
3号橋梁
強い雨が、切り立った緑の薄い山肌を、垂直に近い灰色の崖を、その底を滔々と流れる褐色の水面を、猛烈に叩いている。

一方、上流側の景色。
この岩肌から、一歩足を踏み外せば即、濁った湖面の塵と化す。
たしかに、前方に残雪の雪渓が見えてきた。
うわー、本当に穴があるよ。
坑口から湖面を見ても、そこには何も手がかりとなる物はない。
この撮影をした時、液晶は消えていた。
撤 収
記念すべき到達を全員で喜び、称え合ったが、如何せん野外でくつろげる雰囲気ではない。

道など無いのだが、先頭のメンバーはしっかりと把握しているらしく、一列になってもの凄い傾斜を登っていく。
視界に天を覆うようなブナの巨木が現れると、思わずため息が出た。

