いよいよ、私の旧道めぐりの原点である、仙岩峠の登場である。
この道への思い入れは深い。
秋田県内に3本存在する旧一級国道のうちの一つである、国道46号線。
現在県内の旧一級国道路線で、最長の旧道区間となっているのが、この仙岩峠だ。
また同時に、廃道化しているのも、ここだけだと思う。
交通の動脈流といえる国道46号線のなかで、昭和52年のまま取り残された、遺構の数々は、私に深い感銘を与えたのだった。
そして、その後の多くの旧道、廃道調査が始まったのだった。
以下は、1998年の初走行から3年を経て、デジカメを引っさげて再びこの道に挑んだ記録である。
もはや、死を約束されていた、と思われていたこの道に、意外な変化が起きていた。
<地図を表示する>
現国道46号線は、田沢湖町内をバイパスで迂回し、そのまま仙岩峠の登りへと突入してゆく。 その登りの始まりがこの、「国道交通省 仙岩道路資料館」である。 仙岩峠ファンならば、一度は覗いておきたいスポットである。 ちなみに、無料だ。 ほんの少し進むと、道の右側に、広い駐車スペースが現れてくる。(写真右:現道は右端に見える) これは、旧道のスペースを利用したものだろう。 良く大型トラックが休んでいる。 |
の直線が終わるとすぐ、本線は左へ滑らかなカーブを描きながら、木々の間に分け入ってゆく。 しかし、旧道は、ここをまっすぐ進む。 入り口は(写真左)、元々が国道であったとは到底思えないようなローカルな雰囲気。 「ドロボー立ち入り禁止」って…あんた。 「峠」の矢印は、意味不明。 しかしそんな旧道も入るとまっすぐで、正面にこれから挑むべき凄まじい九十九折を見上げるようになると、旧道らしく思えてくる。 かつて、幾多のドライバーがここからこの景色を眺め、多くは疲労感や不安を(一部の人は期待感?)感じたであろう。 ここで現れるのはそんな、圧倒的に高度差のある景色なのだ。 かく言う私も、この景色には、幾ばくか恐怖を感じた! はじまるぜ! |
直線が終わると、すぐに道は森の中に入ります。 道幅も、左右が草むらに侵食されていて、1車線分になってしまいます。 至るところに、ごみ不法投棄を禁止する看板が立てられていました。 |
間もなく視界が開けます。 それと同時に、頭上に巨大な赤い鉄筋が出現、現道の宝風橋です。 現道との高度差は優に30mくらいありそうです。 先が思いやられます。 左の写真で端の対岸に見える地上にむけてから始まる、熾烈な戦いが繰り広げるのだ。 この段階では、すぐに到達できると考えていたが…。 |
次第に旧道は荒れてくる。 舗装は半ばはげ、道幅も車一台分になってる。 そこで現れるのが、この六枚沢橋。 右端に正体不明のコンクリの構造物がある。なんだこれは?初めからあるのか? 振り返ると、先ほどくぐってきた現道の宝風橋が遠くに見える。 こう見ると、現道のショートカット効果は絶大だ。 端の先はさらに荒れ果てているようだ…。 |
橋を渡り30m程で、恐れていた事が現実に。 想像以上に荒れている! みちはどこ? どこなのー?? |
秋は、廃道探索に最も適さない季節である。 なぜなら、ススキなど、大きな一年草がもっとも繁茂し、蒼蒼とした葉っぱはみんな堅く元気だ。 そんな時期にこの廃道。 絶望的な状況だ。 しかし、現道に再び合流するであろう場所を目の前にして(僅か100mもなさそうなのだ!)、引き返す事は出来ない! 写真右の景色を見て、ひき帰せようか? いやできないのだ! で、草むらを掻き分けながら、進んだわけだが、まだガードレールの支柱が残っているのを発見した。 にしても、なんか廃道化進みすぎでは? 別に崩落があるわけでもないのに。 |
ススキ君たちの激しい抵抗を受けつつ、何とか宝風橋の下をくぐる部分まで到達。 そこから田沢湖町の市街地方向を眺めた景色は格別であったが(写真左)、正面を見ると(写真右)。 ………。 道はないのか? でも、だとしたらどうやって、現道に合流するというのだ? 進んで見なければ、答えは見えまい。 だが、しかし、…。 この植物の繁茂ぶりはどうだ! ススキなんていう生易しいものではない。もはやこれは草むらだ。 地面がどこなのかも分からないではないか? 果たして生きて戻れるのか>>俺。 結局、葛藤しながらも侵入してしまうのですが…。(現道が数メートル頭上にあるのに、3Km近くも引き返すなんて考えられない!) |
それでも何とか進むと、(←この一言で片付けちゃうけど、実際の苦労は…) 道路跡のスペースにまで若い木々が繁茂しているじゃありませんか! それだけならいざ知らず… このゴミ!! 自分で侵入していながら、こんなこと言えた義理でないが、「公道にゴミを捨てるな!」 そういうレベルでもないが。 犯人は、(多分)現道と旧道の間に建っているドライブイン(今は半ば廃屋)なのか?(ここは建物のすぐ裏) とにかく凄まじい、苦行地帯だ! |
道がないんですけど! ついに、道がないですよ。 これ以上はどうにもならないと判断。 この先は、現道の湖山橋の袂辺りに行き着くと考えられるものの、残りの高度差は5m弱程度。 さすがにこれ以上進む事へのモチベーションを維持できなくなった。 さらには、この松林(写真左)に突き進んだら…。 俺の負けですか? 振り向くと、ドライブインの廃屋が。(写真右) 引き返すのはいや過ぎる!もうあのゴミ地獄に戻りたくない!! 何とかこの建物のある土台まで登らねば!! 私は、辺りを見回した。 |
建物の右側に、大量のゴミがコンクリの壁を埋め尽くしなだらかな斜面になっている場所を発見。 天の恵みとばかりに、ここへアタック!! しかしこのとき、大切なものを失っていたのだった…。 |
斜面をこえ、井戸の端を渡り、草むらを掻き分け、やっと建物の裏に到達。 さらに建物を迂回して進むとそこは、見慣れた現道でした。 生還の喜びをかみ締める私。 しかし、腰に付けたる「SONYのHandyGPS」が草むらの中に消えていたことに気づく。 たびの記録を失う事は、私にとって旅の失敗を意味する。 さがした。 私は、汗だくになって探した。 …流れ落ちる涙をぬぐう事も忘れ(少し誇張)、ひたすらに地べたに視線をはしらせた。 ゴミの山を掻き分けた。 そして、 私は見つけた。 落し物は、いやだなぁ、もう。 結局私のこの旧道調査で辿った道のりは以下のようなものであった。(青い線が、私の動線。) |
!! 果たして、彼の身に何が起きたのか?? まだまだ仙岩旧道の旅は、始まったばかり。 |
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