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廃線レポート 木戸川森林鉄道 第3次探索(三十郎沢) 中編

公開日 2026.09.17
探索日 2021.11.08
所在地 福島県楢葉町

 三十郎沢の支線をさくっと終えて本線へ


2021/11/8 13:58

三十郎沢線、発見!

文献的に、そういう路線が存在していたことを把握はしていたが、その廃線跡を目撃したのは、初めてである。

ひと目見て、それだと確信できるくらいの明確な林鉄遺構だと思った。
赤わらび沢の滝の下に、沢を横断する橋の跡があった。
右岸の先端が欠けた石の築堤と、左岸の背の低い石の土台。後者はおそらく木製橋脚の基礎だ。小さいがしっかりとした石組みである。
チェンジ後の画像に示したような路盤が、左右両方向に伸びていたと思われる。



現在地をこの図の通りだ。

三十郎沢線の記録されている全長はわずか470mで、全長21kmもあった木戸川林鉄の本線と比較して随分と短いが、明確な記録を持つ唯一の支線でもある。
竣工年は昭和10(1935)年とされており、その前年に本線が三十郎沢と木戸川の合流点まで開設されていることを考えると、一時的に三十郎沢線が本線の末端となったものと思う。
その後、昭和23(1948)年に本線は本流沿いに延伸され、同時期に三十郎沢線は廃止されたと考えられる。

なお、地図上の読みだが、現在地は木戸川と三十郎沢の出合から400mほど入った位置である。
つまり、おそらくもうこの遭遇した地点で、三十郎沢線の上流側に残された距離は、僅かである。
すぐその辺(100m以内?)に終点があると思われるので、見にいってみよう。

というわけで、左岸側の路盤へ。



14:01

祝! 本日初軌道跡!!

早くに廃止された路線(あの早川林鉄奥地なんかと同時期だ)ということで、案の定、状況は良くないようだ。
何か別の道(作業道とか歩道とか)として使われている様子も全然ない。
一瞬で完全廃道だと分かる、半ば斜面化した道である。
流石に、レールや枕木、木橋などが簡単に見つかるとは思っていないが、ここは厳しそうである。

まあいい。
どうせすぐに終点だろうから、ダムの湛水というビッグイベントに遅刻してきた探索者の責任として、引導を渡してやろう。

チェンジ後の画像は、路盤から振り返った、赤わらび沢の滝だ。
ちょっと植物の障害物が多くて、滝は見えづらい。



お!

石垣があるじゃないか〜〜。

しかし、苔が凄いなぁ。
この谷自体、とても日陰っぽいもんな。
今日だって晴れているのに、谷に入ってから全然日光を浴びていない。
まあ、11月の14時過ぎなんで、日が傾いてきているせいもあるだろうが。

あ と …

ちょっとこの笹藪は…………キッツーイ



14:02

おおお。 今度は切り通しがあったぞ。

期待値が低い時の林鉄探索は、こんな小さなものでも嬉しくなれて、コスパがいいね。

この切り通しの向こう側は、遂に三十郎沢だと思う。赤わらび沢とは違う方向から水の音が聞こえている。



14:03

こっ! これが三十郎沢?!  ……険しい。

名前からは、個人的になんの先入観も持てなくて、かつ地形図には沢の名も水の線も描かれていないので、「険しさ」という部分について特段の畏れは抱いていなかったのだが……、意外とガチで危ない谷じゃねーかという雰囲気が。
谷自体もそうなんだが、思いのほか路盤と河床の落差が大きい状態で遭遇してしまった。こいつは安易に行動出来ないぞ。



しかもこの藪。この斜面。
嫌な感じだ……。

笹の柄を踏みつけたら、うっかりスリップして谷底へ直行しそうな雰囲気がある。
路盤が狭いし、全体が谷側に斜めに傾斜しているし…、
慎重に行こう。

終点は、もうそこだと思うから……。
奥にも小さな切り通しが見えるが、あの辺がそうじゃないか?



まだ終わってないな、これ……。

……そりゃそうか。
こんな斜面の途中で終わるんじゃ、路線として意味が分からない。
普通何かもう少し、林業の益がありそうな場所で終わるよな。

さっさと谷底へ降りてしまって、滑落の危険から解放されたい気持ちがあったが、降りられそうな場所もない。
レールとか枕木とかあるなら、ちょっと無理してでも路盤にかじり付いていたいけど…、この状況だとリスクリターンが釣り合わない気が…。



14:08 《現在地》

マジで険しいな、オイ!

