走破レポート  男鹿林道 その3
2002.8.6


 男鹿半島最大最強の林道「男鹿林道」。
“自衛隊専用道路”の金看板は伊達じゃあない?!
目を見張るような、熾烈な登りが、今一挙に押し寄せる!!!

<地図を表示する>

 
地震観測所
2002.7.25 7:01
 挨拶代わりの(?!)直登を、約5分間。
標高を50mほども稼いで、一旦勾配が弱まる。
そして、この『地震観測所』の建物の脇を通る。

 しかし、写真を良く見てみると、勾配が緩んだといっても、全然登っている事がお分かりいただけよう。
少し緩んだだけでも、…御の字なのだ。


ドクロの看板!
7:06
 男鹿林道の名物がついに現れる!
それは、この写真の、ドクロマークの標識。
いくら“シャレ”コウベでも、シャレになってないぞ、この地獄のような登りで、この標識。
神経を逆なでしまくる、この物言わぬ標識。
写真では、ドクロの絵の下に何かを隠すために貼り付けたような不自然なテープが見えているが、確か…
確か、3年前は「Danger」って、書かれていたような気もするが、はてな?

 しかしこのドクロの標識、ここと、さらに上部のもう1箇所と、合計二箇所に確認されている。
いずれも、熾烈な登りだが、当然『登りが辛すぎて死なないように注意!』という標識な訳ではなくて、
 ご覧のような、『凄まじいまでの急な下りと、その先に続く断崖』の景色に立てられている。
たぶん、これは下りの車輌用の『運転注意』と言う意味の標識なのではないか?
実際、チャリでの下りは、ブレーキシューが発煙しそうなほどで(←まじで)、この景色の場所などは、特に殺気した!

 ちなみに、奥に写る山は寒風山で、その向こうは、日本海である。
このあたりは振り返るたびに絶景である。
 たしか、残り4000M表示
7:10
 の分岐点から、ここまでの約2kmは、一つの連続した登りといってよい。
その高度差は、約150m。
 全身のヒートアップは、既に頂点に達しており、一休みしても、その熱は一向に体を離れない。
外気温がゆうに30度を超えているので無理もないが。
たしか『4500M』表示であったと思われるこの地点までは、試練である。
 意地を張らずに、休みながら登ったほうが絶対に良い。
この先には、まだ、長い登りが待ち受けているから。
それも、これまでよりもさらに苦しい…。
←かなり汗もかき、“イイ”表情が撮れている。
しかし、さすがに辛そうだなー。


天然杉の巨木の道
7:11
 男鹿林道沿線で一際美しい山容を楽しめるのが、この一帯。
天を突くような、天然杉の巨木が道のすぐ脇まで乱立している。
どうしてこの一帯だけに、これほどに立派な杉が育っているのか?
それとも、たまたま伐採を免れたのだろうか?
壁のようにどっしり正面を塞ぐ、本山の雄大な景観と相まって、ここの景色の迫力は、なんというか、圧巻だ。

 男鹿半島が、まだ男鹿島であったころの、原初の森の姿が、少し瞼の下に浮かんだ気がした。

鷲ノ沢
7:12
 しばし、巨木の森を楽しんだら、再び、試練の始まりだ。
この「鷲ノ沢」のヘアピンカーブがその合図。
ここを曲がると、眼前には…。
 この直登が、待っている!

 ここから先はしばし、何処で休むかすら悩ましいほどの、急勾配連続地帯だ。
立ち止まると、漕ぎ出しに力を要する。
だから、できるだけ漕ぎ出しやすい、平坦な場所で止まりたいし休みたいのだが…。
体が、言う事を聞かなくなれば、それもままならず。
漕ぎが止まれば、そこで休む羽目になる。

 それと、このような日影の上りは、少しだけ涼しい替わりに、虫のうざさが体力を消耗させる気がする。
目の前を、チラチラと飛び回り、挙句の果てには、耳の穴に入り込んだり、眼球に飛び込んでくる、小型のアブのようなあのヤロー!
俺は、ヒルの次に奴が嫌いだ!!

双六林道分岐
7:17
 双六林道との分岐点だ。

 ここは、マジで逃げ出したくなった!
左に分かれる双六林道は、緩やかに、下って行くのが見える。
一方、本線は、これでもかといわんばかりの、激しい登攀。
全く緩まず、続いてゆく。

 この双六林道。
実は、門前にほど近い双六地区に抜けている。
地図上では繋がっておらず、相当に距離があるので、私もまさか抜けられるとは初めは思っていなかったが、以前の実走で確認している。
しかし、ただでは抜けられない。
…まず、ものすごい廃道。
そして、途中からは、信じ難いほどの叢。
最後は、クモの巣にまみれる、薄暗い沢沿いの登山道(らしき道)。
これらを経て、やっとこさ、双六集落に至る。

 お勧めはしない。

 振り返ると、白く輝く海が!

