仙岩峠と言えば、秋田県民で知らないものはない、本邦最重要の峠の一つである。
それは、秋田県と岩手県を隔てる奥羽山脈にあって、秋田・岩手両県の県庁所在地を最短で結ぶ国道46号線の要衝である。
全長2544mの仙岩トンネルを含む8つのトンネルと20以上の橋で構成された、国道46号線仙岩道路は昭和51年の開通以来、峠を意識させないほどの快適な奥羽山脈越えを、提供し続けている。
一方で、一つのトンネルも介さずに、ガチンコで山脈を越えていた旧国道は、現道開通間もなくより秋田県側の大部分が通行止めとなったままで、田沢湖町道「仙岩峠線」と雫石町道「国見ヒヤ潟線」という名も与えられてはいるものの、実質的には廃道である。
峠の標高は、奥羽山脈を超える峠の中でも、旧一級国道としては最も高い890m。
藩政時代より重要な峠であったこの地に、初めての車路が開通したのが、昭和38年。
それが今日の旧国道であったが、わずか15年で廃止されてしまった最大の理由は、この海抜から来る猛烈な積雪であった。
一年間のうち、11月末から6月までは、積雪のため通行できなかったという旧国道。それが観光道路であったならばいざ知らず、幹線国道としてはあまりにも、力不足であったのだ。
そのことは、開通から僅か4年後の昭和42年には、新道建設の調査が始まっている事実からも、窺い知れる。
おおよそ主要な国道らしくない、高山然とした旧国道の有様は、廃止から29年を経ようという今日でも、多くの廃道ファンを魅了してやまない。
当「山行が」でも、道路レポートのNO.4として紹介しているが、今回約2年ぶりに旧国道を通ってみたので、気づいた変化を中心に、レポートしてみたい。
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