これから紹介する道は、未完の道である。
東北地方を東西に分かつ、北日本の脊梁である奥羽山脈。
秋田県と岩手県との境界は、鹿角市付近を除いて、完全に奥羽山脈の主稜線に一致している。
その海抜は、火山地帯である秋田県南部、および北部では高く、一部は1500mを超えている。
対して、中部は海抜1000m界隈で、その盟主は和賀岳、海抜は1440m。
同じ秋田県内にある、今や全国区の観光地名ともなった白神山地に匹敵する、恢廓なブナ樹林地帯である。
この一帯を、特に和賀山地とも呼ぶ。
右図は、和賀山地を横断し、秋田県と岩手県を結ぶ道たちである。
北から、
国道46号線仙岩峠で、この辺りが、和賀山地と、北に接する八幡平山地との境界線である。
秋田自動車道開通以前は、秋田県と岩手県を結ぶ最大の交通路であった。
そして、その南側には広大な無車道地帯が、和賀岳を挟むようにして、おおよそ直線距離で30kmも広がる。
次に現れる車道は、昭和の終わり頃に開通した峰越連絡林道の真昼岳林道である。
全線未舗装、最高海抜900m、30kmを超える山越えは、奥羽山脈と戦っていると言う実感を通る者に与えてくれる。
一帯でも、最も険しく、年中復旧工事に追われている難路である。
そして、この南側は急に道数が増えてくる。
未だ車道不通の万年工事中県道「主要地方道花巻大曲線 笹峠」では、峠を挟む残り5kmほどの建設の凍結が論議されており、今ピンチ!
広域基幹林道の萱峠線もまた、30km近い延長で奥羽山脈を横断する迫力の山岳林道である。
こちらも荒廃が年々進んでいるようで、一般車両は不能だ。
南端は、奥羽山脈の天然の風穴。
僅か海抜250mは、脊梁の中部としては稀な低さであるが、この巣郷峠を通るのが国道107号線、そして、秋田自動車道である。
言うまでもなく、秋田県南部と岩手県中部の交通要衝だ。
このように、幾つかの車道が既に開通し、または、建設中である。
しかし、今一度地図を見て頂きたい。
全線を点線で示した「奥地産業開発道路」、 通称 “ 奥 産 道 ”
そこには、長大な道が、半ば造られたまま眠っている。
しかも、未開通の峠を挟んだ未完の区間は、意外に僅かなのだ。
そのことに、現地で気が付いた時、私は興奮に震えたものである。
前置きが長くなったが、今回はこの奥産道の、秋田県側を、紹介して参りたい。
なお、一応色々と調べたが、奥産道という事業の仕組みなどは分からなかった。
全国に同じ名で呼ばれたことがある道は幾つも存在したようだが、その大半は完成後、県道などに昇格し、開通後も奥産道と呼ばれているケースはないようだ。
誰か、詳しい方がおられたら、奥産道の仕組みを、是非教えて頂きたい。
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