ご無沙汰しております。
興味深く拝見いたしましたが、旧静岡市民として論点の提示もかねていくつか見解を述べさせていただきます。
1.静岡県自体がばらばらで、行政にとっての伊豆の重要度が高くないから(優先度の高い事業が他にある)
静岡県は、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)、西部(浜松市を中心とした掛川以西)、東部(沼津、三島を中心とした富士市以東)、伊豆という大まかな4区分をし、あたかもそれぞれが別の県であるかのような状況があります。
70万クラスの政令指定都市の浜松がある西部は独自色が強く名古屋の影響を強く受け、沼津、三島などの県東部は通勤圏にもなる東京の影響を強く受けます。熱海はその傾向がより顕著になります。
伊豆もそれぞれ東伊豆(伊東から下田まで)、中伊豆(修善寺)、西伊豆(土肥)と傾向が違い、東伊豆は熱海とともに伊豆急も絡めて静岡よりは東京を向きます。
このような状況の中で静岡県で重視してきた事業としては、人口的に対部分を占める東部、中部、西部に重心が置かれ、国道1号バイパス、第二東名、新幹線駅建設、静岡空港に力が入れられてきました。今はこれに中部横断道路、駿河湾環状道路、三遠南信道が加わります。
国道1号バイパスの4車線化も各所で進行中であり、駿河湾環状道路など、他にやるべきところは実は結構あります。
2.休日の観光需要だけでは採算が取れないから
休日は小田原〜熱海からの東伊豆ルート、沼津からの中伊豆ルートともに激しい渋滞になりますが、平日は基本的に流れもスムーズで、おおむね1時間30分もあれば、沼津、熱海から最南端の下田までたどり着けます。
観光需要だけでは収益性が悪く、色々と後回しにされるのは、中央道の改良が遅々として進まない状況にも似ていると思います。
このあたり三遠南信道沿線とは事情が異なります。
3.伊豆も含め静岡が豊かで、ある程度域内で事足りるから
一人当たりの県民総生産は、東京、愛知に続いて静岡は第3位です。伊豆各地は無医村が深刻になるような過疎状態にはなく、そこそこの規模があり活気もあります。
平日なら沼津、三島、熱海、伊東、修善寺、下田などの主要都市へのアクセスも問題ありませんので、現状それぞれの地域内でも生活が事足りています。
4.のんびりとした県民性であるから
気候も温暖で所得も高い静岡県民は生活が相対的に楽なので、のんびりしているといわれます。4期16年務めた石川知事も、いい人だけどのんびりしていて、頭の回転が早く切れるというタイプではありませんでした。
ご指摘のような高速道路が出来たら日帰りされてしまうという事は、考えてみれば確かにあるでしょうが、そこまで考えていない人も多いと思います。
首都圏に近く黙っていても観光客はやってきますので、食べていくのに困らない人が多くて、現状に特に不満もなく、それ以上に事業を拡大という事を考えない人が多いです。これは讃岐うどんで有名な香川のうどん店にも同じようなところがあります。
5.隣接する神奈川県も含め、伊豆へのアクセスを改良するメリットが相対的に低くて改良が進まないから(それでも現状困っていない)
熱海を出ればすぐに神奈川県になりますが、この区間も本格的な高速道路が具体化せずに激しい渋滞が休日に発生しています。
静岡区間だけ改良しても効果が薄く、通過して出て行くだけの神奈川県にとってこの区間を改良するメリットも相対的に低い状況です。
静岡県として道路をつけるのなら、沼津に近くて静岡にもメリットがあり、伊豆全体に効果が期待できる伊豆中央部を貫通する道という事になりますが、東駿河湾環状道路も含め、入り口の沼津、三島側でもっと改良すべきところがあり、ようやく目処が付き始めたような状況ですので、なかなか末端まで手が回らないという状況があるかと思います。
渋滞で観光客は困るかもしれませんが、それでも観光客は来ますので、静岡、伊豆ともにそこまで困っていないのが実情だと思います。
以上長くなりましたが、ご参考まで