2013/2/1 16:20 【所在地(マピオン)】
先日、何か面白いところは無いかと道路地図を眺めているときに、こんな場所を見つけた。
現場は房総半島の南東部にある御宿町の北の辺りで、いすみ市や大多喜町とも接する山間であるが、右図のように、前後が途切れた県道がポツンと一塊だけ描かれていた。
そしてこの短い区間にもちゃんと県道の記号が付されていて、それによると県道174号であるという。
千葉県道174号「勝浦布施大原線」といえば、以前に車で通ったことがあり、山間のローカル県道ではあるが、ちゃんと全通していて未開通区間があるという意識はなかった。
基本的には東西方向の路線である同県道が、この孤立区間では明確な南北方向の路線として描かれているなど、奇妙な感じはある。
もしかしたら地図の間違いかも知れない(地図によっては県道の色で塗っていなかったりした)と思ったが、どちらにせよ「道」自体は描かれていたので、現地確認の必要はあった。
そして先日、ようやく行ってみたのが、このレポートだ。 わくわく。
2013/2/1 16:21 《現在地》
前後が断絶している県道区間(孤立区間)であるが、当然、何か別の道とは繋がっている。
それはいずれも御宿町内から伸びる1本の町道と、1本の林道である。
この2本の外部からのアクセスルートのうち、私は町道の方を選んでこの場所へやって来た。
現在地は町道と県道の十字路の直前であり、右に見えるガードパイプに囲まれた部分が、問題の県道孤立区間だ。
青看も信号もない十字路へと進入する。
ほふっ!
っと妙な声が出た、これが本邦初公開の孤立無縁県道の姿であるか。
全くなんてことのない普通の道っぽいかと言えばそんなことはやはりなく、なんかもうこの時点で、侘びしい。
そして、荒んでる。
あるべき白線が薄れすぎだし、横断歩道なんて完全に掻き消えている。
歩道も枯れ草まみれじゃないか。
地図を見ると、この十字路は孤立県道のだいたい中央であり、右にも左にもそれぞれ300m程度道が描かれている。
いったいどっちから探索してやろう?
まずは、
右を見ると…
早速ありました!
未成道の定番アイテム。
“半バリ”!(車が通行出来る範囲内で道幅を狭めるバリケード)
…こっちは、後回しにしようかな。
今度は左を向くと、
こっちはとりあえず、障害物の姿も見えず、ちゃんと道が続いていた。
先にこちらから行ってみよう。
薄い!
中央に広いゼブラゾーンを有する白線があるのが、お分かりいただけるだろうか? こんなに白線が薄くなるまで放置されているというのは、普通じゃない。
16:21 《現在地》
薄い薄い、薄すぎるッ!
先程来の中央のゼブラゾーンの真価が発揮される右折レーンがあるのに、その存在がもうほとんど肉眼で捉える事が難しくなっている。
そしてこの右折レーンの先にあるのが、先ほどの十字路に“青看”代わりにたった一つだけ存在した「案内板」が指し示す…
キャメルゴルフリゾートという名前のゴルフ場だ。
2月の寒空には少々不釣り合いなヤシの木が、砂漠に見立てた芝生の野原に林立する姿は、周囲の景色とはあまりに乖離した別世界だ(御宿町と言えば「月の沙漠」が有名なので、全く無関係というわけではないが)。
だが、その事を抜きにしても、ゴルフ場が管理するその進入路との境目は哀しいほどに際立っていた。
舗装の風合いがぜんぜん違うし、少なくともあちらは白線がしっかり見えるのだ。
目を覆いたくなるほど露骨な形で、貧乏とリッチの格差を見た気がした。
何だか他人事とも思えず、いたたまれなくなった私は、逃げるようにして直進した。
これまで通りの薄弱な白線の道へ。
何だかタイヤ痕までこの道を軽んじているようだった。
道間違いに気付いて露骨にターンをした形跡があった。
ゴルフ場の方が、よほど大切らしいと言うことが感じられた。
こんな情けない管理状態の道が、一部の道路地図が示すとおりの「県道」なのだろうか?
失礼ながら、これは御宿町道ではないのか…?
“ヘキサ”のようなものも見あたらないし…。
174 「バカヤロウ! 恥ずかしくてヘクサなんて建てれるかyo!」
シクシクシク…
今のは鳴き声じゃないですよ。泣き声ですよ。
あんまりですよ、これは。
ゴルフ場にアクセス出来たら、もう用済み…。
…ゴルフ場との分岐地点から100mも行ったか行かないかの所で、こんな無慈悲な案内板が現れた。
[一般車は通りぬけできません。]
この先は地図だと一応、実谷林道に通じているように書かれているが…。
案内板の記名が地味に… 「千葉県・大原土木事務所」 だった。
ヘキサはなくても、県が管理している道路であると告ってしまった >_< !
御宿町道ならば、この表示はありえないのである。
確かにこの道は、県道である…!
16:27 《現在地》
最初の十字路から300mで、行き止まりではないものの、道幅が一気に4分の1くらいになった。
ちょうどここは地図の上でも県道としての着色が途切れる地点であり、県道174号の開通区間の南限と考えられる。
近くには民家も見あたらず、誰が捨てに来るのか分からないゴミ収集箱らしきものが有るほかは、“半バリ”だけが目立つ侘びしい未成道の終端であった。
まあまあよく見ると、なんか汚らしくくちゃくちゃになった看板も落ちていたけれど…。これがまた目を背けたくなるほど貧乏くさいシロモノで…。
くちゃくちゃの看板の、風に吹き飛ばされただろう一片…
曰わく、
「一般車は」
ぐにゃー!!
さんざん廃道や旧道、寂れた道を奉ってきた私としては、今さら道路景観の美観がどうのとか、整理整頓だとか、そういう話をするつもりは毛頭ない。
だが、廃道では萌える光景も、それが現役の県道にあるとなると、萌えつつも「これでいいんか」と言う気持ちも生ずるのは確かである。
県道174号の終端部の案内はこれで良いのか、大原土木事務所(=現:夷隅土木事務所)!
お読みいただきありがとうございます。 | |
当サイトは、皆様からの情報提供、資料提供をお待ちしております。 →情報・資料提供窓口 | |
このレポートの最終回ないし最新回の 【トップページに戻る】 |
|