11:04 大熊町夫沢 《現在地》
放射線の量をモニタリングして電光掲示板に表示している施設を過ぎると、まもなくこの標識が現れた。
県道252号夫沢大野停車場線のヘキサである。
前回終盤の区間から引き続き、県道391号広野小高線とは重複している。
そして、気付けばこの県道391号は、重複区間ばかりになっている。
次の地図を見て欲しい。
これは、現在いる大熊町周辺の県道と国道の路線網だ。
国道6号を中心に、我らが県道391号と県道251号と県道252号とが、かなり複雑に絡み合っている。
というか、これを見ればお分かりのように、大熊町内にはほとんど県道391号の独自区間はない。
大半が県道252号、あるいは251号との重複となっているのだ。
それがけしからんとか言うつもりは毛頭無いが、相変わらず存在感の薄さが抜きんでている路線である。
その事を分かって欲しかった。
こういう状況だけに、“ナビクマ”ちゃんの活躍が大いに期待されるところである。
え? ナビクマちゃんが誰だか分からない?
そういう人は黙って前回に戻って全文検索「ナビクマ」をしてみてくれ!
ここまで、ナビ江ちゃん、ナビ葉ちゃんを経て、いまのトレンドはこの、ナビクマちゃんなのである。
uchiyamaさま、画像提供ありがとうございました!→
というところで、早くも本日一発目の丁字路。
分かりにくさという意味では、常に最高水準をキープし続けてきたこの道だが、たとえ重複区間であっても歪みはない。
ここも、ナビクマちゃんなしではまず追跡不可能な、無印無添加無農薬の丁字路である。
ちなみに、よく見るとここのナビクマちゃんは、県道391号ではなく、252号を案内していた。
まあ、亜流ということで、アリだ。
左折した重複区間は、小さな水路のようなものを右に従えながら、愛宕神社の脇をすり抜ける。
なぜかここにポツンと6トンの重量制限標識が立っているが、この先に危うい橋でもあるのだろうか。
いい具合に草臥れている。
なお、ここで右に分かれる小径を県道としている地図があるが、ここは(少なくとも探索当時)直進が正解である。
この橋のことなのか?
別に目立って痛んでもいないし、平凡なものである。
そして、橋の向こうには再び丁字路が見えてきた。
しかも久々に車通りの多い道っぽい。
青看もあるぞぉ!
11:06 《現在地》
前回の丁字路からは約500mの地点で、再びの丁字路。
今度は県道391号の純正ナビクマちゃんもいる。
ややオーバースペックではないかと思えるほどの青看とセットだ。
ちなみに、青看の路線表示は「浜街道」。
なんかあまりにもつかみ所のない名前だが、一応根拠としては江戸時代にこの太平洋岸を通って水戸から岩沼を結んでいた、江戸浜街道に由来しているのだろう。
確かに当時の道は、現在の国道6号よりは全般的に海岸沿いを通っていたようだから、この県道391号の愛称としてこれ以上相応しいものがないのかも知れない。
(「原発ライン」とかは嫌なんだろうね。やっぱり。)
《現在地》
それから約1kmの区間は、左の海岸側に大熊重工業団地を、右には松や畑や宅地を見ながら、特に語ることもない道。
だが、例によって快走路は長く続かない。
道はまだ真っ直ぐ続いているものの、それを邪魔する工事中の看板が…。
近付いてみよう…。
なんだこりゃ?
まるで、迷路だ。
ようは、この先の道路が工事中だから迂回してくれという案内なんだが、下の地図では“おにゃんこTOWN”(←分からないですよね…)の面かと思うくらい至るところが「通行止め」とされていて、パッと見ではどうやれば先へ進めるのかが、分かりにくくなっている。
素朴な質問として、図中左の「(株)エヌ・イー」さんにはどうやったら行けるのかというのも問題であろう。
ともかく私は標識を無視できるところまでは無視して、あくまで県道391号を正確になぞりたいと思う。
ひとつ先の交差点までは無事進めたが、これ以上はまっすぐ行けない。
まだ道を作っている最中だ。
とはいえ、実はまっすぐ行く必要もない。
県道はここを左に行くのが正解だからだ。
また、探索当時はそうだったが、これを書いている現在では、直進の新道が県道になっている。
そして、問題は赤く囲んだところだ…。
ナビクマァー!!
ナビクマちゃんが、一匹死にかけている!
