ミニレポ 第107回 新潟県主要地方道58号 小千谷大和線

所在地 新潟県小千谷市〜川口町 
探索日 2006.08.12
公開日 2006.10.08

突如訪れる終着点


 新潟県魚沼丘陵一帯にバラバラになった紐のように存在する不通県道たち。
私はこれらを総称して“魚沼丘陵不通ファミリー”と呼んだが、今回はそのうちの一本を紹介しよう。
道路レポ「一般県道178号山ノ相川下条(停)線」の時にも、この路線には触れている。
そこでは、不通区間の南の端である川口町山ノ相川の様子をお伝えした。
よって今回は、不通区間の北端となる小千谷市池ノ平を紹介する。

 なお、この主要地方道58号小千谷大和線はその名の通り、小千谷市の岩沢が起点となっており国道117号線に接している。
起点を発した路線は、魚沼丘陵北部を徐々に高度を上げつつ小千谷市南端の池ノ平へ、そこから約1.3km(直線で)の不通区間を挟みつつ川口町山ノ相川に出る。そこからは前出のレポートで紹介している峠越え区間となり、越えて魚沼市下稲倉で国道252号に接続。かつては堀之内町だった。路線はここで終わらず、すぐに国道から分岐し南下を再開、すぐに南魚沼市に入るがなお上り続け、一村尾峠にて主要地方道59号に合流、東へ下り一村尾にて国道17号に接続、終点となっている。その辺りはかつて路線名にある大和町だったところだ。
ここまで、不通含みで大体21kmの距離である。





 起点の小千谷市岩沢から約5km、池ノ平という集落に着く。
ここは、その地名の通り小さな池がとても多いところ。そして、棚田も多い。
これらの池は灌漑用に昔の人たちが作り上げたもので、山岳農村の原風景を形作っている。

 この長閑な景色の中に不通県道はいた。
県道506号岩沢中条線とのT字路に立つ、どう見ても年代物の青看。
直進方向には、道路標識でさえない、×マークが…。



 交差点は鋪装を引っぺがして災害復旧工事のさなかで、荒れた雰囲気。
左の写真が、正面に続く不通県道58号で、“通り抜けできません”の看板有り。期待感を持たせる。
右折は県道506号で、ここまでは58号と重複していた道が分かれている。こちらは1車線しかないが、一応抜けている。
ただし、新潟県中越地震後現在まで通行止め。(現場は土砂崩れであった。チャリ担ぎ突破は可能)

 私は、直進した。



 思いがけず綺麗な舗装路が、気持ちよく林間を快走していく。
不通と言うことに間違いはないだろうが、鋭意建設中と言ったところなのか。
分岐以降は沿道に一軒の家並みもないが、路面も清掃されているようで、何一つ問題は感じない。

 そんな道を500mほど進むと、歪んだ地名標識があった。
「マントパーク 鏡池」とある。
“パーク”と言うくらいだから大きな公園なのだろうが、そんな公園は地図にも記載がないし、そもそも“マント”って、あの背負うやつ?



 マントパークだから、マン●マークね…。
ハイハイ…。
良く出来ました……。

わざわざ不通県道まで来て楽書きをするとは、ひでー“オブ不良”だな。
不通区間を歩いて消しに来いよな〜。



 標識のすぐ先に路肩が砂利敷きになっている箇所があり、反対側には小径が分岐している。
どうやら、ここがその「マントパーク鏡池」のようだが、小径には鉄製パイプ製の簡単なバリケードがあり、案内看板らしい物体は枠から外れ地面に落ちている。

 これは、どうやら廃公園だな。
そりゃ無理もない。
黙っていて車が通りがかるような道じゃないのに、唯一の入口である県道分岐に一切の案内も無いのだから。
廃になるべくしてなったかんじ。
ただし、道はそんな小事を厭わないとばかり快走。



