神奈川県道701号 大山秦野線 第1回

公開日 2009. 3.22
探索日 2009. 3. 2

【所在地(外部リンク)】

また、オカシゲな県道に行ってきまつた。
神奈川県の一般県道701号、大山秦野(おおやま-はだの)線だ。

その異様な様子は右の地図の通り。

県の資料によれば、「起点」が伊勢原市大山の一般県道611号大山板戸線(通称:大山街道)上にあることになっているが、地図上に県道色で塗られた道が現れ始めるのは、その県道611号から400mほど山に入った地点からである。しかも点線として。(縮尺の小さな地図では、伊勢原市側の道は全く描かれていないこともある)

海抜450mの「峠」付近は林道と重なっているのか、とにかく地図上では林道が県道色で塗られている。
そして秦野市側だが、麓へ下っていく林道を尻目に、県道は忽然と消失。

…したかと思えば、またヒョロヒョロと現れては県道70号秦野清川線にぶつかって「終点」である。

山腹に突如現れたり、峠で消えたり、まるで幽霊か蜃気楼。
「おお、山肌の(県道なのか?)」 (←思いついてしまったからには書かないと気が済まない性分)

全長4.9kmの「ミニ県道」だが、この細切れでは、おそらく全くと言っていいほど役に立っていないはず。
いいねぇ、無能県道大好きだよ!!!
その「しょぼさ」を確かめるべく、秘密兵器を手に早朝の秦野へ急いだ。 (←まったく急ぐ必要は無い)




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終点側からアプローチ 秦野市寺山


2009/3/2 6:13 《現在地》

ここは秦野市の北、丹沢山系の裾野にある「源実朝公首塚」の駐車場だ。
問題の県道の終点は、ここから1kmほどしか離れていない。
今回はここにクルマを停め、自転車で「自動車交通不能」県道の踏査を目指すことにした。

敢えて終点側からアプローチしたのには訳がある。
起点は県道611号上にあることは確かだが、地図に道が描かれていない以上、秘密兵器があるとはいえ場所がはっきりしない恐れがあるためだ。

え? 秘密兵器って何だって?
不通県道踏破における「諸刃の剣」こと、道路台帳(のコピー)です…。
そこには、道路地図や地形図にさえ描かれていない全線が、バッチリ描かれていた。



目指す峠は、丹沢山系が相模平野に下ろした稜線の中途を越えている。
大山-浅間山-目指す峠-高取山-善波峠(国道246号)-釈迦山- という流れだが、この景色を一目見て「旨みの少ない峠だな…」という印象を受けた。

だって、南に3kmばかりも迂回すれば、海抜200mに満たない善波峠(今はトンネルがあるのでもっと低い)があるのだ。
目指す峠の標高は450mもあり、自動車交通の現代においては迂回の方が遙かにラクそうだ。

…道理で自動車が通れないまま放置されているわけだよ…。

出発前から裏が見えてしまった気がしたが、それはべつに構わない。問題は、そこにどんな県道風景が待っているのかと言うことだ。




思いっきりズームで峠を覗いてみた。
(今年頭から従来のコンデジ(LUMIXシリーズ)をサブに降ろし、ちょっとだけゴツいフジの「 FinePix S8100fd」をメイン機にしました)

峠のすぐ下までゴルフ場が見えるが、台帳コピー曰く、県道はその敷地の縁を登っているようだ。

まあ、どう見ても自動車道のありそうな勾配ではない。
それでも、道が示されている以上は、行くしかないわけで…。
道路台帳があると、引っ込みが付きづらいんだよなぁ(←だから諸刃なのだ)。

ともかく、首塚に一礼して出発進行!




6:30 《現在地》

市道から県道70号に入り、少し登っていくと早速現れた。
県道701号の終点、秦野市寺山の交差点だ。
青看も無ければ、県道の分岐を示すようなものは何もないという、お約束の展開。

直進左方向が県道70号で、神奈川県民にはお馴染みの山岳道路としてヤビツ峠へ続いている。
そして、右折が県道701号である。
だが、右の歩道の広がりなど交差点の形をよく見ると、本来の直進は県道701号へ通じていたことが明らかだ。

詳しくは後述するが、実は主要地方道である県道70号より、一般県道701号の方が遙かに由緒のある道である。




迷わず右折する。
ここ(海抜190m)から4.9km先にある「起点」(海抜220m)を目指すが、ほぼ中間に「峠」(海抜450m)が立ちはだかっている。
また、市販の地図に県道が描かれているのは1.4km先までに過ぎない。



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地形図で見ると右の通り。

緑は県道70号、黄色が県道701号のルート(道路台帳曰く)である。

ゴルフ場の脇を掠めるようにして一気に峠へ登っていく様子が描かれている。
相当な急勾配が想像され、自転車ではきつそうな予感がヒシヒシと…。




およ!

