
2008/7/2 10:36 【周辺地図(別ウィンドウ)】
県道26号奈川木祖線の奈川渡ダム建設に伴う付け替え区間には、合計4本の隧道が並んでいる。
いずれも昭和40年頃に開通したものであるが、このうち宮ノ下隧道だけが新隧道に切り替えられている。
この後編では、残る鈴平と角ヶ平の2隧道をチェック後、旧宮ノ下隧道の捜索を行う。
幼少の私に強烈な印象を残した旧隧道は、果たして無事なのだろうか。
2008/7/2 10:36 【周辺地図(別ウィンドウ)】
県道26号奈川木祖線の奈川渡ダム建設に伴う付け替え区間には、合計4本の隧道が並んでいる。
いずれも昭和40年頃に開通したものであるが、このうち宮ノ下隧道だけが新隧道に切り替えられている。
この後編では、残る鈴平と角ヶ平の2隧道をチェック後、旧宮ノ下隧道の捜索を行う。
幼少の私に強烈な印象を残した旧隧道は、果たして無事なのだろうか。
ブナの木隧道を出ると、そこは湖面より80mも高い山腹である。
そう言えば、入山隧道からここまで道は僅かながら上り調子であった。
今は崖側にも木が育ち、崖下の湖面はほとんど見えないが、昭和50年に不幸にもこの斜面から湖へ転落し落命した、若い除雪車操縦技士の慰霊碑が路傍に祀られている。
矢尻のような形をした自然石の碑だ。
裏面には、長文の慰文をしたためた金属のプレートが収められている。
周りはなぜかそこだけ野花が咲き、碑前にはまだ新しい線香と煙草が供えられていた。
おれ、こういう、「何気ないけど実はひどい」景色が大好きだよ。
だってさ、目の前にトンネルが有るわけですよ。
で、トンネルまで奇麗な直線なわけですよ。
だのに、ここに立つ標識には…グネグネが…。
このグネグネがどこにあるのか、考え得る可能性はひとつだけ。
わ…
ワクワクしますよね?
3番目のトンネル「鈴平隧道」に近づくと、余り目立ってはいないが、路傍にこんな看板も現れた。
「トンネル内急カーブ スピード落とせ 松本建設事務所」
傾いた背後の標柱には、小さな「落石注意」の標識が付いている。
敢えて標識を隠してまでの主張だが、目立っていない。
そもそも、対向車線側に取り付けられているというのが、スペースの都合上やむを得なかったのだろうが、目立たない。
もう一枚、標識が立っている。
で、その背後には、旧道らしきスペースが見えているじゃないか。
にもかかわらず、現地ではなぜかスルーしてしまった。
反省しています。
「鈴平」と書いて、その読みは「すずはら」と言うらしい。
どういう訛りなのか、ちょっと予想の付かない読み方だ。
全長は、153.3m。
幅や高さもおそらく前と同じサイズだ。
この長さならば見えていて良いはずの出口は、見えない。
そして、この隧道には定まった「通過儀礼」のようなものがある事を、目の前で見せられることになった。
そういえば、坑口前にある標識は「警笛鳴らせ」だった。
あまり「守られている場面」を見ないこの標識がちゃんと働いている、そんな坑口なのである。
洞内が …楽しみだ。
スピードを出して
トンネルに突っ込むと…
行く手はいきなり壁しか見えませぬ。
こりゃ酷い。
標識通りの、厳しい洞内S字カーブである。
歩道無し、路肩無しという、まさに2車線ギリギリの幅でこのカーブは、中型車以上にとって大変なストレスだろう。
確かにこの隧道に入る前には、警笛を鳴らした方が身のためのようである。
我々チャリにとって突然警笛を鳴らされるのは、ほんとビクンッてなるら止めて欲しいんだけどね…。
私もこの隧道の印象は、子供の時分のものが良く残っていて、「ああ、ここだったんだ」と思った。
たった153mの隧道だが、内部には少しも直線は無いようだった。
どうしてこの隧道がこんなに極端にカーブしているのか、工事史でもあれば謎が解けそうだが、残念ながら不明である。
絶対、普通ではない。