 美しいが、この日差しは、暑い!

本当に辛かった、苦しみの坂 その1
7:19
 いい加減、坂が苦しいと言うコメントばかりで、飽きられているかも知れないが、本当に、この道には坂しかない!!
昇れども昇れども…この言葉も飽きた?
しかし、容赦がないんだ!!

 私も、いい加減この区間を走るのも3度目だ。
でも、全然、思っていたよりも辛い。
確かに、前走ったときも、『ここは異常だ!!』と投げ出したくなった。
しかし、それから今年まで、一体どれ程の経験をつんだんだ?!
己が、見違えるほどにパワーアップしているのを体験するための、再走というものではないのか?!
 ぐぬぬぬぬ…。
辛すぎる!!
汗がとめどなく流れ、目に入る。
痛い!
痛いゾッ。

なぜだ、なぜ俺は、タオルのひとつも持ってきていないッ?!

 とにかく直線の登りが続く。
正面に見えている限り上り詰めたら、次に現れたのが、この景色(写真左)

 いい加減にせいよー。


 逝っちまう。

この道の辛さのひとつの原因は、この砂利。
とにかく、砂利の粒がでかい。
そしてこの勾配だけに、タイヤが空転する事多し!
このロスは大きい。大きいなんていうものではない!!
一度止まると、漕ぎ出すのも容易でない!

 突然だけど、攻略アドバイス。
それは、道の真ん中や轍の中は、砂利が多くてとても消耗が激しいので、
敢えて、道の隅っこ。
雑草が生えている部分を進もう。

 私は、その方法で、かろうじて、この区間を、「押したい!」衝動に駆られつつも、乗り切った。
2500M地点
7:30
 朦朧となりながらも、路傍に見つけた「2500M」。
あと、たった2.5Kmなのだが…。
「まだそんなにあるの!」と思ってしまった私は、…屁たれでしゅ。

 ここいらで登りも一段落するのが、せめてもの礼儀だと思うのだが、残念ながら、ここより先は、九十九折である…。
休みなく、すぐに、九十九。

「これは、自衛隊員養成道路なのかーーーーーッ!!」
と言いたくなるような、シゴキ、である。
鬼教官だよ、あんたは。
←少し、ヤバイ感じだ。


上出鼻
7:31
 一体、この九十九折コーナーの内側は、どれ程の角度なのか?
身の危険を感じた私は、敢えて近づきはしなかったが。

 この角度、この長さ。
ある登りを、私は鮮明に思い出した。
あの日も、…こんな暑い日だった。
その道は、秋田駒ケ岳の8合目にまで登る県道であった。
たしか、県道129号線だ。

 怖いものを見たい人は、ぜひ行ってみるとよい…。
あの道は、殺気した。
そして、ここも。


取水施設
7:38
 この場所には、見覚えがあった。
特に印象に残っていた。

 ここで、きつい登りは、終わる。 そういう記憶だ。
まもなく山頂だという、安堵感が体を包んだ。
やっとここまでたどり着いたと言う、達成感に酔いしれた。

 からここまでは、一本の繋がった坂であった。
その距離は、約1500m。
登った垂直距離は、150m。
30分近く一つの坂と戦ったことになる。
 そして、現在地の高度は、海抜540m。
いよいよ、男鹿半島には、今の私よりも高い位置にあるものは、ただの3つ。
男鹿三山の3つの頂だけになった。

 まもなく現れた、「2000M」の表示。
ここが、ひとつのピークになっている。
道は、ここでほぼ鞍部に達した。 と考えた。

 
私の安堵の表情が、これまでのいかに苦難であったかを物語っている。
っていうか、もうこれは、放心状態??

今見ると、やばい表情だなー。
心肺機能に来てそうだもの…。


誤算 …終わらぬ悪夢
7:38
 ネタではない。
本当に、これは誤算であった。
記憶違いだ。

 この景色を見たとき、戦慄が走った!
この暑さで震えが来た。

 道は、てっぺんの鉄塔のような場所までは、少なくとも続いているはずだ。
なんせ、終点は山頂。
己よりも高いものがなくなるまで続くのだ。



 次回の更新では、山頂の景色を、公開できると思う。
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