区 界 峠。
これほど、旅情をかき立てる峠の名を、他に知らない。
この峠は、岩手県は盛岡市と宮古市を結ぶ一般国道106号線最大にして唯一の峠である。
北上川に沿って南北へ連なる長大な平野部と、太平洋岸のリアスを基調とする険しい海岸線、そしてその中間を埋める広大な北上山地。
県としてはもっとも広い岩手県の地勢は、意外に簡単に説明できる。
そして、内陸平野部と沿岸部の間には幾筋もの街道が拓かれてきた。
それらの多くは、険しい北上山地を越える峠道であり、区界峠もそのうちの一つである。
国道106号線は、全長約100km。
その長い行程の全てが、区界峠越えといっても差し支えない。
盛岡を発すると一路東進。
梁川に沿って、緩やかに、そして徐々に勾配を極めながら登ること30kmと少し。
そこが、県都と下閉伊郡川井村の行政界にして、北上水系と閉伊水系の分水界である、区界峠である。
海抜751mの峠をあとにすると、太平洋岸宮古市に至るまで、70km近くの下り道。
めちゃめちゃ楽そう、楽しそう。
そう考えていた私は、甘かったのであるが、とにかく、あとはひたすらに閉伊川沿いを下り続ける道程だ。
国道106号線唯一の峠、区界峠。
そこにも、やはり旧道があった。
断続的に出現する旧道を、数回に分けて紹介していこう。
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