 案内看板に近付いてみて分かっちゃったよ。

 県よ、お前やっつけ仕事してるんじゃないよ!
マントパーク」じゃない、「マウントパーク」だ。

ここさえ間違えなければ、あんな下品なイタズラをされずに済んだだろうに…。 カワイソウ…。

県よ、ゴメン!
よく調べたら、「1箇所のみの公共施設を案内する案内標識の管理は、その施設」なのね。
じゃ、マントパークの自業自得だったと言うことだな。


 そのマウントパークの案内看板をよく見ると、鏡池という小池を中心にした遊歩道や運動広場、キャンプ場などが建設されているらしい。総面積は7200m2とあるから、結構な規模だ。
そして、地図の片隅には確かにあった。
県道の行く手を指し示す、「至 山ノ相川」の文字。

 …夢よの。 全ては儚い夢。




 そこから道は杉林を抜け出し、眺望の利く東向き斜面へ。
写真は振り返って撮影している。
鋪装はますます新しくなり、ここ数年内に敷かれたものに間違いない。

 入口にあった「通り抜け不可」の標識を除けば、まったく非の打ち所のない主要地方道の姿である。
はたして、どんな終わりの景色が待つのだろうか?!



 だがその直後、呆気ない終点の景色が目に飛び込んできた。
路上に並べられたテトラポットのようなコンクリート塊複数。
その向こうには山と積まれた砂利。

 まだ、分岐からは1kmほどしか来ていないが、地図を見ると確かにその通り。
幅が太く描かれた緑の線は、そのくらいの距離でプツッと消えていた。
現地にそれと分かる物は何もないが、ここが小千谷市と川口町との境界線上である。
すなわち、この道もまた(県道178号参照)、川口町側だけが未整備ということになる。
いろんな市に求愛されているのにね。 …川口町のいけずぅ。




 テトラポットと、コンクリートボックスの防衛布陣を見よ!

 これは万全だ! 車ならまず突破できまい。

 にしても、ギリギリまで鋪装されているのはよしとしても、テトラポットより向こう側は鋪装を最近補修したような痕跡がある。
…県だか小千谷市よ、そんなにお金があるのかい?
こんな道の鋪装が老朽化したからって、いいよ まだ補修しなくても。
だって、また数年後に、ただ何もせず老朽化した鋪装を直す羽目になるのでは?!


 その封鎖線を突破すると、次なる障害が待ち受けている。
それは、堆い砂利の山。
掘り割り一面を埋め尽くす、アルプスの如き俊峰!

 しかし、こんなに埋めてしまって、もうこの県道を延ばすつもりなど毛頭無いと言うことなのか。
奥でどんな工事をしようにも、まずはテトラポットだけでなく、この膨大な砂利まで退かさねばならないのだ。
無駄すぎる。
だが、ならばなぜここにこれほどの砂利が?!



 砂利の山は、見た目とは全然違う困難さを有していた。
ざくざくと足が埋まるようなのを想像していたが、実際にはもの凄く固く、爪先が埋もれもしなかった。
コンクリートの斜面のようでさえある。
そのために、滑りやすく、私はその“稜線”に頂かれるまで二度も滑って転んだ。
掌に流血さえした。(たんに気が緩んでいたという話しも…)

 ほとんど土など含まれていなさそうな、硬い砂利の山にも、奥の方から徐々に夏草の浸食は始まっていた。
おそらくこの堅さを見ても、砂利がおかれてから、もう何年も経っているのではないだろうか。



 砂利で埋め尽くされた掘り割りまでが、道路工事が行われた痕跡と呼べるものだった。
その舳先からは、険しい谷が口を開けていた。
それを巻くようにして、斜面にはススキの帯び…おそらくは道路痕だろう…が見られたが、チャリ同伴でどうにかなる道で無いことは明らかで、またこれが県道と関係する道であるかも不明、さらに反対側である山ノ相川に道の痕跡がないことから、時期悪しと断念した。

 パイロット道路の名残か? はたまたただの造林道? それとも目の錯覚?
いずれにしても、時期を改めて再挑戦の必要性を感じた。



 山ノ相川は正面の尾根に阻まれ見通せなかったが、山ノ相川とはおなじ相川川沿い下流にある田麦山地区の棚田が、遠くに見て取れた。
あの辺りまで行けば脱出となるだろうが、景色は霞んでおり、意外に遠いのだろう。
それに、これでは県道の予定線とは違う道になってしまう。


 僅かな余韻を含みつつ…






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