これは想定外。

よほど棄てられたようになっているかと思っていたのに、なにやら「道路を広げる工事を行っています」。

看板にはしっかり「道路改良工事」「発注者神奈川県平塚土木事務所」とあり、ここが県道であることを主張している。

しかし、よくよく調べてみるとこの工事、直ちに峠の向こうまで開通させるために行っているわけではないようである。
将来この付近を「第二東名高速」が通る予定があり、そのための工事用道路と言うから、沿道の住民サービスのためでさえないのかと逆に驚いた。




両側に民家が密集しているが、早速にしてかなり急な上り坂である。
そこを通勤らしき乗用車が勢いよく走り込んでくる。

工事中の片側交互通行になっている部分を過ぎると、まだ真新しい舗装の道だ。
だが、そこは早くも、“道路趣味者”の鼻をくすぐる怪しい光景である。

何が怪しいかって…




なんなんだ?
このバンクのような激しい傾斜は。

明らかに路面全体が西低東高に傾斜している。
それは通常の横断勾配ではなく、設計ミスではないだろうが、何らかの異常を感じさせるものだ。

大量の障害物で道幅も無理矢理狭められているし…。




そのうえ障害物は、この道を管轄する「平塚土木事務所」の備品だけじゃなく、お隣の「藤沢土木事務所」のものが混ざっている。
事務所同士で備品のやり取りがあっても不思議はないが、でも今まで見たことのない景色だ。
”藤沢くん”だけが妙に色あせているし…

とにかく、いきなりのオカシゲな展開だ。
しかも、この後がもっとおかしかった。




これは、なんでつか?


車道と歩道のようではあるけれど、両者のセパレートが何ともチープ。

石垣のように見えるけれど、実態は単なる土嚢…。
否、土嚢袋にセメントを詰めた、セメント嚢である。
確かに石垣同様の役割を果たしてはいるけれど、畏れながらも天下の公道である県道をしてこのやけっぱちな「道路構造」って、ありか?

舗装されていてクルマが通れるなら、べつに良いジャン?

そんなことを言う人は、この後の区間でお仕置きされるがよろしい。




(←)
歩道? なのかが謎の道路の半分。
車道部分との落差は意外に大きく、クルマならスタントばりの片輪走行、自転車ならハイジャンプ&クラッシュは免れない。

(→)
すっかり袋が破れてセメントが露出したセメント嚢。
なぜ段差が必要なのかを含め、こんな「道路構造物」は初めて見るぞ。




謎の“半々道路”の10%近い急坂を一気に上り詰めると、突き当たりが見えてきた。

この先は、自動車が通れる県道としてはおそらく神奈川県で最も…


アレ かもしれない区間である。




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いよいよ、“狂”隘区間の始まり


6:36

坂を登り切ると海抜200mの角ヶ谷戸地区で十字路になっている。
正面の道はそのままお屋敷に突入してしまい、多数の轍は右へ続いている。

順当に右へ進む。




右は連続直角曲がりになっている。
そして、その角には小さな社と「天社神」と彫られた自然石の野仏があった。

「天社神」は初めて見るが、一帯では珍しくないもののようだ。
しかし、少なくとも秋田では目にした覚えはないし、東京以北では余り多くないのではないだろうか。
地神塔と呼ばれる田神を祀る石仏の一種で、一般には「地神」などと彫られたものが多いという。
東北では圧倒的に「山神」や「水神」が多いのとは対照的だ。




って、あれ?


この直角曲がりは、おかしいな。


間違ってるな。


道路台帳からラインを写した地形図と見比べると…

県道は地形図にさえ無い道を通っていやがる!



直近で間違えうる交差点は、ただの一箇所…。





これぐァー!

どうやら、コレのようです。

県道701号。

栄えある?700番台のファーストナンバーですが、これは酷い。

特段の通行規制などは敷かれていないようだが…。
つうか、普通はクルマで入っていこうと考える人はいないんだろう。
だから敢えて通行規制も明示する必要がないと。

ゴーダ!




自転車でさえ窮屈に感じられる道。

しかも、先は直角曲がり…。

確かに軽トラくらいは通れるんだろうけれど…


 どーなんの?! オレ!コレ!