「これが、廃坑だ!」
これが何処かというご質問には、お答えできません。
某県 某廃鉱山



 入坑から10分。
我々が侵入した坑口と同じレベル(鉱山用語で坑道の階層のこと)は数本の枝道を含め、行きつくした。
合わせても500mに満たない、それほど規模の大きくないレベルであるが、やや不自然にコンクリで行き止まりになった通路が二本あり、何らかの封鎖が行われたことも臭わせ無くないが、分からないのが本当のところ。

だが、ふたつめの行き止まりの直前には、今度は上のレベルに伸びる、垂直坑道(竪坑)があった!
この竪坑は滝に近いような大量の水が頭上から注ぎ落ちていた。
竪坑内の空気は、そこにいるだけでジトッとするほどに、濡れている。

竪坑は、見上げると20mほど頭上に天井が見えていた。
だが、その天井から左右に見える横穴に辿り着くには、途中3度の金属足場を経由し延々と梯子を登らねばならない。

先ほど、下りはあっけなく断念した私である。
だが、今度は…。




 立体感に乏しい写真で申し訳ないが、私は意を決して、約5mの高さにある一つめの金属足場まで登った。
そこから見上げた映像が、これである。

竪坑全体に水滴がランダムに降り注ぐ。
見上げるレンズにも容赦なく降り注ぐ。
デジカメには余りにも厳しいシチュエーション。
湿度100%の世界である。

そして、この膨大な水分は、コンクリートが堅牢であり続ける傍ら、金属部分を著しく腐食させている。
頼みの綱の梯子は、既に痩せており、とても身を預けるに心許ない。
今私が立っている足場にしても、同じことだ。





 あなたは、この梯子に命を預けられるだろうか?

それも、この頭上さらに15メートルも。


私には無理だ。
どう考えても、いつへし折れるか分からない。

駄目だダメだ。
とてもじゃあないが、竪坑は無理。
少し悔しい。
隧道ではもう恐いもの無しと、勝手に思いこんでいた私だが、地底世界の圧倒的物量を誇る坑道の世界では、駆け出しも良いところ。
ヒヨコ以下だ。

…それを知ったことが、この侵入劇の、最大の成果であったかも知れない…。




 これが、私の限界。

坑口レベルプラス5メートル。

そこから見降ろした坑口レベル。


引き返し、開始。



 狭い坑道を、陽を求め引き返す。

静かで涼しい地底の空間は、はじめの不安さえ克服すれば、意外に居心地がよい。
そして、私の場合はむしろ、このような壁に体を預けるような狭さが安心できる。
闇は、その容積の分だけ、不安を煽ると思うのだ。
逆に、狭い闇は、さして恐いものではない。

まして、心強い仲間がいれば、なおさらである。
一見恐ろしげな坑道も、鼻歌交じりである。


だが…、 それは甘かった。
本当の廃坑は、 こんなものなどでは…、
なかったのである!





 引き返しの最中、素堀が印象的な坑口付近メーン通路に戻る。

まだ探索していない場所が、このレベル内にあることを、私たちは、忘れていなかった。





 そう!

坑口付近の、不自然に築かれたコンクリ内壁。
その上端部、天井との隙間に僅かに人一人潜り込めそうな隙間があった。

我々は、垂直坑道には、悉く敗北したが、今まで幾多の閉塞もどき隧道を突破し、閉塞壁を垣間見てきた我々を、この隙間は挑発した。

しかし、隙間は狭い上に、床から2.5mほどの位置にあり、床から飛び跳ねてやっと手が掛かるほどだ。
腹筋が弱い私は、この取り付きに苦労し、仲間のフォローがあってやっと、忍び込めた。
頼れる仲間も、まるで忍びのように、天井の隙間に潜り込む。
それにしても、本当に狭い。
痩せた我々でも、尻が閊えて、体をよじらせてやっと前進できるような狭さである。
さすがに、これは辛い。


そして…。




 その奥には、完全素堀、
完全荒廃の、

完全廃坑が!!


それにしても、ここは完全に想定外のレベルだったと思う。
コンクリで塞がれ、末期の坑道からは切り離された、言わば旧坑。
想像外に広大な空洞が、無表情なコンクリの壁の裏に、秘められていたのである。

このシチュエーションだけで、もう充分に萌えたが、もともとスパマリでも隠し土管とかの探索が大好きだった私は、もう堪らない。
失禁もやむなし!





 前半とは全く様相の異なる廃坑が、今現れる。

完全に人の手を離れて、どれだけの時間を経たのか、

もう、何もかもが分からない。

超越の坑道。


いよいよ最終回、…今晩中におつたえします…。



最終回へ

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2004.12.31