ミニレポート 第103回 国道286号 秋保旧道

所在地 仙台市太白区
探索日 2006.07.07
公開日 2006.07.11

古車が見守るミニ旧道


 国道286号と主要地方道62号仙台山寺線が分岐する地点は、現在では都会的な多重車線の三叉路となっているが、一昔前まで、国道の赤石バイパスが開通するまでは、その分岐地点は1km少々西よりにあった。

 今回は、このミニ旧道をご覧頂こう。





 この探索はきわめて行き当たりばったりに行われた。
ようは、国道286号をチャリで走行中に、現道と並走するようにして別れていく、ご覧の古びたアスファルトを発見。
何所へ通じるのかなどを調べもせず、咄嗟に旧国道であると判断し、進入したのである。

 現道との接点は、この写真の通り緩やかな分岐となっているが、ガードレールに車が通れるような切れ目がないので、事実上廃道である。
旧道敷きには日焼けしたアスファルトが残り、行く手のカーブを予感させる道路ペイントが懐かしさを感じさせる。
最近はあまりこういう道路ペイントって見ないよね。(雪国だと特にね)



 始め仲のよかったカップルがやがて別れるように(?)、100mほど並走した新旧道は明後日の方向へと分かれていく。
ここには複雑なラインの痕跡が残っている。
バイパス工事の途中で数回に分けて道路の付け替えが行われたのだろう。
幾筋ものラインが交錯しているのがいい。

 ここから旧道は左の斜面をカーブしながら下っていく。



 道路の左右には田んぼや倉庫があるので、いまもこの道の利用者はあるだろうが、歩道付き2車線道路に似つかわしいような交通シーンの再現は永遠にないだろう。
掠れたラインと、妙に真新しいように見える立派な青看とのギャップが激しい。



 こういうものは、廃道後に再利用できないものなのだろうか?
おそらく100万円以上するだろう立派な標識が、手持ちぶさたにしている。

 青看に描かれた突き当たりの道は、現在は県道62号線である。
この足元の旧道も、あと僅か200mということになる。
このまま坂を下って終わるのかと、おもいきや……。



 廃道に路駐?

 木陰を選ぶように、ぽつんと停められた一台の乗用車。
なんとなく、車にさして興味のない私の目を誘った。

 おもむろに近付いてみる。



 私にとっては見たこともない車だ。
でも、なんだかレトロな感じが堪らなくイイ。
この場所にあるから「似つかわしい」のだろうか。
いつ頃にこの道が廃道になったのか分からないが、そう古いことではないだろう。
比較的最近までこの車は動いていたのか。
ナンバープレートの「宮」の文字が時代を感じさせる。
取り付けられたエンブレムを見る限り、「GTO」とある。
何だか、聞いたことだけはある車名だ。

 車好きの保土ヶ谷(元・チャリ馬鹿トリオの旧友だ)に写メを送ると、直ぐに返事が来た。

 「なかなか Level たけーな。」 



 妙に心惹かれる発見を後に、徐々に緩まる勾配を下りきると、T字路交差点に行き当たる。
かつて国道は、このまま真っ直ぐ行って、正面の赤石橋を渡ってから現在の県道62号線にぶつかっていた。
橋はいまも現役だが、国道のバイパスに繋がる迂回路(右の道)が使われている。
旧道の出口には、車1台分が通り抜けられるバリケードが設置されている。



 廃道としてのグレードは決して高くないが、なんとなくチャリでブラブラしているときに出会うと嬉しい、思いがけない旧道遭遇であった。
天気のいい日の発見は、本当なんであっても、嬉しいよねー。
チャリの身軽さも、こう言うときにはやっぱりありがたいと思える。
最近は専ら移動は車だっただけに、余計ね。




 こぢんまりとまとまった箱庭的なムードが心憎い赤石橋。
銘板などは失われているが、昭和中頃かそれ以前の架橋と思われる。
形式的には、曲弦ワーレントラス(垂直材付)といった感じなのかな。

で、県道にぶつかったのでレポートは終わり。
ミニレポっぽいミニレポでしょ(笑)