ルートレポート 国道345号線笹川流れ 蓬莱山 
2003.3.17



   <天を突く巌>

 脇川の集落を出るとすぐに、海岸線に巨大な石の塔が見えてきた。
海岸に直立するそれは、蓬莱山という。

 
新潟県山北町 脇川集落内
2003.3.6 11:24
 脇川集落内に残っていた旧道。
海岸線すれすれを通る現道に対し、こちらは集落の中を必要以上にうねうねと蛇行しつつ伸びている。
狭いところでは、その幅は2mほどしかなく、とても国道としては用を成さなかっただろう。
写真は、最も狭い部分の直前である。
蓬莱山の出現
 集落を出ると、再びどこからともなく羽越線が現れ、寄り添ってきた。
眼前には、これまでよりひときわ巨大な岩山が、真っ黒な影となって、迫ってきた。
半島状に海岸線に突き出した岩山と本土とを繋ぐ鞍部を、国道と鉄道が仲良くトンネルで貫いている。
なんとも興奮する眺めが次々と現れ、もう、私はすっかりご満悦であった。

 蓬莱第一隧道
 接近してみると、二つの隧道が連なっているのが見て取れた。
まずは、蓬莱第一隧道。
珍しい角型の断面を持つ。
ちなみに、昭和16年に竣工したという“元祖”蓬莱第一隧道だが、その延長は6.5mとのことで、事実ならば驚きの短さだ。
たしかに、現隧道を見ても、殆どロックシェードのように見えるので(というか、多分これはロックシェードだろう)、信じられぬ長さではないが。
 蓬莱第二隧道
 続く蓬莱第二隧道をくぐり振り返ってみて気が付いたが、蓬莱山とは大変良く似た双子の岩山なのだった。
第一隧道でくぐったものと、第二隧道でくぐったものは、別の岩山だったのだから。

 ちなみに、大変縁起の良いものを想像してしまう「蓬莱山」だが、それもそのはず、古代中国で不老不死の仙人が住まう伝説の地を「蓬莱」といったそうだ。
なんとも、ご利益のありそうな地名である。
トンネル名としては最上級かもしれない。
すくなくとも、ここで事故死する人は、いないだろうと、信じたい。

 この、天を突くような巌を越えると、ますます笹川流れの道行きは楽しくなってくるのだった。

根込へ

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