大貫漁港 ――午前6時53分。
今回の旅の出発地。 はじめてくる場所。
海と空を隔てる細い陸の名は、富津岬。
砂洲のようなその高さでは、向こうにある「首都の煙突」を隠せない。
2010/2/4 6:53 《現在地》
この大貫漁港について、私は特に事前の情報を仕入れてこなかった。
そして、現地に早朝立った実感としても、これといって特別な感想を持たなかった。
強いて言えば、房総半島というのはどこまでが都会で、どこからが田舎なのかがよく分からないなあとか、そんな漠然とした感想。
夜駆けで「東京湾アクアライン」を走っているうちはもちろん大都会で、それから暫くコンビナートの夜景もまた都会。
でも、それから峠を越えたわけでもなんでもないが、気付けばこんな場所にいた。
もっとも、この景色が田舎かと言われれば、それもまた微妙でもある。
朝の漁港が無人っぽいのも、なんとなく違和感があった。
で、
この後表の通りに出たら、ビックリ仰天よ!
な!なんだ!
この道の広さは、ただ事じゃないぞ。
しかも、白線とか完全に消えきってるし…。
…なんか、オブ嗅覚的に、怪しい。
だってこれ、2車線の道も「2車線にしちゃ」イヤに広いが、右側のこの帯状の空き地は何?
この部分も将来は道路になる予定なの?
それとも、貨物鉄道でも敷く予定があった??
漁港に面する約400mの直線道路の全体にこの空き地は続いており、ただの空き地とは思えないのだよ。
…まあ、今から向かう「破線道」と関係があるのかは分からないが、それはこの道の真っ直ぐ延長線上に始まるわけで、関係無いとも言いきれないだろう。
どうやらこの空き地は「国有地」らしい。
こんな立て看板が沢山立っていた。
でも、勉強不足でよく分からん。こういうのは。
とりあえず、画像は一箇所だけ加工して電話番号を隠してある。
「財務省関東財務局千葉財務事務所(第一)統括国有財産管理官」の電話番号は隠さなくてもいいだろ。
誰もイタ電しそうにないしな(笑)。
それにしても、「財務省関東財務局千葉財務事務所(第一)統括国有財産管理官」ってキーを叩いたら、指がつりそうになった。素朴な疑問として、こういう長い職名を英語に直すとどうなるんだろう?

こんな珍しい標識が立っていた。
津波の標識である。
過去の津波の潮位を示して警戒心を涵養するこの種の掲示物はよく見るが、敢えて道路(警戒)標識の形をとっているものは珍しい。
しかもデザインの出来が良く、私製とは思えないくらいだ。
もっとも、「高潮注意」の標識だと言われたとしても信じてしまいそうだが。
そして、標識と補助標識以外に、支柱自体も表示を担っているというのが面白い。
支柱の根元から40cmほどの所に巻かれたブルーのテープが、津波の想定高らしいのだ。
7:00 《現在地》
広すぎる道の両側は沿道の駐車場と化していたが、約400m続いた道の終わりも唐突だった。
「東京湾栽培漁業センター」や舟溜まりがある突堤への(普通の幅の)2車線道路が分かれると、一気に幅が狭まり、舗装も途切れてしまったのだ。
明らかに何かが「未成」な臭いを感じる、作為ある道幅の変化であるが、この先に待ち受けている「破線道」は、どんな答えを与えてくれるのだろうか。
いかにも房総らしい、冬なお濃い緑の山が、不気味に迫る。
きっ、キタッ!!
誰が作ったのか分からない、1枚の木札。
こんなものに、公道の定めを委ねられるのか。
この香ばしさ、とてもいいかんじだ。
私のレーダーが反応。
眠かったホッペにビンタが飛んできた。
こいつはオブ的に期待できるかもれんぞ。
約100mの「軒先の砂利道」を走り終えると、バリケードとは言えないくらい簡単な封鎖「コーン×2」が道を塞いでいた。
左の山側は、正月の竹飾りが残されたままの「浅間神社」。
ここにもあまり人が来ている気配はない。
そして肝心の道はというと、広大な2車線道路の面影は全くない狭さ&急坂だが、一応まだ続いている。
もうこの段階で、「破線道」が単なる海岸線の遊歩道ではないことが理解できた。
あとは車道か否かだが、ちょっとこの雰囲気には自信が持てない。
先の景色を読みにくい。
7:02 《現在地》
約20mの坂道を登り切ると、そこはだだっ広い更地というか、造成地。
地形図にあった道とは形が変わっているが、数年以内に造成されたようだ。
周りより一段高くなっていて見晴らしが良く、住宅地にでもする予定だったのか。
海風を遮るものがないので、幾ら東京湾内とはいえ台風とか怖い感じがするが、ともかくこの土地も遊んでいるようである。
真っ直ぐ行く道は、この先50mほどで海岸線に突き当たり行き止まりであった。
残された方向は…、左。
左向けー 左!
こ、これが…
地形図にあったループ橋?
この姿はネットでチラリと見た気がするが、前後のシチュエーション込みだと一層不気味。
…ともかく、行ってみよう。
「破線道」の皮を被った未成道の臭いが、プンプンします。
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