> 変朽安山岩(プロピナイト)とモンモリロナイト
まず,カテゴリーが異なります。
前者(プロピライトです)は,岩石名
モンモリロナイトが鉱物名 です。
プロピライト(変朽安山岩とも呼ばれた)は,熱水変質した安山岩で,とくにグリータフ地域に産する変質した安山岩類について呼ばれました。変質鉱物として,緑泥石,緑れん石,方解石,石英や黄鉄鉱が生じています。現在(少なくとも1980年代以降)は,この名前は岩石名には使われていません。これらの変質鉱物を生成する変質作用についてプロピライト変質作用(化)作用と呼ばれる程度です。土木分野ではいわゆる変質した安山岩類についてこれらの岩石名が現在でも使われていますが,地球科学(地学)分野では正式には使いません。
モンモリロナイトは,代表的なスメクタイトと呼ばれるイオン交換性,膨潤性,複合体形成能を持つ粘土鉱物の一種です。1960年くらいまではスメクタイトをモンモリロナイト族と読んでいました,紛らわしいことからスメクタイトと区分しています。土木分野で言われてるモンモリロナイトはこのスメクタイトに相当するものと思われます。
これらの詳細については,各々火山岩岩石学や粘土鉱物学の2単位くらいの学習をしないと難しいと思います。
>いずれもトンネル工事において膨張性地山と扱われていると思いますが、これらの違いを教えてください。
上にも書きましたがいわゆるプロピライトと呼ばれる岩石に含まれる緑泥石等の変質鉱物は一般に膨潤性は示しません,一方,スメクタイトは膨潤性(膨張性)粘土鉱物の代表ですので
> 前者は劣化した火山岩で後者は粘土、水を含むと膨張するという性質だけが一致するという理解でよろしいですか?
は,異なります。
> また、「温泉余土」と呼ばれているもの上の両者は含まれますか?
温泉余土とは,岩石が酸性の熱水(温泉水を含む)により溶脱を受けて,そのあとに残った粘土です。残った粘土は,主として酸性水に溶けにくい珪酸やアルミナからなります。また,明ばん石や石膏などの硫酸塩鉱物が析出することもあります。
ですので,プロピライトとは一部重複する変質作用がありますが,スメクタイトとは異なります。