<道の脇に穴>
勝木を発し、笹川流れの難所に向かう国道345号線。
早速現れた鵜泊トンネルをくぐると、小さな鵜泊の集落が現れた。
鵜泊集落は、断崖と海との間の狭い隙間に、道沿いに数軒を連ねる、小集落であった。 集落内は国道も1車線となり、蛇行していることもあり、危険そうだ。 何気なく進んでいくと、ふと、道の脇のコンクリの吹き付けられた法面に、穴が見えた。 一度はそのまま通り過ぎたものの、「やっぱり、穴があったら調べねば」と、Uターン。 引き返してきた私の前には…。 |
そこにはやはり穴が開いていた。 落石防止ネットも、穴の前だけ張られておらず、簡単に立ち入ることができそうだ。 しかし、穴の対面にも民家が並んでおり、穴の中にも廃品のような家財のような…、なんとも判断に困るモノが、大量に積まれていた。 個人の所有物なのかもしれないので、立ち入りは遠慮… するべきだろう。 |
どういうわけか、次の写真は穴の内部と思しき一枚だった。 理性では、立ち入りを自粛したはずだったのだが…。 やはり、穴の入り口付近にはいろんなものが積まれていた。 入ると、急な下り坂になっていた。 階段状に足元の岩が削られていたが、滑りやすく危険である。 5mほど潜ると、そのさきは平坦になっており、意外に奥が深い。 10mほど進んだところで、暗く感じたので今回の旅ではじめての懐中電灯装備となった。 内部の様子は、明らかに自然洞窟のようである。 大きく岩が張り出しており、先が見えないが、まだあるようだ…。 |
20mほどの地点で、行き止まりになっていた。 進むにつれ徐々に狭くなっていたのが、突然ブツッと岩肌に阻まれる感じだ。 何枚かフラッシュを焚いて撮影した写真もあるが、まったく自然な岩肌が写っているのみであった。 内部は、いたって静かであり、浅いので恐怖感もそんなに感じなかったが、どんな由来のある穴なのか、気になる。 海食洞なのだろうか? そんなことを考えながら、帰ろうとして振り返った。 懐中電灯が照らし出した背後の岩肌に、なにやら黒い小さなものが、プチプチッと密集して張り付いていたのを見た。 コウモリだった。 背筋がゾワッと感じたが、写真に収めようとカメラを向けたとき、ふと嫌な考えがよぎった。 「もし、フラッシュの光に驚いて、この数の(50匹くらいはいたと思う)コウモリが一斉に襲ってきたら、気絶するほど怖そうだ…」 チキンな私は、静かにカメラをしまうと、そそくさとその場を立ち去った。 |
浅いのですぐにに入り口に戻ることができた。 こうして、ちょっと気色悪いコウモリ穴の探索は終わったのだが、謎の残る穴だった。 明らかに道路ではないようだったが、海岸線からは50mほど離れた場所であることを考えると、海食洞というのも不自然ではないか? 防空壕だろうか? 先住民族の住居?? まったく見当違いであったが、奥へ進む最中、一つ考えたことがあった。 この穴を進んだら、並走する羽越本線のトンネルに突き当たるのではないか、と。 事実非常に近い位置をトンネルは並走しており、地図を見ても、もう数十mで鉄道トンネルにぶつかりそうに思える。 もしかしたら、穴の奥の岩壁に聞き耳を立てていれば、疾走する鉄道の音が聞こえるかもしれない。 もし聞こえたら、なんかそれって、ステキじゃない! |
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