南秋田郡

  総  評 
 県都の北西にあり、日本海に突き出した”巨斧”男鹿半島が男鹿市の市域である。また、半島の付け根を成す広大な陸繋砂洲には八竜町や若美町、天王町が位置している。さらに、巨大な汽水湖八郎潟には、東洋一の巨大干拓地大潟村が存在する。
これらの地域のうち、林道が存在するのは、半島本体部のみであり、他はせいぜい防砂林内道であり、それらは取り上げていない。
半島本体には、男鹿三山と寒風山という二つの山が仲良く並んでおり、それぞれには領域に相応の数の林道が存在する。
また、この地域では林道以上に、かつては有料道路であった観光側面の強い道の数々が、目立つ存在だ。
大桟橋有料道路に由来する県道59号線男鹿半島線などがそうだ。
これらはいずれも枯れた道であるが、その景観はいずれも十分にサイクリストを楽しませるものである。
もちろん圧倒的な高難度林道男鹿林道など、見るべき林道もある。

県都に近いが、半島という地形から、そのアクセス性はあまり良くなく、また、特徴のないピストン林道が多いこともあり、林道の走破率は、50%程度であろうか。
五秋林道 起点(右)  井川町井内
広域基幹林道21800m  古くから存在する林道で、その名の通り、秋田市と五城目町を結ぶ。一市三町にも及ぶ長大林道であるが、全線が舗装され、景色に変化が少ないこともあり、余り楽しくはない。五城目町富津内から同町馬場目までの8.4km区間が最も険しく長い。次の井川町井内までの5.8kmや、さらに次の昭和町上虻川までの4.7km区間、最後の秋田市黒川までの2.9kmなどは、単体では辛いこともないが、続けて走るとなると、かなりしんどい。
富津内中津又秋田市 黒川
1999年以前全面舗装
中村林道  
林道2000m  五秋林道富津内-馬場目間の、馬場目から4km地点で東に別れ、そのまま山を下り、直下の中村集落に降りる道。非常に急勾配である。それ以外には余り特徴のない道。
1999年全線舗装
富田林道  
林道3500m  富津内で国道285号線から県道4号線が別れるが、この十字路を県道と反対に折れると、この林道。暫くは沢地の田んぼに沿った農道のような道だが、ラスト800mほどは、舗装された極めて急な上り(16%)。一気に五秋林道に合流する。
1999年砂利
松葉沢林道  
林道1300m  この道は、一見して林道とは思えない。確かに一部は森の中を走るが、殆どは、公園の管理道路のようである。国道のバイパスと、旧国道(現県道104号線)とを結んでいる。なぜこれを林道として紹介したかといえば、新設時「ふるさと林道事業」で施工され、また、密かに「松葉沢林道」という名も与えられているからだ。
国道7号バイパス和田妹川
1999年以前全面舗装
五秋蛇喰林道 終点
林道5400m  この道は、多分まだ未完成なのだと思う。2003年現在どれだけ進捗したかは不明。1999年頃までに開通していたのは、五秋林道側が、3.6kmほど。蛇喰側からは1.8kmほどであった。五秋林道側は、稜線上でアップダウンを繰り返す道である。蛇喰側は、非常に急な上りである、境界は不明だが保呂瀬林道に接続しており保呂瀬温泉にまで抜けることが出来る。
五秋林道馬場目蛇喰
1999年以前建設中?
大又沢林道 起点  巨岩“そぞけ岩”  広場  終点付近は廃道
県道6000m  井川町最奥の集落大台の奥は、井川源流部であり、険しい山岳地帯である。その奥にまで踏み込むのがこの林道だ。県道228号線の不通区間でもある。集落の先、未舗装になる部分が起点。すぐに新城林道が分岐する。右に用水地を見つつ、3kmほど進むと、一度沢を渡るが、ここの橋よりも高く積みあがった苔むした巨岩は圧巻である。この先はいったん九十九折の険しい上り。2kmほどで広場に出る。さらに道は続くが、最後の1kmほどは酷い廃道。
井内大台井川源流部
2002年ダート
大台林道 起点
林道3000m  大又沢林道の起点から1kmほどの地点から、北へと伸びる林道で、標柱があり分かりやすい。何の変哲もない杉植林地の中の林道だが、一帯は、ヒル駆除剤の試験に利用されるほどヒルの大量発生地。もう踏み込むまい。
1999年砂利
新城林道 起点  見晴らし  鬱蒼たる杉林  終点
林道4800m  畑の沢林道から分かれ北進、昭和町に入り大沢林道と分岐。さらに北に進んで、井川町に入ると、途中2本の支線が東側に分かれる。 まもなく田んぼが現れると、大又沢林道の起点付近に合流し、終点。ほぼ全線は、鬱蒼とした杉植林地にあり、路面も非常にダーティ。 ただ、起点付近には、木々の間から遥か男鹿半島までを眺望できるスポットがある。
畑の沢林道大又沢林道
2002年荒れたダート
大沢林道 終点(右)
