走破レポート  直根ひたね林道 その1
2002.6.17


 直根ひたね林道は、秋田県由利郡鳥海町下直根と袖川とを結ぶ、総延長約5Kmの未舗装林道である。

と書くと、何の変哲も無い林道のようだが、ここには、地元の人すらあまり知らないと思われる、“県内最長”がある。
それは、県内最長の林道隧道である。
その延長626m。

 手持ちの地図にもこの隧道が描かれているが、一番細い線でひょろひょろと書かれた道筋に突如真っ直ぐな隧道の記号が長々と重なっており、違和感ありまくりである。
そのうえ、隧道の先にはなんぼも道は描かれていない。
すぐに行き止まりである。
いったいここには何がある?!

 と言うわけで、ずいぶん以前から気になっていた場所であったが、ついにこの道に挑戦する機会に恵まれたのが、2002年6月のことである。
県内最長林道隧道の味は、いかほどか?!

<地図を表示する>

 
鳥海町下直根
2002.6.6 15:43
 この日の旅の最終攻略目標であった直根林道だが、まずはその入り口を探すのに難儀してしまった。
手持ちの地図がとんだガセネタを掴ませてくれたために、初め通り過ぎてしまったのだ。
 この直根林道へ入るにはまず、県道70号線鳥海矢島線から、直根小学校の入り口の標識のあるところで曲がらねばならない。
(私の地図は、直根中学校となっており、騙されたのだ。)
 その道を1.5Kmくらい走ると、この写真の分岐にたどり着く。
丁寧にも直前の黄色の警戒標識には、「←袖川」とかかれており、分かりやすいだろう。

 すでに午後4時近くになっており、秋田市に住む身としては、いくら帰りは矢島駅から輪行する気とはいえ、あまり時間は無い。
この焦りが、最後の最後でトラブルの元になるのだった…。
いきなりの激しいのぼり
15:47
 舗装しているが、その勾配は挨拶代わりにしてもきついものがある。
16度はあるだろう登りが、木蔭の中をほぼ直線的に続いている。

 ひぃひぃ言いながら登りきると、早くもダート化である。
目指す隧道までは、4km程あるはずで、序盤から時間のかかる展開は勘弁してほしい。
巨大送水管
15:48
 いきなり道の脇に現れた、直径3mは有ろうかという、銀色のパイプである。
これを見ると思うのは、「ああ、電源地帯」ということである。
この鳥海町の鳥海山北麓一帯は、深く刻まれた幾多の沢筋と尾根を直線的に貫通する水路が多数走る、知る人ぞ知る大電源地帯なのだ。
規模の大きなダムは持たないが、莫大な量の雪解け水を利用しているのだろう。

 じっくり観察したいところであったが、先を急ぐゆえ、早々に立ち去ることにした。
見晴らしの良い崖の道
15:53
 ダートの道はかなり狭く、幅は3mくらい。
川石のような大きい砂利がごろごろしているが、通行量は結構あるらしく、現に一度すれ違いを経験した。
路肩が相当に弱っており、一部鉄板で崩落箇所を跨いでいるところがあるが、これは早いうちに何とかしたほうが良いと思う。

 見通しの良い場所で振り返ってみた。
奥に見える道が、今通ってきたところだ。
それまで、周囲が木々に遮られあまり感じなかったが、実はかなり険しい、そして高い場所を走っていたことに驚いた。
 残念ながら写真を撮っていないが、谷底の樹海の中にポツポツといくつかの建物が建っているのが見えた。
それは、猿倉温泉や湯の沢温泉のホテルなどだと思う。

ガード下をくぐる
15:58
 突如目の前に現れた奇妙な構造物。
こんな山奥に、まるで新幹線の高架橋のようなものが?!

って、ほんと面食らったよ。
何なんですかこれは?

 ちょうどここからは、この奇妙な構造物に沿った方向に伸びる道が分岐していたので、その道に入り、この構造物の先を少し観察してみた。
 この写真の右側に映るのが、丁度地面の高さに近づいたところである。
中を覗いてみたところ、この構造物も、やはり送水管のようであった。
ほんと、新幹線とか、リニア実験線といった面持ちである。

 林道の上を“水”が橋で跨いでいるなんて、奇抜ぅー。


 さて、本線に戻って、続行だ。
路肩注意の標識
16:02
 腐れ朽ち果てた標識。
「路肩注意」って、こんな警戒標識あるのか?
って、あるわけ無いでしょ。
あまりに、そのまんまじゃないか。「路肩注意」って…。

第一隧道
16:04
 ある角を曲がると、あまりにも突拍子も無くこの隧道が現れる。
地図には無かった隧道だけに、余計驚いたのだが、それもその筈、扁額には「延長29米」とある。
こんな短い隧道、地図にはよほどの大縮尺でなければ、描きようが無い。
思いがけない発見だったが、延長29mは、現役の物としては県内最短隧道ではあるまいか?

 道の狭さに輪をかけて狭い隧道は、幅2m程度。
林道といえば、トラック輸送が主役であるはずだが、この隧道はその要求に応えられるのであろうか?

 そもそも、この道の由緒は森林軌道であったという。
後日それを知って、この狭さも合点が行ったが…。

 この狭さを見たら、問題の、延長626m隧道が、少し、不安になった。

まさか、これほど狭いわけは無いと思うが…。

直根第二隧道
16:06
 ぐげげげげ。

 この穴がそれですかい。
素堀りって訳じゃないけど、なかなか、怪しいですな。 
まず、出口が、1ドットしか写ってないですよね、この写真。
ほんと、こんなに長かったか、626mって。
…長いよな。
出戸浜の元俺んちから、出戸浜駅まで以上だもんな…、って、そんなローカルすぎてわかりませんよね。
でも、ほんと数字以上に長く見える、この狭さゆえに!
なんか、外にいても冷気が頬に当たってくるし…。
やばい、松ノ木(この日は松ノ木峠の攻略もしています)とは別の意味で、しりごみするぞ…。

怪しいんだもの。
なんか。


 入り口の脇の草むらに、何か意味ありげな袋
がぶら下げられているのを発見。
よく見るとこの袋…


 …よく見る袋だね。
どう見ても、ロー○ンの袋じゃ。

しかし、中に何が入っていたのかは、あえて詮索しないことにした。
だって、怪しいんですもの。


 時間もおしており、早速進入することに…。

れっつらゴー。

その2へ

お読みいただきありがとうございます。
当サイトは、皆様からの情報提供、資料提供をお待ちしております。 →情報・資料提供窓口

このレポートの最終回ないし最新回の
「この位置」に、レポートへのご感想などのコメントを入力出来る欄を用意しています。
あなたの評価、感想、体験談などを、ぜひ教えてください。



【トップページに戻る】