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廃線レポート 木戸川森林鉄道 第3次探索(三十郎沢) 後編

公開日 2026.09.22
探索日 2021.11.08
所在地 福島県楢葉町

 最終目的地の隧道は、現存か否か?!


2021/11/8 15:40 《現在地》

三十郎沢線分岐地点から、本線の下流方向へ出発する。

目指す隧道があると考えている地点まで、ここから残り200〜250mほど。

すぐ近くだが、日没まであと1時間であり、帰り道はもう(明るいうちに歩ける可能性を)捨てた。

隧道の有無の確認と、もしも入れるならばその内部探索を、明るいうちにヤラセテクレ〜〜!



軌道跡の川側は、とても切り立っており、そこに最初の湖面があった。

おそらく今日の木戸ダムの水位は、ほぼ満水だと思うのだが、その状況でも、軌道跡と水面の比高は10m以上ある。
とりあえず、目指す隧道が水面下でないことは、ほぼほぼ確信できた。
あとは、隧道が想定通りの場所にあるかどうかだけだ。

チェンジ後の画像は、路盤上から出来るだけ下流の遠方へカメラを向けた。
そこには、流れ淀む川から、動きのない湖へ変化していく水面があった。
隧道の擬定地である岬のような地形の膨らみも見える。



薄暗いな〜〜……。

レポに使っている画像は、ほとんどどれも明るさを弄って見やすくしているが、敢えて弄らないとこんな画像。
実際の肉眼だと、目が慣れているのでここまで暗いわけではないが、既に日没直後の光量なのは間違いなかった。
そりゃそうだよ。気象台発表の日没時刻を目安にしてるけど、あれは地形を考慮してないから。こんな谷の中じゃあ、もう日没だよ。

こんな時間に、たった独り、通じる道が全くない湖畔の軌道跡にへばり付いているけれど、乗ってきた自転車は未だ山の上で、クルマはダムの駐車場で……、そのどちらを人に見られても、遭難者と間違えられないか心配になるな……。
まあ、自転車については、そもそも見つかる可能性がないと思うけど。



15:42

ふむふむ。
これは切り通しだ。
小さいけれど、確かな軌道の痕跡である。

こういうものがあって、隧道だけがなくなっているとは思わないが、流石にダムの湛水後にここを訪れた人はいなさそうだし、居たとしても、その報告を目にしたことはないわけで……、とてもドキドキしていますよ、今。
頼むぞ〜〜。この盛大な遅刻マン(湛水に遅れること14年!)を許してくれ〜〜〜。



15:44

少し長い切り通しを抜けると、灌木が茂る広場に出た。

この軌道跡は一度も車道化したことがないと思うので、おそらく林鉄時代からあった広場である。
三十郎沢線と本線の分岐地点には土地に全然余裕がなかったので、代わりにこの場所が複線の土場になっていた感じがする。
ただ広い土地があるというだけで、レールや枕木などは全く残っていないが…。



!!!

夜よりも黒いものが!




15:45 《現在地》/海抜205m

お許しいただき、ありがとうございます!!

ダムが出来ても、残ってくれていた〜〜!!!

くじさん、見てるか〜〜。残ってたぞーー!!



少し変わった断面のコンクリート坑口だ。
この隧道から見て、一つ上流にある隧道と、一つ下流にある隧道は、それぞれ探索済みだが、後者に近い。でも同じ形ではない。

【反対側の坑口】の写真が『鉄道廃線跡を歩く』に掲載されていたことは冒頭で紹介済みだが、上流側の坑口を目にするのは初めてである
もし、ダム湛水前の写真を誰か撮っていたら、見せてほしいものだ。

そして、まずは開口していてくれて本当に嬉しかったが、同時に「うぐっ」ってなった。
なぜかというと……



湛水の影響が、見て取れたから…。

本日の水位では余裕で水面上にあるが、過去に水没したことが、あるようだ。
坑口前に堆積している平らな砂の地面や、直前の広場に繁っていた均質な灌木の存在が、それを物語っている。

今日の水位は「ほぼ満水」だと私は書いたし、【ダム上からもそう見えた】が、これはあくまでも平常時の話である。
木戸ダムの水位情報を見ると分かるが、このダムの“平常時の”最高水位は181.5m、最低水位は175mとなっていて、たった6.5mしか変動幅がない。しかし、“洪水時最高水位”は205mとなっていて、洪水時に起こりうる本当の満水位は、平常時の満水位より13m以上も高いのである。

この隧道は、普段は決して水没しないが、洪水時満水位になると、水没するかしないかの瀬戸際くらいだと思う。
坑口前の砂の地面が、その絶妙な過去の水位を物語っていた。



坑口前を小さな沢が横断している。
地形図には名前がないが、鉄砲沢という。
左岸に石積の小さな橋台が残っていた。

背景の白い湖底が今日の水位だが、洪水時最高水位は、ちょうどこの足元を沈めるくらいの高さになる。
だからこそ、ここに小さな“砂浜”が形成されてる。

隧道は残ってくれていたが、湛水の洗礼は、受けていると見るべきだった。
それでも開口してくれていたことは、本当に嬉しいが……、


果たして洞内は無事だろうか?





貫通 or 閉塞

いよいよ、最後の審判だ。



地下水位の変動が、地下の構造物にどれだけのダメージを与えるかを全く知らない私ではない。
そのうえ、バックウォーターに対する土石の堆積が、この隧道にも影響を与えている可能性がある。
正直、かなり分は悪そう……。






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