都道201号 十里木御嶽停車場線 第2回

公開日 2008. 6.14
探索日 2008. 1. 3

突撃! 交通不能区間

 やる気のない都道


2008/1/314:06 《現在地》

「関東ふれあいの道」の入口には沢山の車が停まっていた。
その傍らには「異常気象時交通規制区間」の「終点」を示す大きな標識も。
そう言えばこの標識の片割れは7kmも手前の起点に建っていた。この道は連続雨量140mmで全面通行止めになるのである。

しかし、規制区間がここで“空ける”ことに、どんな意味があるのか。
明らかに「ここからは車道じゃないよ」とでも言いたげである。
しかし、騙されてはいけない。
ふれあいの道は県道ではない。まだ県道は車道の形を保って続いている。



前回最後の写真に小さく写っていた“この車”が気になる。

そんなご意見をいただいたので、サービスします。 ⇒




確かに県道は続いている。

この景色だけを見れば素直にそう感じていただけるだろう。
路駐されることを想定していたかのように、ここまでに較べても変に道幅が広い。
架かっている橋は養沢川を渡る「柿平橋」。竣工年は分からない。

ちなみに、橋の手前から制限速度が解除される。(⇒)

だが、橋の先は砂利道であり、60km/hも出したら確実にスピンする。

…なんというか、「異常気象規制」の解除といいこれといい、もう管理側にとってこの先はどうでも良いと思われているように感じた。




こんなに離れたところにも路駐かと思ったら、なんだか様子がおかしい…。

  タイヤが…ない?!




よくドラマに出てくる警視庁の「規制線」(黄色いテープ)が、車のフロントガラスから車体にかけて巻かれており、異様なムード。
イタズラされたのかガラスが割られているものの(そしてタイヤも持ち去られているが)、ボディーには目立った破損もなく、運転者がどうなってしまったのか、他人事ながら気になってしまった…。




とうとう砂利道にまで落ちぶれた都道201号。
依然として路幅は2車線分あるのだが、丸石練積の法面は昭和40年代以前だと思う。

しかも、このまま黙ってこの道を走っていて都道を辿りきれると思ったら甘い。
現在地を地形図と照らし合わせながら、都道が北に折れる地点を慎重に探しながら進む必要があった。




沢にはほとんど水が流れていなかった。
そして、路上の水溜まりには割れた氷が散乱していた。
岩肌が直接露出している法面には、大小の氷柱が無数に垂れていた。

侮れないほど、寒かった。




おいおいおい。


舗装が再開したと思ったら、そこにある青い標識は「林道」の標識じゃないか?

話が違うぞALPS社。
ALPS社の地図だと「プロアトラス2」だとこの道は県道色に塗られているぞ。
標識には「林道御岳線」なんて事も無げに書いてあるが…。

ちなみに写真だと左に行く道もありそうだが、これはただの駐車スペースだった。




それにしても年季の入った看板だ。

表示されている内容は、もはや「道路情報」ではないような気もするが…。

さておき、いったい誰がこんなところから御岳山頂へ車で行こうと思うのだろう…?
普通に地図さえ見ていれば、間違ってもここから車で山頂まで行けるとは思わないはずだ。

長い長い点線道に、私なんかチャリでさえ気が重いというのに…。




上の看板の下段に張られた紙切れ。
なにやら元は地図が書いてあったようだが、全然読み取れないほど汚れている。
しかし辛うじて文字が読めた。

そして、都道マニアでなくてもここへ入ってきてしまう原因が分かった。



車では御岳山には赤線青梅市のルートでないと行けません。

点線(あきる野市)は行止まりです。

*カーナビ使用注意


犯人は、カーナビだった!!

私は持ってないので検証できないが、確かにここに(車の通れない)県道が有るわけで、古いカーナビだと最短距離をナビするときにこの辺りをルートに指定してしまいそうな気はする。
こんなところまで連れてこられたドライバーは気の毒だが、ちゃんと地図を見ないから罰が当たったんだ!(←妙に嬉しそうに)。




舗装されているのは道が急だからかも知れない。
はふはふ喘ぎながら登っていくと、なにやら真新しい道標が、立っている。

あらぬところに、立っている。





  まず、地図を見る。


   ニャオ…。




道標も見る。



御岳山…日の出山…。





ここだった…。




 登山都道でアルバイト


14:17 《現在地》

予想はしていたが、ここまでとは。

まるっきり山道だ。


…まあ、道があるだけマシなのか。

そうだな。入口に新しい道標が立っていたくらいだから、ちゃんと道は有るのだろう。
あとは、チャリを頑張って運び上げるだけだ…。




これからの「難所」を地図で先取りしておこう。

難所っつっても、登山用語で言うところのアルバイト…さほど面白くも無さそうな登りではあるのだが、とにかく体力的な難所なのは間違いないだろう。

現在地の標高は450m。
ググィッと登って日の出山交差点(おそらく日本で二つしかない不通都道同士の交差点のひとつだ!)が780m。
そこからはなだらかな尾根道だが、御岳山の宿坊街(ほんとに家の記号がイパーイ有る!)が850m。

約3kmの道のりで+400mの道のりは、いかにも息が切れそうだった。

…ガンバロウ!