そして、鈴平隧道から次の隧道…4本目…ラスト…までは、少し明かり区間が長かった。
しかし、特別に目を引くものもなく、小刻みなカーブをいくつも並べただけの道であった。
角ヶ平隧道。
全長394.6mとそこそこ長いが、いままで散々怪しげな隧道を見てきた目には、奇麗に出口まで通っているだけで平凡に見えてしまう。
実際、特に語るもののない隧道ではあった。
(私にとっては、子供の頃の思い出の隧道ではあるのだが)
ただ、もしかしたらこの隧道にも旧道が有ったかも知れない。
今になって写真を見返すと疑わしいのだが、現地でそれを確かめようとしなかったのは、失策であった。
この県道26号の奈川方面には、ダム湖への水没旧道も有るだろうし、いずれ再訪することにしよう。
2008/7/2 10:52 【周辺地図(別ウィンドウ)】
隧道を出て少しだけ進むと、かつての野麦街道筋にあった角ヶ平集落の水没移転記念碑が建っていた。
我々はそこを目印に、隧道群の探索を終えて引き返した。
次なる目的地は皆さんお待ちかね、もちろん我々も待ちかねた、廃隧道…
が期待される、旧宮ノ下隧道へと向かう!
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2008/7/2 10:57
というわけで、ブナの木隧道と宮ノ下隧道の間に見つけていた旧道らしき入口へ戻ってきた。
ガードレールとバリケードで簡易に塞がれてはいるが、平成12年までは現役であった筈の道は、まだしっかりしていそうだった。
それでは、いざ いざ いざ!
前言撤回。
…だいぶ来てますな。
植物たちの浸蝕力は予想以上に旺盛であります。
舗装自体もかなり薄っぺらかったのだろうけれど、亀裂という亀裂から雑草が生えてきていた。
右に現在の宮ノ下隧道が潜っている急な山腹を、左に遙か低い湖面を見ながら、はじめを除けばほとんど直線的な旧道が続く。
路面はかなり荒れ始めているが、それでも自転車で走る分には不安はない。
200mほどを、あっという間に駆け抜けた。
そして…
垂直に切り立ったコンクリート擁壁で、険しさを増す一方の山腹をなんとかいなしていた道だが、とうとう我慢しきれず、隧道となっていた。
事前に注意深く新旧の地図を比較してれば、この存在にも気付けていただろうが、今回は事前調査が甘く、行き当たりばったりの発見であった。
坑口前は、路面が見えないほど泥と水が溜まっており、いかにも閉塞感のある雰囲気。
隧道自体も…
…残念ながら…
塞がっていた。
それも、相当にガッチリと…。
仮に塞がれていなくても、遠からず崩れてきた土砂で埋もれてしまいそうな立地である。
廃止から僅か8年で、もうこれだけ埋もれているのだから…。
それにしてもこの隧道は、是非とも現存していて欲しい隧道だった。
そう思える要素が、この坑門だけ見ていても沢山ある…。
坑門脇に3枚取り付けられた標識類。
一番下が、見慣れた「トンネルナンバー」である。数字は見えにくいが「1」。
全長は613.7mもあり、これは現在の宮ノ下隧道(920m)には遠く及ばないものの、県道26号の4本中最長である。
それに、その上に付いている標識はいずれも、この隧道の内部が「特別に狭かった」ことを示唆している。
私もかつて通ったことがあるはずだが、どんな風であったか思い出せない。
「トンネル内幅員減少箇所あり」とか「待避所あり」とか、その実際を是非とも目にしたかったものである…。
寂しく撤退する二人。
心なしか、帰りは泥の沼も深かった…。
だが、まだ洞内を諦めたわけではない!!
隧道有れば、そこに坑門は二つあり!
表が駄目なら、裏口だ!
ナガジスさん、これから裏口探しに行くぜぇ〜!!
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