国内で“壮大な道路風景”が見たいというのならば、とりあえず「 北千葉道路 」に行けば間違いない。
この道、全国的にはさほどの知名度を持っていないが、その道路風景は本当に壮大なところがある。
例えば次の写真のシーン――
これは、USAのハイウェイ(見たことないけど)ではない。
ニッポン(印西市内)の北千葉道路だ。
幅200m近い敷地に8車線の道路が並走し、上下線中央に複々線以上の線路用地がサンドイッチされている。
このような道路風景が、約10kmにわたって続いている。
これも印西市内にある、多々羅田インターチェンジ(IC)。
外周1.5km、約12万平方メートルもの広大な敷地に悠々と広がる、国内では珍しい(変則)対向ループ型ジャンクションだ。
背景のビルと地平線以外の見えるものが、全て道路用地という贅沢がここにある。
北千葉道路の壮大さ、感じていただけただろうか。
この道路は、その名の通り、千葉県の北部を東西に横断する。
計画全長約45km。市川市と成田市を結び、外環道(東京外環自動車道)と東関東道(東関東自動車道)を連絡する、完成8車線の準高速道路的な道路として計画されている。中間地点には国内有数の規模を誇る千葉ニュータウンがあり、そのメインストリートになっている。上に掲載した2枚の写真は、いずれもニュータウン内の風景である。
また、一般国道464号の一部であり、地域高規格道路の候補路線でもある。
昭和42(1967)年に大部分の都市計画が決定されてから既に半世紀を経ているが、現在も未完成で、千葉県や国による事業が継続している。車線数の少ない暫定的な供用も含めれば、全長の7割ほど(右図の実線部)に何らかの現道が出来上がっているが、事業全体から見ればまだまだ道半ばという、壮大な未完成道路である。
首都圏の放射道路に位置づけられている北千葉道路と、環状道路である国道16号が交差する重要地が船橋市小室町で、そこに小室IC(仮称)がある。
今回のレポートで紹介するのは、そこにある未成ランプウェイとみられる構造物だ。
探索のきっかけは、平成25(2013)年5月によしだ氏からいただいた、次のような情報提供メールによる。
千葉県船橋市小室の国道16号と464号のインターチェンジに、全く使われていないスロープがあります。
Google Map でも線が書かれておりますが、使用中のスロープ隣りに作られており建設した意味がわかりません。
調査していただけたら嬉しいです。
尚千葉ニュータウンは作りかけの道路が多く、住宅公団の迷走具合が垣間見れる跡が結構存在してます。
ふむふむ。なるほど……。
どうやら未成のランプウェイがあるようですな。
未成ランプウェイといえば、私のアパートの近くにもあって、以前紹介している。(→八王子バイパスの未供用ランプの謎)
この手のネタは大好物だ。
右図は、スーパーマップルデジタルに見る小室IC周辺の拡大図だ。
青丸で囲った辺りに、インターチェンジらしいランプウェイを張り巡らせた構造が見える。
先ほど写真を紹介した多々羅田ICと違って、ここには地図に載るような特定のIC名はないようだが、本編では「小室IC」と称することとしよう。
ここから少しの間、やや説明がややこしくなるので、ゆっくり図を確認しながら読み進めて欲しい。
まずここでは、中央分離帯によって区切られた片側2車線計4車線の国道16号「東京環状」(この路線は環状線なので、「上り・下り」ではなく「内回り・外回り」で表現する)と、広大な鉄道用地によって区切られた片側2車線計4車線の国道464号「北千葉道路」とが、交差している。
小室ICは、いわゆるフルアクセスのICではなく、ハーフICでもない、変則的なICになっている。
ランプウェイの配置を追っかけてみれば分かるとおり…
国道16号の内回りと外回りからは、それぞれ北千葉道路の下り線にのみランプウェイから流入可で、上り線へは約300m南にある小室交差点を介してアクセスする。
国道464号の上り線からはICを利用できず、小室交差点を介して国道16号にアクセスする。
国道464号の下り線からは、国道16号の外回りにのみランプウェイから流入可で、内回りへは複雑な動線を余儀なくされる(いくつか考えられるルートがあるが複雑だ)。(なお、これは欠陥ではなく、1.5kmほど手前の白井地区に便利なアクセスルートがあって、標識でも利用が案内されている)
以上のように、想定しうる8通りの動線のうち、ランプウェイを使えるのは3通りだけで、あとは小室交差点を介した平面的なアクセスを余儀なくされる。
さて、肝心の未成(といわれている)ランプウェイだが、この地図上には描かれていない。
どこにあるのかは、本編で紹介する。
それは、現状でいろいろと足りていないランプウェイを補完するものなのか、はたまた全くの別件なのか。
情報提供メールには【気になること】「建設した意味がわかりません」が書かれていたが……
いざ、探索開始!