北日本の日本海沿岸有数の観光地である新潟県村上市は笹川流れ。
奇岩や断崖絶壁が海岸線に聳え立ち、特に夕暮れが海に沈む頃には最高の景観を見せる。
ここは、その中心地から10kmほど北の鵜泊地区。
海岸線に沿う国道345号線と、それに並んだJR羽越線の単線の線路が印象的な道路景観を形作っており、私の好きな場所だ。
今回のレポートは、その国道脇から見える景色に始まる。
ちょうどここにはJRの塩害試験場が線路端に設置されており、変電所の設備や架線柱などが林立している。実際に潮風にあててその劣化具合を検査しているようである。
これが、国道からも見える、問題の景色である。
そこにあるのは羽越線の現役トンネルなのだが、よく見ると、奥にも穴が見える?
ここは間違いなく単線のはずだが…?(厳密には複線だが、もう一線はより山側を長いトンネルで貫いていて、ここでは地上に出ないはず)
これは、調べねばなるまい。
これはっ?!
たしかに、奥にも手前のトンネル坑口と同じ物が並んでいるように見える!
良く耳を澄ましてみるが、近くに列車はいないようなので、速やかに単線のレールを大股にて跨ぐ。
ここはトンネルとカーブに挟まれた場所で、横断には細心の注意を要する。
しかも、万一ここで列車に遭遇すると、右も左も壁になっていて逃げ場がない。
さて、そのたもとまで近付いてみるも、壁に阻まれ内部を伺うことができないかに見える。
だが、ちょうど良い場所に埋め込み式の梯子が取り付けられていて、ちょうど、この謎の穴へと踏み込めるようになっているではないか。
いよいよ、その内部へと進入である!
それは、残念ながら隧道などではなく、ただのアーチ橋。
本物の隧道坑門の隣に、全く同じ規格で建設されたアーチであった。(←紛らわしい!)
この上を通っているものは、沢である。
ガックリという気持もあったが、気になっていた物が一つ解決し、すがすがしいというのが一番だった。
しかし、本当に外から見ると隧道の坑口と瓜二つである。
問題の穴をくぐって、山肌に取り付き、そしてアーチの上に上ってみる。
そこからは、日本海の海原を見渡すことができる、ささやかな展望地であった。
足元には、コンクリートの水路を透き通った水がさらさらと流れ、陽の光に輝いている。
通行量の多い国道と、日本海縦貫線という幹線鉄道。
その二つに挟まれた、まるでエアポケットのような不思議な空間。
オブローダーを自称する者が休日午後のひとときを微睡むには、もってこいの場所である。
水の流れる下を線路が駆ける不思議なアングルはまた、鉄道写真家にも新しい撮影スポットとなりえないだろうか。
……あるいは、獰猛な彼らのこと、もう既に“開発済み”だったりして……。
こうして、旅先で見つけた小さな不思議は、その場で解決されたのであった。
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