油戸集落の南には、その名も油戸南隧道がある。
つぎは、こちらを紹介したい。
小さな湾になっている油戸から、主要地方道50号線をさらに南下。
逆風に苦しめられながらも、まもなく一本のトンネルが現れる。
1985年竣工の油戸南トンネルだ。
突き出した岬の先端をくり貫いた、僅か80mのトンネルである。
トンネル全体が非常に急な右カーブになっている。
そして、このトンネルの右にもアスファルトの路面が続いている。
舗装はまだしっかりとしており、白線も残っている。
ただ、雪が吹き溜まっていて、通る者は無い様子だ。
湾の反対側の半島の姿。
うーーーん、いい景色だ。
これは、私の中では北海道のイメージだ。
行った事は無いのだが…。
秋田にも男鹿半島という海岸の景勝があるが、そことは全く違う景観である。
さて、再びアスファルトの続きに目を向けよう。
そこには、もう道は無い。
残念ながら、旧隧道は既に埋められた後であった。
素掘りの隧道があったようだが、瓦礫の山に入り口はふさがれている。
瓦礫によじ登り、天井との間にある僅かな隙間にカメラを差し込んで撮影してみた。
非常に短い隧道だったようだが、瓦礫やゴミが奥まで詰まっている。
すでに、用の無くなった隧道は無残にも埋められてしまったようだ。
現トンネルをくぐり、反対側に進んだ。
岬の突端の細い部分を貫いている様子がよく分かる。
旧道は左の防波堤の向こうに隔離されており、アクセスは困難である。
これが、油戸南隧道の南側の坑門である。
この隧道は1985年まで利用されており、まだ前後の路面には当時の痕跡が色濃く残っている。
素掘りのままの隧道とのミスマッチが面白い。
残念ながら、よく見ないとここに隧道があったことが分からないほどに埋没しているが。
しかも、隧道上部の岩盤は風化が進み、大変に危険な状態である。
家一軒ほどもあるような巨岩が、隧道上部にゴロゴロとしている。
また、一部ガードレールが流出している箇所は、一体どうしたのだろう。
波濤の影響だろうか。
いずれにしても、この隧道は長く使い続けることが出来ないものだったと思われる。
私はここで、自然の驚異といってよい現象に遭遇した。
猛烈な海風によって、本来は天から降る雪が、海面から上空へ向けて吹き上がったのだ。
写真に無数の白い斜線として写った雪は、左下から、右上に向けて移動した残影だ。
この映像は、いずれ公開しよう。
油戸南隧道
竣工年度 1942年 廃止年度 1985年
延長 23m 幅員 3.5m 高さ 4.0m
大変短い隧道だったが、内部一杯に瓦礫が充填されており、通行不能。
僅かに反対の明かりが見える。
竣工年度 1942年 廃止年度 1985年
延長 23m 幅員 3.5m 高さ 4.0m
大変短い隧道だったが、内部一杯に瓦礫が充填されており、通行不能。
僅かに反対の明かりが見える。
これにて、油戸集落を取り囲む2本の廃隧道の探索を終了する。