道川の手押軌道隧道 その4
泥濘の廃隧
秋田県秋田市 上新城


 いよいよ、地図上でも延長4〜500mはありそうな長い隧道、「北隧道」へと向かう。
秋田自動車道の反対側に、北隧道の南坑口がある。




 目指す場所はすぐそこなのに、高速が邪魔だ。
自転車は、500mほど背後に置いてきたままなので、そこまで戻るのもどうも面倒くさい。
しかし、さすがにフェンスをよじ登って横断する勇気はないし、それは丸っきり犯罪だ。(と思う)
やっぱり戻るかと思っていたとき、足元に、水の流れる穴が見えた。

 よし、これを使おう!

 



 おおー、なんか、ギーガーな感じ(意味不明?)
高速の下をくぐる通水管を利用して反対に至ろうとは、これまで実施したヤツはいるだろうか?
つくづく、体が隧道に馴染んできたのだなー、と苦笑。
しかし、緩やかな流れがあるものの、水深は深い場所でも5cmほど。
長靴の私にとっては、楽勝なのだ。
屈んで進むのは苦痛だが、ナーニこれくらい、この後に訪れる苦労を思えば…。




 何事も無かったかのように、対岸に到着。
少し歩くと、さっそく、さっきも見た切通が現れた。

 意外にこの塀、高さがあってよじ登るのに苦労したのだがそんな事でへこたれられない。
この先の苦労を思えば…。




 登ってみても、やはり先に坑口はない。
実は、これも事前に知っていたことなのだが…、ここまで総外れだとさすがにテンションが下がる。
例によって、軌道廃止時に危険だということで埋められたということらしい。

 ショボン。




 切通の中に立って、高速の反対側、南隧道のある山を見渡す。
しかし、残念ながら、新しい発見はない。

 高速を飛ばすドライバーのみなさんも、こんなとこに人が隠れているとは思うまいな。






 そして、9月同様に『名も無き隧道』を通り抜ける。
いよいよ、残る最後の希望「北隧道の北側坑口」に向かうのだ。

それこそが、徳光氏が「ある」と断じた、坑口なのだ。




つづく

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2003.4.6