2011/8/23 5:53 【現在地(マピオン)】
自宅を自転車で出発して15分くらいで、八王子市打越町にある国道16号八王子バイパスの打越ICに到着した。
八王子バイパスには無料の区間と有料の区間があるのだが、その境になっているのが打越ICで、同ICより南行き(横浜方面)は有料区間である。
八王子バイパスの有料区間は、日本道路公団が昭和60年に開通させた全長4.5kmの道で、多摩地区にお住まいの方にはお馴染みだと思う。
250円(普通車料金)が惜しい私などは、自動車では極力ここを避けて並行する一般道(国道16号現道)を通行するようにしているが、高い防音壁を唯一の友とする都市高速道路然としたマッシブな車窓は好きで、自転車でよくここを通る。
そう。
“緑の看板”がある道路なのに、自転車が通れるのである。
私も最初は驚いたのだが、この一見して高速道路然とした有料道路は、自転車を含む軽車両も、もちろん歩行者も、通行が可能である。
もっとも、ガードレールや植樹帯などで完全に歩者は分離されていて、車道部分は自動車専用の規制が掛かっているのだが、歩道部分が別の道でないことは、この先の料金所で自転車も料金(30円!)を徴収されることから、明らかである(歩行者は無料)。
歩道部分も間違いなく、国道16号八王子バイパスの一部なのだ。
…ということで、打越ICから“乗って”、横浜方面へ進む。
表題のものが現れるまでは、そう遠くない。
5:54
打越ICで八王子バイパスに入って500m足らず、本線に合流してからの距離だけならわずか250mで、次のICが現れた。
中谷戸ICである。
有料道路上でちゃんと名前があって、緑看板でも案内される出入口として、これほど近接した例が他にあるのだろうか。
もしお暇なら、(車で)打越で乗って中谷戸で降りて見るといい。
笑えるくらいに一瞬しか本線を走らない。
なお、この区間は無料なので、ガソリン代以外はかからないです(笑)。
そして、自転車&歩行者組は、中谷戸ICで降りる意図の有る無しを問わず、強制的に一度降ろされる。
これは仕方がない。
中谷戸ICのランプウェイに沿った歩道部分には、こんな表示がある。
急 な 坂 道
自転車は降りて
通行して下さい
なんと! 自転車に対する個別攻撃。
しかも、私が一番大嫌いな「自転車は降りて」という指示。
さらに、ぱっと見では良く馴染んでいて、気が付かなかったのだが、
上の標識……。
自転車だし!!
実は爆笑した。ここで。
で、ひとしきり笑ったあとに気がついた。
この「スリップ注意」の標識が常日頃から陰口を叩かれている(と思う)、
「 このタイヤ痕は絶対に不可能だろ 」という問題が、
図案を自転車(などの2輪車)にすることで、いとも容易く解決してしまったのである。
2輪車ならば、少し頑張ってケツを振れば、こういうタイヤ痕をつけることは可能である。
…すまない。
すこしだけ、下らなかったかな。
下らない!
大騒ぎするほどは、ぜんぜん下っていないのである!
急勾配なんて大嘘だ。
この程度の勾配で自転車を降りていたら、日本の道はとても自転車で走り回れないのである。
いや、本当に普通の坂道だから。
勾配5〜7%くらいだろうか。
…なぜ日本道路公団あらため中日本高速道路は、ここで自転車から降りるべきだと考えているのか、一度膝をつき合わせて伺ってみたいものだが、ともかくそう指示案内されているので仕方がない。
ああ。
おそらく開通以来私が最初だと思うが、私はこの坂道の終わりまで押して歩きましたよ!
ランプウェイを降りきると、車道部分は二手に分かれていて、直進すると再び本線に復帰し、右折することで「中谷戸」という場所へ行けると案内されている。
で、この辺りはまだ余談なのだが、この中谷戸ICというのは色々と謎めいているというか、イレギュラーな感じがあるICだ。
というのも、地図をいくら眺めてみても、辺りに中谷戸なんていう地名は見あたらない。
信じられないならば、この思いっきり拡大した地図(マピオン)を探してみると良い。
無いのである。
中谷戸という地名を案内されても、よほど特別な土地勘がある人でないと、理解不能なのではないか。
(中谷戸は昭和42年頃までの地形図には記載されていて、まさにこのICがある場所の字名だった)
もう少し、中谷戸ICの話をしたい。
この話は表題の物件とはおそらく無関係だが、もしかしたら、どこかで繋がっている可能性もあると思う。
左の図は、八王子バイパスの有料区間に全部で5つあるICがそれぞれ、どのように乗り降り可能であるかを示している。
起点と終点である相原ICと打越ICを除いた3つのICのうち、両方向の乗り降りが全て可能なフル規格インターは、中谷戸ICだけである。
残りの片倉ICと鑓水ICは、乗り降りが一方方向だけに制限されたハーフインターとして整備された。
ハーフインターよりもフルインターの方が利便性が高いのは間違いないが、交通量が申し分なく多い八王子バイパスにおいて中谷戸IC以外に実現しなかったのは、どうしてだろう。
これは大きな疑問である。
もちろん、各IC間の距離が一般の高速道路とは比べものにならないほどに短いので、ハーフICの不便さは我慢できるレベルだし、ランプウェイの建設が半分で済むので、建設費も土地の買収費もフルインターの半分になりうる。
地価が高い都会において、これは非常に大きなメリットだと思うが、それをハーフインター化の原因だとする公式見解を聞いたことはない。
八王子バイパスは、計画当初からハーフインターを多用する設計だったのだろうか? ……【疑問1】
フル規格で整備された中谷戸ICであるが、その実用性は、あまり高いとはいえない。
そもそも、この中谷戸ICで乗り降りしたことがあるというドライバーは、どのくらいいるだろう?
八王子バイパスの通行量は1日3万台前後だというが、1000台に1台も乗り降りしていないのではないかと思う。
なぜそう考えるかと言えば、右の地図を見ていただきたい。
中谷戸ICで降りた車が簡単に行ける場所は、旭ヶ丘団地という住宅地だけなのである。
一応狭い車道は三方へ延びていて、野猿街道、北野街道、片倉台団地方面へも抜けることは可能だが、どう考えても打越ICを利用した方が便利だし安全そうだ。
いくらフル規格のICでも、アクセス性が良いとか、ICの周辺に交通の大きな発生源があるとかでなければ、充分に利用されるはずがないのである。
中谷戸ICは、実質的には旭ヶ丘団地専用ICのようである。
このICの設置は、果して住民側が求めたものなのか、そうではないのか、興味深いところである。
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