遮断していた場所だったはず。
それはそれはひどい崩壊であった。


 が、今年はどうやら…。
さっきの軽トラも、戻ってくる気配も無いし。
しかも、前は激しく廃道化が進んでいたこの辺の道も、至って良好。
だんだんと、予感が確信に変わってくるのであった。

 もう早くその場所にたどり着きたくて仕方が無いヨッキれんであった。
まさかの、ヤラレ!
15:42
 3分くらい前から、なんか背中がむずがゆいような感覚があった。
うーん。
これって、予感?
…なんのって?

 
 ……そう。
なんか、タイヤがブミブミ言ってるような気がするかなーッ、っていう。
もうお分かりだろう。
パンクである。
後輪の空気が、あれよあれよと言う間に抜けて…、『ぶりぶりぶり』となった。

 そもそも、この道を走り始めた時点で、因縁のようなものがあったのだ。
かつて、保土ヶ谷と一緒に、この地で夕暮れを迎えてしまった最大の原因も、やはり、私のパンクであった。
だから、この道は、要注意であったはずなのだ。

 根拠は無いが、何故か、パンクのことが気になる時って、本当に、パンクする。
そういう、経験則が、またも現実に…。
皆さんも、そういう気、しません?!

 しかし、焦ることは無いじゃないですか。
あの頃の俺とは違うのだよ。
パンクぅ?
ハッ、楽勝。

 と、は、この写真の表情は言ってませんね。(ハァ…)

 弁解。
さすがにパンク修理ぐらいは、手馴れましたとも。
しかし、実は侮れないんですよ。
 もし…、チューブ出してみて…、チューブが裂けていたら…。どーすんの!
空気入れる口の辺りが、故障してたら、どーすんの!
もしもだよ、もしもだけど、パンク修理セット持ってきてなかったり…、そんなバカじゃないけどさぁ、でも
必要な道具のうち、どれか一つでも、故障してたりしたら…。どーーーすんの!!

 以上のどれでも結果はおんなじ、修理できず、…こんな山奥で…、チャリに乗れず…、
全押し。
家まで全押し。    すなわち死。

 この段階で、過去のいや過ぎるシーンが、数多くフィードバックしてくるわけでして。
もう、あせりまくりです。
もう勘弁です。

 とまあ、妙に冷や汗かきながら、修理すること30分。
かかりすぎ?!

 だって、水無くて、穴発見できなくて、2度もチューブ出したり入れたりして、しかも空気入れが、空気入れが故障気味で…。
大変だったんですよ。

…空気入れ、完全に故障してたら、終わってたなー。  ひんやり。

 時刻は、16時18分。
日はまだまだ眩しいが、夕暮れは近い。
果たして無事に峠を越えられるのか?!

 以下最終回!
その5へ

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