大庭トンネルが貫通している丘を回り込むようにして、ぐるっと南西側にやって来た。
前回あたりを付けた、大庭トンネルとかつて交差していたであろう道「横断道路」の、一方の入口がこの近くにある。
写真は横断道路へ向かう途中に見つけた、双体道祖神を中心とした古碑群。
横断道路は、かなり古くからの峠道である可能性が出て来た。
この雰囲気…
どちらの道も古そうな匂いがプンプンする。
ちなみに右が横断道路の入口だ。
地図を見ると、ここからすぐにゴルフ場の敷地になっているようだが、取りあえずは山道が始まっている。
ゲートは開いているが、威嚇するように大量の「通り抜けできません」が…。
そして、非常に重要な標識も混ざっていた。
「高さ制限3.5m」の「この先350m」の予告標識である。
この高さ制限は目指す横穴に関するものではないだろうか。
もしそうだとすれば、この道の先に横穴があるだけでなく、横穴が本来は車道であったことまで確定する。
それは、当初予想しなかった事態だ。
舗装された急坂を50mほど一気に登ると、勾配が緩むと同時にトンネルが現れた。
これまた予想外の展開。
しかも、扁額代わりに「3.5m高さ制限」標識が。
もしかして、さっきの予告標識も…
いやいやいや。
でも350mも来ていないし。
むしろこれは、先ほどの予告標識が建てられた頃には無かったトンネルということなのではないか。
銘板も扁額もなく、名前の分からないトンネル。
平凡なボックスカルバートだが、この上はゴルフ場の11番ホールが横切っている。
ゴルフ場と一緒に建造されたに違いないものだ。
この3.5m制限も、横穴のスペックに合わせたものと考えれば合点がいく。
右写真はこの名無しのトンネル内部。
芙蓉ゴルフ場なので、芙蓉トンネルとでも名付けておくか(勝手に)。
ちなみに照明設備はあるが、点灯していない。(ちょっとホッとしたのも事実)
トンネルをでると、そこはゴルフ場の中だった。
いやーな汗が出て来た。
取りあえずまだ公道らしい雰囲気が濃厚だし、地図にも記載があってもともとは一般道路だった可能性が濃厚なので、その辺を「万が一の言い訳」として考えながら、チャリに乗って進んでいく。
うわー…。
とうとう身を隠すものが無くなってしまった。
コースとコースに挟まれた部分を横断しなければならない。
幸いにして人影はないので、向こう森の中へ一目散に前進する。
自分に都合の良い解釈だが、脇道の入口には「場内立入禁止」と書いてあるものの、この道自体にはそれがないように思う。
もっとも、公道であれば飛球に対して防護する施設があって然るべきなので、これはやはり私道っぽいのだが…。
あともうちょっとで350m。
いまだけ見逃してくれー!
コース内で道は2本3本と分岐している。
頭の中のジャイロをフル稼働させて、立ち止まらずそれらしいと思える道を選んでいく。
そして、咄嗟の選択がこの日は冴えていた。
執念が、あの光の下へ私を向かわしめた。
あったー!!
ありました。
とうとう見つけた。
ゴルフ場が絡んだせいで思いのほか苦労したが、それらしい坑口に到着した。
坑口の10m手前で、道が盛り土のバリケードで塞がれていた。
この先は、やはり廃道と言うことになるのだろう。
しかし、この坑門前にも興味深いものが…いろいろと。
やはり二重のバリケードで厳重に塞がれた坑口。
立ち入りは不可能だ。
坑門上には、3.5mの高さ制限標識も。
この道がもともとは車道であったことが、確信に達した。
大庭トンネルには、かつてトンネル内分岐のあったのだ。(トンネル内の、非常に危険な交差点だったろう)
そして、写真右に写っているのは、LED式の電光掲示板。
高価な設備だが、果たして現役当時これが一度でも点灯されたことがあったのか。
いまはゴルフ場の敷地内だが、この坑口前の一角だけは道の匂い微かに残っていた。
結局両側の坑口を確かめたが、内部へ入ることは出来なかった横穴。
地下道にありがちなサイケな落書きも無く、使用感は薄い。未成道路のようだ。
向こうに見える光は、大庭トンネルの洞門部分である。
上下線を走る車の音がひっきりなしに届いてくる。
教えて貰えなければ一生知らなかっただろう、都会に埋もれた小さな廃隧道。
Nh3526さん、ありがとうございました。
さて、次なるターゲットへ向けて出発だ。
調査完了