小さな沢の左岸に取りつき始まった“登山都道”だが、100mも行かず直ぐに沢の反対側へ移った。
橋もなく、適当に沢を渡る。 おそらくここが最後の水場になりそうだったので、手持ちのリットル数を確認。
まだ2リットルもあった。冬なのに持ちすぎだろ自分。(たいがい食料と水は持ち過ぎなくらい持っているのだった。)




廃道でもなければ、車道でもない。

ぶっちゃけ私の守備範囲じゃないんだよね(笑)。

まあ、県道(都道)マニアとしては、ギリギリセーフの対象内なんだけど…。


沢を渡った途端とても乗っては進めない坂が現れ、そりゃ不満も垂れる(ダラーン)。




せめてもの救いは、天気がとても良くて、日射しが気持ちいいこと。

山を歩くにはもってこいの日和ではあるのだ。

登山道だと思うからつまらなく感じるのであって、明治の地形図にも載っているこの道は修験者たちの信仰の道でもあったはず。
そう言うのは自分好きよ。

この登りには、だいぶ時間も掛かりそうだし。
腰を据えてじっくり押していこう。
まずは、“交差点”まで1.5kmの辛抱だ。




始まった始まった。

地形図には控えめに数個だけ描かれている九十九折りだが、描ききれないような小刻みな九十九折りが始まった。

これは本当に九十九あるかも知れないと思えるようなクイックさ。
こんなにカーブしているのに、勾配が全然緩くないのも男らしい。


  …もう暑い。





14:32 登りはじめから15分経過


ぐねぐね…




20分経過。

ぐねぐね…




25分経過。

ぐっ  ぐねぐね… ぐね。




14:47 30分経過。


まだまだ 先は長そうだ…。



相変わらず九ぐ十ね九ぐ折ねりが続いているが、ぬっこ。

ぬっこが出て来た。

いやー、すごいぬっこだ。ぬっこぬこだ。




40分経過。


にゃ〜にゃーぐねぐね…

  にゃ〜にゃーぐねぐね…




45分経過。


ぐねぐねにゃ〜にゃ〜…

  ぐねぐねにゃ〜にゃ〜…




<この辺にカーソルを合わせると面白いよ。ビクンビクンするよ。

50分 経過…


おじちゃん… なんで俺のチャリってこんなに重いの?


それはねー… 安いからだよ。


もう、俺のふくらはぎは、炸裂寸前だよ。




15:10 登りはじめて53分経過。


結果的に、このカーブが最後の九十九折りだった。


…もう九十九折りという言葉は言い飽きた。 書き飽きた。
そこで唐突ですが皆様から募集します。
九十九折りのような道を表現する新しい表現を教えてください!
既成でも、自作でも構いません!
良いものがあれば、今後のレポートで使わせていただきます!(一例)電光形のカーブ、羊腸の道、




お、尾根だー。

やっと尾根だー!





どうやらここまで来ているらしい。(⇒)

海抜約700m。
入口から250mの高低差を800〜900mほどで登り詰めたことになるのか。
キツカッタ。



都道(登っている最中はそんなこと忘れていたよ…)は、ようやく自転車を許した。

まだ登りは続いているが、乗車が可能である。
ああ、なんて有り難いんだ車輪!!

車輪バンザイ!
チャリバンザイ!!
シングルトラックばんばんざい!!!




尾根の上に立ったのも束の間、ダラダラ登っていたら尾根筋から取り残され、かなり険しい山腹に入ってきた。
しかし地図を確かめると道は間違えていないようだ。間違えるような分岐もないし。

それにしても、広大な杉林である。
杉林にも、思わず手を合わせたくなるような美林はあるが、若年〜壮年期の杉林は最もありふれた風景であり、人工林らしさが悪い意味で一番目立つ。
やっぱり、この道は「アルバイト」だ。




一気にペースは速くなっている。
なんと言っても「乗れている」のだ。

山腹に取り残されたようになって一時不安を覚えたが、結局、尾根の方がまた迎えに来てくれた。
行く手に鞍部を予感する。
まだ“交差点”ではないが、重要な通過点である。
そこは、あきる野市と青梅市との境なのだから。(ついでに日の出町とも)




やったー。

やっぱり峠は嬉しいもの。

たとえあまり面白くない道(言っちゃったよ…)でも、峠は嬉しい。

前述の通り、この峠を乗り越すと青梅市となる。
また、ここはちょうど日の出町との境にもなっており、「三国峠」ならぬ「二市一町峠」である。




15:18 登りはじめて1時間と1分。 《現在地》

西日がわずかに懸かる、薄暗い杉林の中の峠。
そんな光と疲労のせいにさせてもらいたいくらい、酷い写真である。
いまだかつてここまで峠の写真が「ダメ」だったことがあったか。

まあ、峠と言っても…

  これを越えたところで下りになるわけではない。

そんな微妙な峠である。

しかしともかくここまで来れば、”交差点”も、目指す”宿坊街”も、
さほど遠い存在ではない。




長いサナギ(ローテンション)のときは、いずれ終わり、

興奮の成虫時代(ハイテンション)がやってくる!



我ながら嫌な喩えなので、以後封印…。