2015/1/5 13:23 《現在地》
県道280号は、ここ白井市白井(しろい)で、「木下(きおろし)街道」という愛称と古称を持つ県道59号市川印西線から分岐する。
木下街道は印旛地方と江戸を結ぶ重要な街道だったらしく、白井には宿場も置かれていたという。
道の両側に家屋が連なる歩道の狭い2車線道路は、なるほどそんな歴史を感じさせる。
国道16号との交差点から、この県道59号を300mばかり北進したところが、県道280号の起点。現地へと近付くと、青看が設置されており、行き先はちゃんと県道280号の終点である「流山」を表示していた。
途中には、これから紹介する“とても怪しい区間”があるにもかかわらず、立派なことである。
分岐は青看が示すとおりの丁字路で、普通の場所だった。
歩道が無いか、あっても狭い2車線道路。
それが、起点から国道16号と1度目の接触をする1.1km地点までの、県道280号である。
車窓は、小さな起伏が連なる中に、畑や果樹園が民家と混在する、平穏な農村風景。
白井市の特産は梨らしく、梨園がやや目立つ。
とりあえず、ここまで道路的に特筆するような事は無い。
強いて言えば、地図上の地名が少し変わっている。起点の白井市白井、これはいい。だが、その次の地名は白井市根(ね)。そこを過ぎると今度は白井市木(き)である。
県道の通り道からは少し外れるが、白井市内のこのすぐ近くには、他に「中(なか)」と「復(ふく)」という漢字1文字の大字がある。
(これら4つの漢字一文字の大字名は、いずれも明治8〜22年頃の印旛郡の村名で、明治7年に複数の(漢字二文字以上の)村が合併して生まれたようだ。しかし、なぜこれら文字を選んだのか、互いに関連があるのかなどは、分からない。)
13:28 《現在地》
特に何事も無く、起点から1.1km地点にある、国道16号との最初の接触地点に着いた。
県道280号は、ここで国道16号と交差するわけではなく、重複(重用)するわけでもない。
地図での描かれたかを信じる限り、二つの道は少しの間並走してから、また離れていくのである。
そんな奇妙な区間の始まりを告げる交差点に着いた。
県道と国道の交差点の格式に恥じない、大きな青看が設置されていた。
だが、この青看の内容には、大いにツッコミどころがある。
ずばり、何の予備知識もなくこの交差点から県道280号へ行こうとするドライバーが、その目的を達成することは、ほぼ不可能だと思う。
これから見て頂くように、交差点の形状が極めて変則的であるのに対して、青看などの標識群は、その実態を正しく反映することが出来ていないのである。
だから、標識だけを頼りに県道280号へ行こうとすると、誤った道へ誘導される。
それでは、説明を始めよう。
まず、県道280号の白井側(私が来た道)からこの交差点に近付くと、ほぼ間違いなく信号待ちに引っ掛かる。これは国道16号の方が圧倒的に優先道路で、目測ではあるが、1:9くらいの割合で国道側が青信号であるからだ。
そして信号待ちの間に、これらの標識類を目にする事になる。写真でハイライトした3枚の標識類が、ドライバーに与えられた、進行方向を正しく選ぶための情報である。
ちなみに、県道280号の白井側で信号待ちをしている段階では、“県道280号の正しい進行方向”が見えない。
理由は、この交差点の形状にある。
交差点の全体の形状が見えない状態で、標識だけによって、行き先を判断しなければならないのである。
交差点の標識類から分かる事を整理する。
まず、「県道280号へ行くには、交差点直前の道を右折する必要がある」こと。
そして、「国道16号は左折禁止である」こと。
さらに、青看にその道は描かれていないが、進行方向の道路標識により、「交差点を直進出来る」ことが分かる。
(左折禁止なのに、青看の左折方向に「千葉」と行き先が書いてあるのは、ミスだろうか?)
上のような標識の情報だけで、左図の如し変態的な交差点を、正しく乗りこなせるはずがない。
この交差点(名前は特に付いていないようだ)、極めて変則的な八叉路になっている。
県道280号の白井側から来ると、7つの行き先(@〜F)があるわけだが、このうち左折(F)だけが禁止されている。
先ほどの青看の情報だけで県道280号へ進もうとすれば、普通は@かAを選ぶだろう。
おそらく、「国道16号の直前で右折」という表記内容から、@を選ぶドライバーが多く、@の入口を見逃したドライバーが疑心暗鬼でAを選ぶであろう。信号の停止線まで行くともう@を過ぎているから、案外Aも選ばれそうだ。
いずれ、正しい進路であるBを選べる期待は低い。そして迷うこと必至。
はっきりいって、事前知識か地図か、或いはカーナビが必須である。
なお、県道280号の起点の青看には、行き先にはっきり「流山」の表記があったが、この交差点で急にネグレクトの姿勢を見せるとは、酷いのである。
それはともかく、これから正しい県道の進路へ進んでみよう。
あなたは、付いてこられるか?(笑)
信号が青に変わったら、まずは国道16号へ右折する。
だが、そのまま交差点の外へ出るまで進んでしまえば、ダメだ。
それでは、国道16号を進む事になってしまう。
正しく県道280号をトレースするには……
あ! ちなみにだけど、県道280号の行き先である流山や柏へ行くだけならば、黙って国道16号を辿ってOKよ。
なぜなら、わずか1km足らず先で、再び県道280号は国道16号と交差しているからね。
そこで改めて県道280号に入れば、十分に十分に十分に事足りる。(笑)
だから、ここで私がレクチャーするのは、あくまでも県道280号を正確にトレースしたいという、ロードトレーサーに向けてである。(だから、青看にも県道の行き先は書いていないw)
はい、ここ注目!→→
テストに出るよ。
この“隙間”に、入って下さい。
大丈夫です。
国道16号の立派な対向車線との位置関係から、まるで国道の歩道に見えてしまいますが、これが県道280号なのです。
大丈夫です、歩道じゃなくて、ちゃんと車道です。
すぽんと行きましょう、スポンと!
おっ?!
もしや、こいつは!
いったー!
さすが地元感全開の軽トラ!
何の躊躇いもなく、行った!ww
なお、ここは一方通行なので、対向車の心配は無い。
でも、歩行者には注意だぜ!
あと、完全に余計なお世話だが、先ほどの青看の勝手な改訂版を用意してみた。
まさに、誰得である。 つうか、要らないな。一般ドライバーの邪魔だ(苦笑)。
いかがでしょ? こいつは、なかなかぶっ飛んだ奇抜な風景だと思う。
国道16号が片側2車線で、それでも足りないくらいの交通量があるだけに、余計にその隅っこにオマケのようにくっついた、一方通行1車線だけの県道280号が際立つ気がする。
自専道の側道じゃないんだからさぁ…。
多分、この二つの路面は管理者も違うはずだ。
国道の方は、直轄区間だから、国土交通省の管理。
県道の方は、千葉県が管理していると思われる。
ちゃんと別の道。
だけどこれは、予想以上の近付きッぷりだった。
なお、反対側からいま来た県道280号の入口を見ても、特に変わった風景では無い。
国道側には一切青看もないので、ここが県道だと意識する事もないと思う。
ジモピー以外は皆素通りだ。
といったところで、次回はこの国道と県道の超絶接近並走区間の変な風景を、じゃじゃ〜んと余すことなく紹介します。へばね。