地味だけど、珍しい。そんな私好みの“平面ループ”のある道路を、また一つ見つけた!
これまで見つけた2箇所のレポートは、「ミニレポ217 佐白山観光道路」と「ミニレポ250 紀美野町高畑の激レア線形」。
今回は完全に偶然による遭遇だった。
場所はここ。房総半島の中南部、鴨川市北小町の銘川という川に沿って伸びる市道上だ。
なぜこの場所に私がいたかというのは別の探索の話になるので今回は割愛するが、最新の地理院地図にも描かれている三叉路形状の交差点(図の拡大部分)に、“平面ループ的なもの”を見つけたのである。
……“平面ループ的なもの”という、微妙な表現が引っ掛かると思うが、実際の風景を見て貰えば、ご納得を戴けるものと思う。
では現地へ。
2025/2/7 9:50
はい、この交差点です。
けど、実はこの時点ではまだ“平面ループ的なもの”があることには気付いていなかった。
じゃあなんで写真があるのかというと、それは私が探索中、ほぼ全ての交差点で進入前に写真を撮っていたからだ。
この交差点には、3本の道が通じている。
それぞれの路線名は分からないが、おそらくはどれも市道で、各々行先がある。
私が辿ってきた手前方向の道は銘川上流の神山(かにやま)へ、左の道は銘川を渡って対岸の太田学(おおたまなぶ……ではなく「おだがく」)へ、そして直進の道は勝方目(かっぽうめ)へ通じているが、どれも読み方が難読であるうえ超絶ローカルなので以後地名は封印しますね。
で、この交差点の面白ポイントは……
こういうこと。
交差点が鋭角過ぎて、手前の道から左の道へ(あるいはその逆方向も)、大抵の自動車は曲がりきることが出来ない。
まあ、広い世の中には、こういう不便な交差点というのが時々ある。
そして大抵は、そこを曲がりたいドライバーが何度もハンドルを切り返すような運転操作をして、不便を乗り切っているわけだけど……
この交差点は、もしかして……
キッ キターーー!!!
背後から接近してきた1台の黒い軽自動車は、私に続いて問題の交差点へ入ると、
そこで私が想像した通りの“平面ループ的”な運転操作を、なんとも手慣れた動きで実演してくれた!
車はまず、鋭角な交差点を直進して一旦通過。
その先にある円形の広場へ進入すると、ガードレールがある外周に沿ってぐいーーんと旋回!!
進行方向を210°くらい転じた車は、そのまま直進することで先ほどの鋭角交差点を難なく“曲がって”いったのである。
…………いやはや、疾風のような早業で度肝を抜かれたが、
これはまさしく、平面ループ的な交差点である。
しかもこれ、明らかにこういう運転操作を想定したうえでの円形広場の配置だ。
そうでなければこの場所にこんな広場は必要ないし、この丸い外周が何よりの証拠だと思う。
まあ、現地には特に運転方法を指導する表示物がないので、不慣れな人や、勘の鈍い人は、全く気付かなそうだが…。
即興の実演がなければ、私も確信までは持てなかったかもしれない。
@ 平成29(2017)年 | ![]() |
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A 昭和50(1975)年 | |
B 昭和46(1971)年 |
航空写真でも、この平面ループ用の円形広場の存在ははっきりと確認できる。
特に昭和50(1975)年に撮影された画像では、路面にくっきりと轍が見えるおかげで、広場が平面ループのために使われていることがより鮮明である。
轍の濃さから見ても、この交差点においては平面ループを利用した右左折は主流であるようだ。
もっとも、その最も鮮明な轍は、私に実演して見せてくれたドライバーが描いた「α」型ではなく「Ω」型のようだが、特に通行方法の指定はないので好きな方法で良いのだろう。
なお、さらに時間を遡った昭和46(1971)年版になると、この平面ループ用の広場は存在していない。
よって、昭和46年から50年の間に、この平面ループ的なものが誕生したことが分かる。
このように、鋭角な交差点を一度素通りさせてから、平面ループで方向転換をして交差点へ戻す道路というのは、どのくらいあるものなのだろう。
少し目的は違うが、交差点を一度素通りさせてから平面ループで戻すというのは、国道158号の前川渡交差点を高山方向から乗鞍高原方向へ曲がるときもそうである。
他にも皆さまがご存知の平面ループ的交差点があったら、是非教えて欲しい。
これまでのミニレポの中で歴代最少の写真点数だったかもしれないが、今回紹介したいものは以上だ。