だが、救出したら犯罪になる。
いや、そもそもコンクリートの重しが着いていて持ち運べない!
あれから4年も経ったいま、バイパスはとっくに開通しているはずだが、このナビクマちゃんはどうして居るんだろう…。
もし要らないんだったら、一匹貰ってあげてもいいんだが…。
一生懸命掘っている最中の最中の堀割の肩を旧道は進む。
そして、300mほどで下りに転じ、まもなくこの一本の道にぶつかる。
再びの丁字路だ。
だが、ここはナビクマちゃんが生存していたので、問題ない。
これで「通行止め」の区間も脱出だ。
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さらに100m先、再び、左折。
いいかぁ、覚えろよ!
←ひだり、←ひだり、←ひだり だ!
ここまで、短距離で3回連続左折。
本当に目立たぬ、されど無視のできぬ分岐の多い道である。
ナビクマ無しでは確実にハマル。
11:22 《現在地》
う、海だ〜!
あまり左折したもんだから、海にぶつかって強制的に右折させられている。
アホで可愛いぅ。
それにしても、「浜街道」といいながら、海の際を走るのはずいぶん久々だ。
振り返ってみると、約13km手前の請戸漁港以来だと思う。
そして…
わずか 200mで、
海終了
のお知らせ。
短すぎるぞ、浜街道ォ!
狭っま!
道なりに右折すると、すぐに川だか入江だか分からないような澱んだ流れを渡る。
橋の名前は小入野橋。
川の名前も小入野川。
大騒ぎするほどではないが、それなりに狭い橋。
この先の道も狭いので、大型車はちょっとご遠慮願いたい感じだ。
そして、ここから大字が「熊川」に変わる。大熊町熊川だ。ナビクマちゃんの故郷だ。
11:25 《現在地》
橋を渡って150m。
また人家が現れ始めると同時に、ナビクマちゃん再登場。
今度も左ですか。
基本、左好きだよねー。
なお、ここには曲がるべき交差点の10m手前にフェイクがあるので注意だ。
うっかり他人様のガレージに前輪を突っ込んじゃうところだった。
お? 何か標柱がある。
なになに?
志賀直哉ゆかりのぐみの木?
大熊町の教育委員会が建てた標柱の隣には、まだ新しそうな石碑があり、一文字大きく「妙」と彫られていた。
元々文学には疎い私だが、ググってみてもこのぐみの木と志賀直哉の繋がりは全然分からなかった。
もしお分かりになる方がおられたら、ご一報を。
こうして折角ミニ公園として整備するなら、説明書きが欲しいところである。
前の左折から500mほどゆるゆると田畑の間を進んでくると、左前方に一段高くなった川の堤防が見えてきた。
地図で確かめると、大熊川であるらしい。
県道の方はこの堤防上の道へ移るために、まず左折…
そして30mですぐ右折。
これで堤防上の道となった。
ナビクマちゃんは、本当に手取り足取り道案内をしてくれている。
ちょっとでも分かりにくいかなと思えるようなところには、ほぼ例外なくいる。
こういうのを税金の無駄だというのは、止めて貰いたい。
ロードハンターのロマンなのだから。
11:29 《現在地》
堤防を走ること200m。
再び丁字路に突き当たる。
この突き当たりの道が県道251小良ヶ浜野上線で、ずっと重複してきた県道252号はこの交差点で力尽きる(起点)。
我らが県道391号は、今度は251号を間借りするのである。
そしてここを左折すると、熊川というそれなりに大きな川を渡る。
橋の名前は、三熊橋。
…なんか、熊熊熊熊の好きな町である。
それに、これだけ大きな川を渡ると、もしやここがナビクマちゃんの“最後の奉仕”かと思ってしまうが、幸い川の向こうもまだ大熊町だ。大字さえ変わらず。
橋の袂の公民館にあった「広域避難場所」を示す看板。
一見平凡などこにでもありそうなやつだが、よく読むと…
地震・火災・原子力 等の災害時は
ここに避難(ひなん)して下さい 大熊町
…災害の一種類に加わっている「原子力」が、そこはかとなく怖い。
素人考えだが、放射能漏れがもし発生したら、福島第一原発から4kmしか離れていないここに避難しているより、少しでも遠くへ逃げた方がいいんじゃないだろうか…。
いや、マジ素人考えだけどね。
「チョーさんマップ」ならぬ、「ナビクマちゃんマップ」だぜ!
次回、 「サヨウナラ ナビクマちゃん」の巻。