これは…、 見ての通り廃道では有りません。
むしろ、林道としてはこれ以上は望むべくも無いような、完全舗装路です。
ま、山チャリの舞台がこんな道だったら儲け物です。
今のうちに、これぞ我が世の春と、たっぷりと時間を稼いでおきましょう。
どうせ、長くは続かないのですから…。
秋田市 国見山林道 2000.4
林道です。
でも道も広いし、路面もフラットで、走りやすいです。
しかし、やはり舗装路と比べると、そのペースの違いは明らかです。
むしろ、疲れにくくて嬉しいという説もありますが。
ただ、一つ覚悟して欲しいのは、これだけ車通りが多く見える林道は、それだけ利用価値がある。
すなわち…、多くは、長大な峰越し線である、ということです。
青森県 弘西林道(現、県道28号) 1997.8
標準的な林道風景ではないでしょうか?
道も幅4,0mという良くあるパターンで、砂利挽きの道です。
奥の山並みが雲に隠れているのが少し、不吉な予感を感じさせますが、そのことは気にしてはいけません。
覚悟が鈍りますから。
あなたは、このくらいの林道がお気に入りですか?多分そうでしょう。
…それとも、次、行きます?
そろそろ、止めてもいいですよ…。
河辺町 河北林道(現、県道307号) 1995.8
わだちとわだちの間、道路の中央部に植物が生えはじめたら、要注意です!
これが荒れた道と、そうでない道との境界線です。
あと、わだちに水が流れ、自動車が通れない程深まっているのも、危険なサインです。
落石や、路肩崩落はこのレベルの道では日常茶飯事で、通行には細心の注意が要されます。
路面も砂利が流出し、凹凸が激しくなり、スピードも出せませんし、疲労も速いです。
しかし、山チャリの醍醐味といったら、このような荒れ気味のルート攻略だ、という方も多いでしょう。
そろそろ、よろしいでしょうか。
お帰りはこちらです。
次は、ややマニアックになりますよ…、お勧めはしません。
大内町 池ノ沢林道 2000.4
道路上一面、古い落ち葉が積もっています。
これは、この道を殆ど誰も使っていない証拠です。
砂利も、とても目が粗く、この上を漕いで登っていくのは容易では有りません。
最も、走りにくく、体力の消耗が激しいのがこのようなコンディションの登りでしょう。
この写真の登りも、俺に「CRAZY!」を3回言わせました。
多くの山チャリストが敬遠する(私も)”仮設林道”の奥には、こんな道が待っていることが多いです。
経験上、こんな道になったら、後は行き止まりと思ってよいでしょう。
でも、進むの?
次は、本当の廃道ですよ。
マジで…廃道ですよ。
秋田市 市王寺仮設林道 2000.4
これが、廃道です。
もはや、路面には苔が生え、道路は周囲の植物に侵食されつつあります。
消え行く道が、車道の姿をとどめる最期の段階です。
この状態の道では、至る所が決壊し、もはや自転車に跨ったままで走行できる部分は限られてきます。
当然難易度は、特A級といったところで、安全性を考えるならば当然引き返すべき状態です。
さあ、あなたも、引き返しましょう。
これより先は、もはや、サイクリングの領域ではないのです。
そこは紛れも無く、”山チャリ絶対領域”なのです…。
秋田市 雨垂沢林道 1999.10
完全廃道!!
私がこのように呼ぶ状態です。
こんな道は、さすがに突然現れることは稀で、然るべき廃道区間を経た後に現れます。
即ち、このようなものを見るには、辛い廃道に耐え、執拗に進まねばならないということです。
…遂に道は車道としての機能を完全に失いました。
林道にとって、それは、死です。
しかし、この段階まできてしまうと、あなたはすぐに引き返すことは出来ません!
あなたは、自分が納得する明確な終点が現れるまで、何時間もこの地獄に取り組む事でしょう。
それは、あなたの”意地”がそうさせているのであり、もはや何人にも止める事など出来やしないのです!
このような、廃道の魔力というべきものが、あなたを襲います。
敗れれば、この道があなたの死地となります。
河辺町 河北林道赤倉支線 1999.8
あなたは、遂にやりました。
これが、終点。
…、なぜか、私は引き返せません。
草むらの中には、踏跡が見えます。
この踏跡の最後はどうなっているのだろう?
もはや、私はその時、魔物に、とり憑かれていたのです。
心の中に住む、”好奇心”という、きわめて気まぐれで、衝動的な、魔物に…。
遂に、私と、自転車と、この大自然は一体と成ったのでした。
河辺町 県道28号 1999.8
彼は、この様になりました。
CRAZY
ちなみに、さっきの草道に分け入ったら、終いにはこうなりました。
やっと、私は帰れました。
ちなみに直後、草道を延々と戻ることを拒んだ彼は、何を思ったか、そこらの沢に侵入。
当然そこは道ではなく、ただの斜面と崖でした。
滑落した彼は、沢に落ち、そのまま水深30cm程の小川とススキと葦の原っぱを、さすらいました。
いま、その彼は、ここに健在です。
信じられないです、我ながら。無事に帰って来れたことが。
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