国道108号線は秋田県本荘市に始まる、東北を縦断し、宮城県石巻市に至る道だ。
沿線には秋の宮温泉や鳴子温泉と言った著名な観光地を有するが、丁山地や奥羽山脈を越える厳しい道でもある。
この二つの大山塊を越えるのがそれぞれ「松ノ木峠」と「鬼首峠」である。
いずれも、平成に入り長大トンネルを含む新道、その名も「松ノ木道路」と「鬼首道路」が相次いで開通。
東北縦断幹線国道としての使命を全うするに足るすばらしい道を供している。
さて、このうちの松ノ木峠は通行量や重要性などの点で鬼首峠には遠く及ばないのだが、鬼首峠以上に険しい旧道が存在し、現役当時には多くのロードマップなどに、脅し文句のような注意書きが踊っていた。
私の手元にある当時のロードマップの一つには(赤字で)こうある―
すさまじい悪路。乗用車通行無理。
実際、10年位前に親父の車で連れてこられたとき、すでに新道建設工事も始まっていたが、旧道は“災害のため通行止め”となっていた。
結局、旧道が現役であった当時には、一度たりとも走る事は適わなかった。
しかし1994年の新道開通から3年後の1997年には、その新道をはじめてチャリで走破。
さらに1999年には、念願の旧道の攻略に成功した。
このときの旧道攻略では生涯忘れられない恐怖に打ちのめされ、もう2度とこの旧道は封印しようと心に決めたほどだった。
(この件については、こちらを参照されたい。)
しかし、時は恐怖の記憶も薄れさせた。
当時はまだデジカメも無く、走破したとはいえ、資料的には不十分ということも気になった。
そしてこのHPの掲示板にて、あるビジター様からこの地のレポートのリクエストを受けたことが、再走を決意する決定打となった。
そういうわけで、懲りもせず2002年初夏。
前回とは逆に、雄勝町院内からの走破に挑戦した。
以下はその時のレポートである。
<地図を表示する>
雄勝町院内にて、国道108号線は2kmばかり、国道13号線と重用している。 写真は、13号線から松ノ木峠を越える国道108号線が右折する分岐点である。 この日は平日で、午前10時前と決して通行量が多い時間ではないのだが、本当に少ないのである。 青看には108号線の行き先として唯一つ『本荘』と示されている。 しかし、国道同士の交差点、しかも一方は建設省直轄の13号線であるというのに、信号がない…。 結局峠に新道が開通しても、その程度の交通量というわけなのですね…。 | |
右折したところ。 いきなり路上駐車ですか…。 のどかだねー。 正面に見える橋は、院内一号橋である。 この小橋を渡ると、道は急な右コーナーを伴いつつ、登りが始まる。 しかしまだ峠が始まるわけではなく…(下の写真に続く) | |
この橋への登りでした。 この院内二号橋は、それほど長いわけでもないが、跨ぐものは多い。 まずは雄物川。 先ほど別れたばかりの国道13号線に、奥羽本線の鉄路。 さらに、県道278号線も国道13号線との合流ぎりぎりで下を通る。 どうだっ!? これは意外と県内最多では?! | |
これはこの日、ちょっと前に撮影した、県道278号線からの院内2号橋の勇姿である。 ちなみに保土ヶ谷氏は、ここの線形(別れた国道13号線の上を跨いで登ってゆく様)がカッコいいと惚れこんでましたな。 きっと奴は、ループ橋に目がないだろう…そんな気がした。 |
すぐに人家はまばらになり、ガススタはおろか商店の一つも無いままに、山野に分け入ってゆく。 一帯に、かつては県下最高の人口を誇った院内銀山街があったことなど、俄かには信じがたい。 それほどに、田舎なのだ。 |
十分一沢に沿って次第に山奥に進んでいく途中の道は、片側1車線ながら未改良の部分も残り、見通しの悪いコーナーも多い。 注意深く進むと、道の脇には次々に鉱山関連の遺構とその案内板が現れ、飽きさせない。 この写真の場所は、観光地でもある御幸坑やかつての銀山街の中心地(現在の人口は0である。)へと至る林道の分岐点だ。 |
からは、僅か500mほどで、目指す旧道の入り口が現れる。 新道は高規格道路と見紛うほどの直線的なすばらしい道であり、この直線を4Kmほど登ると峠越えの松ノ木トンネルに到達する。 旧道は、遥かに9Km先の峠目指して、延々と登ってゆくわけだ。 緑色の取外しの利く車止めが2基設置されているが、突破はたやすい。 それでは、いざ進入せん!! |
ゲートの本命がすぐに出現。 施錠は当然としても、脇の斜面まで鉄条網でぎっちりガード。 そんなに入れたくないんかい?! 甘いよ。 絶対に、人が作ったゲートなどで引き返すもんか!! ガキモード全開で、ここをハッスル越え!!(意味不明ですが、テンションが上がっており、この表現が妥当かと…) |
その先には、私が愛してやまない「国道旧廃道」らしい道が続く。 「いよいよか…。」 ひっかかるのは、3年前、死の予感に恐怖したあの場所が、今回どうなっているかと言うことだ。 それ以外は、走破済の道でもあるし、マイペースでいけると思うのだ。 しかし、あの場所がどうなっているか如何によっては、引き返しもやむ終えないと考えていた。 少なくとも、前回の状況から明らかな改善がなければ、引き返そうと決めていた。 もう一度、おんなじスタントをこなせる自信は、残念だがまったく無いのだ。 少しヘタレモードに入りつつも、いよいよ始まる戦いに胸を躍らせる私に、果たしてこの道は微笑むか?!それとも? |
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