地形図の印象とだいぶちがくねーか、三十郎沢。

人が入るような場所じゃないからって、図化する手ェ抜いてねーか、国土地理院さんよぉ。

思いがけない展開から命の危険をヒシヒシ感じ、思わず攻撃する相手を探してしまった。

……嫌なんだけど……、こんな読者に特段求められてもなさそうな地味でマイナーな谷で滑落&行方不明とか。
晩秋の13時前から探索を始めていることからしてバレバレだろうが、今日はそんなに覚悟キメて来てないんだよな。
飼い犬(過去に探索した場所)に餌をあげる(やり残しを回収する)くらいの気楽さで、フワッと来た感じなの分かる?
これ、 フワッと出来ねーだろ………。



14:09

嫌だな〜〜。

なんで足元が全部谷側に傾いてるんだろな〜〜。

戦々恐々となって歩いているけれど、ここはなかなか見栄えが良い。
絶壁に切り出された道の谷側に、まるで牙のように尖った“削り残し”の岩が並んでいるのが面白い。
今まで見たことがない感じの風景である。
せっかくなら、下からも見上げてみたい気がしたが、ちょっと降りられないな今は……。

見下ろす谷底は、妙に四角く角張った、サンドボックスゲームの中みたいな岩盤に囲われていた。
三十郎は角刈りが好きらしい!



四つん這いに近い姿勢になって、傾斜した砂地の路盤跡をトラバースした。
所々、削り残しの岩が谷側にあるところは、安全地帯でホッとする。
そして、ハラハラしながら、この奥に見える切り通しに辿り着いた。


さあ、先がどうなっているか見せてみろ!




14:13

……ちょっと、険しすぎる。

飼い犬に手を噛まれて死ぬのはゴメンだが、そもそも飼い慣らせていたと考えているのが誤りなのだろう。

私は今、間違いなく未知の林鉄に挑んでいる。
ただ、たった470mの短距離路線という先入観というか、事前情報が、気持ちの切り替えを邪魔していた。
しかしこれは今度こそ、考えを改めねば進めない。

チェンジ後の画像に実線で示した範囲は道が見えるが、その先の破線の部分には見えなかった。
終点に辿り着いたという感じは、正直しない。



14:14

やっぱり路盤が切れている……。

たぶん、本当はまだ続いている。
地形と、笹藪のコンボで、よく見えないが……。

しかし、切り立つ岩場が鋭く、路盤の高さをトラバースし続けるのは、リスクが高そう。
笹の柄で足が滑って落ちそうな気がする。

先を調べるために、高巻きを決断した。



14:16

笹密生斜面キツい!!!!

人類が初めて足を踏み入れた藪ではないかと思えるくらい、濃かった。

かきむしった笹から千切れ飛んだ乾いた小片が、口や、衣服と首の間にたくさん入った。

これの不快指数は、体験したことがある人しか分からないと思う。辛いよ〜〜!!



14:21

お前のモニターを笹藪で染めてやろう!!

ってな勢いでキツい。

非常にキツく、この見通しほぼゼロの状態から谷方向へ降りていくのは、戻れなくなるリスクが大きかったから、地形が緩むまで、この藪を降りない方向へトラバースし続けるハメになった。
ちょっと甘く見た。 マジキツ。



当然こうなる。


顔面がひしゃげたまま、休み休み藪を漕ぐこと、


――13分後――




14:30

ようやく谷へ下りられそうな場所に出会う。

斜面を転げ落ちる豚みたいに、笹の海から零れ出りゅっ!!!



14:31 《現在地》 

軌道跡来てりゅ〜〜!

嬉しいよりも、「コノヤロ〜〜〜」って気持ちが先に来た。

どうなってんだよ、林野庁!

絶対に470m以上あるだろこの路線。 どうなってんだ……。



GPSで現在地を確かめると、高巻きを始めた地点から150mくらい上流であるらしい。
だが、この間に終点はなかったようで、明らかに軌道跡の続きと見える苔生した橋台が一対、残っていた。

またこの路盤の続きを辿るのぉ? キツそうじゃない?
今だったら、このまま谷底まで降りられるぞ。
降りちゃった方が、ラクなんじゃない?

そんな気がしたので、路盤を素通りして、三十郎沢の谷底へ。



14:33

谷底から見上げる、上流方向の路盤跡。
ほとんど斜面化しているが、傾斜の差分として、その存在が見えている。
どこまで伸びてんだろ……。 予想外だ。



振り返っている。
高巻きでスルーした区間にも、ちゃんと路盤があったようだ。
おそらく後ほどこの谷を戻ることになるだろうから、その時に観察できよう。



14:34

ぐっぬぅ〜〜〜

滝が……。






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