林道3600m  県道229号線の終点は昭和町の豊川上虻川だが、その先にさらにこの林道が続いている。暫くは長閑な田んぼの合間を進む。次第に鬱蒼とした杉林の中に入り、最後の数100mは、舗装された非常に急な勾配。新城林道に合流し終点。
1999年以前砂利
無名支線 計2本  
新城林道約 2000m(計)  新城林道より、沢沿いに東へ伸びるよく似た二本の支線がある。 いずれも、荒れ果てている。
1999年以前廃道
保呂瀬林道 (仮称) 起点(左)
林道6500m  県道15号線に面した、保呂瀬温泉の脇から入るが、標柱はなく名称不明。初めの2.1km程は保呂瀬沢沿いで、落石が多い。何度か沢を渡ると、一の沢林道が右に分岐する。ここから先は急な勾配で、一気に250mほど海抜を上げる。この区間はなかなかハード。峠の先も、アップダウンを繰り返し、分岐から4.4kmほどで、左、右の順で支線と分岐。この地点より先は、五秋蛇喰林道と考えている。
馬場目保呂瀬五秋蛇喰林道
1999年以前砂利
無名支線 (計2本)  
仮設林道計4200m  保呂瀬林道の終点であり、将来延伸されるであろう五秋蛇喰林道と接する部分の付近には、それぞれ南北に伸びる、2本の支線がある。いずれも仮設的なつくりで、しかも進めば進むほど荒れているという、大変にくたびれ損な道である。ちなみに、北の道が2700mほど、南の道も、1500mほどある。
1999年以前ダート・廃道
一ノ沢林道 (仮称)  
林道3300m  保呂瀬林道から分かれると、しばし沢を遡上するが、私が通ったとき、この区間は流水に抉られ、路上に深さ50cmほどのドレーンが無数に作られていた。これに散々苦労した記憶がある。終点は山腹だが、池塘のような池があり、高山的な景観。
2002年砂利
無名支線 (仮称) 起点(左)
仮設林道1100m  この道の起点は、保呂瀬林道本線の起点とは、橋一本を挟んで間近である。そして、その終点も保呂瀬林道上である。沢沿いの本線と並走するが、こちらはだいぶ高い位置を行く。約3kmの全線は、元々が急勾配である上、殆どが草生した廃道で、大変に困難な道である。
1999年以前廃道
関ヶ沢林道  
林道1500m  馬場目川の支流である関ヶ沢に沿う林道だが、短いし、これといった特徴もない。鬱蒼とした森の中のじめじめした林道。林道名を記す標柱は、終点にある。
馬場目恋地--
1999年以前ダート
杉沢林道  北の又集落  集落を出ると砂利道  道の脇にある廃隧道
林道8800m  馬場目杉沢にて県道15号線から東に分岐し、1.8kmほどで再び県道へと合流する。この区間は県道竣工以前の古い道で、砂利道なこともあり、余り使われていない。そこから1kmほどは五城目町最奥の集落である北ノ又や、現役の茅葺屋根集落である盆城庵を県道と重用して抜ける。 橋を一度渡ると、そこからは山を越えた先の秋田市仁別まで県道は不通区間であり、いよいよ杉沢林道の本番である。ここから約6km、美しい渓流に沿って森林軌道跡を林道は続く。最後は仁別から伸びてきている中ノ沢林道に出会い終点。
馬場目杉沢中ノ沢林道
2001年ダート
銀の沢林道  
林道1500m  杉沢林道中ノ沢林道が接する地点は、光沢園地(サドル事件の現場だ…)と呼ばれ、ここからはこの林道が伸びている。しかし、さして長くはなく、終点は馬場目岳の登山基地となっている。といっても駐車場ぐらいしか施設はないが。両岸の切り立った断崖には、例年夏まで雪渓が残る。
1999年以前砂利・廃道
北ノ又支線 起点(左)
林道3000m  杉沢林道最大の支線であるはずだが、起点から3kmほどの地点で著しく崩壊し廃道化している。その先もかなりあるはずで、本来なら追調査がなされるべきなのだが…、ヒルが多い地帯であることから、未だに二の足を踏んでいる。
1999年以前砂利・廃道
中ノ沢支線 (仮称)  
林道1800m  北ノ又支線から、さらに分かれている道で、分岐点は起点から1.9kmほどの場所。この道も著しく廃道化しており、背丈ほどもある叢と化している。それ以外にはこれといって特徴のない道。
1999年以前砂利


未走の主な林道
山田林道男鹿中山町の国道101号線に標柱があり、確か2kmと表示されていたと思う。男鹿林道に合流するのか?
安全寺林道(仮称)北浦安全寺地区には、幾筋もの林道がある。
それらのいくつかは、併走する2本の道「なまはげライン」と真山林道とを結んでいるようだ。
入道崎林道(仮称)半島の突端部の台地上の地形を走る道があるようだが、未実走だ。
半島内では最もアクセスしにくい一本だが、その景観が気になる。
そのほかに…半島内には、地図には表示していない未実走の道がたくさんある。
それらの多くは、男鹿三山の北麓や東麓にあり、相互連絡のない沢沿いのピストンが多数のようだ。
これらは、地図上からは面白みが感じられず、また、半島のアクセスのしにくさもあって、攻略は後手に回りがちである。
今後の課題であろう。