ミニレポ第154回 大貫海浜橋(仮) 

所在地 千葉県富津市岩瀬
探索日 2010.2. 4
公開日 2010.8. 6

若人に見捨てられた橋




大貫海浜橋」という名前は私が仮に付けたものだが、

まもなく実物を目にした皆さんは、

この命名に作為的なものを感じてしまうと思う。

というか、この橋が架かっている場所の名前を書いてしまうと、その時点でメッキははげてしまうのだ。







《現在地》

なんの脈絡もないが、とにかくここを左折する。

看板があって、「大貫海浜児童遊園地」とかいてある。

大貫海浜児童遊園地にあるから、「大貫海浜橋(仮)」である。



…ブラウザは閉じないでね。 もちろん、“タブ”もね。






これが、大貫海浜児童遊園地だっ!




ひゅー……



…いざ、入園!




事件現場みたい…。

























死屍累々。


この公園遊園地には、生きた遊具はないのだろうか。


異様な気配が辺りに漂っている。

すぐ背後は海なのに、渚の音も聞こえない。





周りには人がいるのに、この公園だけが無視されている?



生きた遊具を探して、せまい園内を彷徨う。



れは、


あらわた。



まる




たしを、





待っていたかのよう





一本の吊橋。


今まで数多くの吊橋を見てきたが、

主索と橋板が一体になっている形式は、初めて見る。


これは遊具に過ぎないけれど、

太古の昔、人類が最初に編み出した吊橋も、この形式ではなかったろうか。




明らかに傾いている。




男として生まれてきたからには、

渡らなければならない橋がある。

たとえ、命を懸けることになってもだ。






主塔と橋台を兼ねる櫓に、無言でよじ登る。

そして、全長10mほどの世にも美しいカテナリー曲線を俯瞰する。


この高さゆえ、潮風が耳腔に音を立てた。

たまらずに目を閉じると、

母の顔が目蓋に浮かんだ。





オブローダーに、手向けのことばをかけるものはいない。

自己責任の四文字が、重くのしかかった。

しかし、目蓋の母はにっこりと笑った。



私は静かに目をあけ、定められていた一歩を踏み出した。



【渡橋動画】









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