道路レポート 秋田県道401号雄和仁別自転車道線 仁別〜旭川ダム 後編

所在地 秋田県秋田市
探索日 2025.05.02
公開日 2025.05.08

 市道に分断された後の後半戦は、いきなりの難所から


2025/5/2 9:20 《現在地》

せっかく遭遇したサイクリストに、県道の真実を伝えられなかった(また私の行動の意味もおそらく伝わらなかった)ことは残念だが、私は私の続きをするとしよう。
地理院地図によると、県道401号は市道太平山リゾートパーク線との交差の前後で一瞬途切れるものの、市道の反対側からすぐに再開するように描かれている。
したがって、チェンジ後の画像に示した点線のように県道が存在するはずだ。

道形が消失したため地図には描かれなくなったこの部分も、制度的に県道の供用が続いているはずだが、その供用中の道路の位置は市道直下の地中ということになる。
もっとも、そのことを念頭に道路の区域を立体的に認定しているとも思えないので、実際は直上の市道路面へ投影した位置が県道の道路区域だろう。
もしその部分だけ鋪装が違っていたりしたら面白かったが、そういう目に見えるような痕跡は全くなく、これはいよいよ本当に全く以て県道の存在は忘れられていそうである。



道路の反対側から、県道との交差地点を撮影した。
破線の位置に県道があるはずだが、渡った先には市道の歩道肩にガードパイプが設置されているので、私が来た方向以上に県道への“脱出”は困難である。

なお、この歩道の部分が現地の道路標識で自転車道として【案内されている】部分である。
そのためか幅には余裕があるが、少し持て余しているようで、路肩側には草の侵入を一部許している。
春先でこれなので、盛夏には歩道の実質的な幅は半分くらいに感じられそうだ。



何ヶ所かガードパイプ越しに市道の路肩の下を観察してみたが、当たり前だが、こちら側にも築堤の法面があって、そこが深い笹藪になっているために、見通せない。そのためなかなか“県道の続き”と確証を持てるものを発見できなかったが、見えないならば突入して探すのみだと意を決し、自転車を担ぎ上げて笹藪へ投げ込むと、そのまま藪を掻き分けて下ってみた。

するってぇと……



9:25 《現在地》

あった〜〜!!

……のだと思うのだけど、分断前の区間以上に荒廃している気が……。

なんだか地面も凸凹していて、鋪装の硬さが感じられない。
そのため、まだこれが県道の続きだという自信を持てない。
全く関係のない道(それも廃道)が、たまたまここにあるとも思えないが……。

とりあえず、市道交差側方向(写真奥)へ、行ってみよう。



……うむ。

どうやら確かにこれが、県道の続きであるようだ。
確かに市道の築堤の中腹より始まっており、市道に埋められてしまった交差地点が、ここにあったと考えられる。
でも、な〜〜んか腑に落ちないっていうか、道が不鮮明過ぎる気がするんだよなぁ。

状況を訝しく思いながらも、改めて本来の進行方向へ自転車を押して行こうとすると……



いまにも周囲の笹藪や森に覆われて消えてしまいそうな狭く頼りない道形は、いよいよ平坦でさえなくなっていくように見えた。
道が藪になっているのなら分かるが、道の形が見当らない気がするのである。

が、そんな先細りの行く手に、思いがけないものを、思いがけない位置に見つけた。
今いる道よりも明らかに低い高さに、4〜5本のガードレール支柱らしき白い柱が並んでいるのを見つけたのである。
九十九折りの下段を見下ろすような位置関係だったが、そんな線形のようには描かれてなかったはず……。

これはいったい……?

近くへ行ってみよう!



我が愛車のフレームと戯れているのが、問題の支柱のうちの1本だ。
どう見ても、まともな路上にある状況ではない。
谷へ雪崩れ込むように崩れた斜面に傾いて立っていた。
だがこの発見で、私の違和感の理由を含め、この場所の状況が見えてきた。

と、その前に肝心の支柱の正体だが、やはりガードパイプ用支柱とみて間違いない。
市道に設置されているものと同じ型式のものである。
ただ、ここには支柱だけがあり、支柱同士を繋ぐガードパイプの部分は全く見当らない。
市道との交差を見据えて、故意に撤去したものとみられる。


…………え?


お、おま……


供用中の県道のガードパイプ撤去したのかよ?!www

いや、もう使わないつもりだったんだろうけどさぁ……、さすがに仕打ちが酷くないか?w

この状況を国土交通省の大規模自転車道事業の担当官に見せたら、なんて言うだろうなぁ。

いや、もういないから担当官。
国交省サイトの大規模自転車道事業の紹介ページとかも、とっくに削除されてるし…。
あ……(察し)。



一緒に見えていた仲間の支柱たちも、そこかしこに……。

本来ならば同じ高さに並んでいるべき各支柱に大きな落差が生じている原因は、一つしかない。

私が道幅に違和感を感じた原因も同じ。

すなわち――



県道は不同沈下していた。

チェンジ後の画像の矢印の位置には、分断前の区間でも見た自転車道と車道を分ける縁石も見えている。
自転車道側(すなわち県道)は完全に沈下していて、車道側も道幅の一部が沈下している状況だった。

このような惨状を見て、一瞬、この災害が原因で廃止になったのかと思いかけたが、しつこく書くが、この県道は廃止されていない!
いつ崩れたのかはともかく、供用は未だ廃止されていないのである。
もし廃止されたり、そのせいで経路が変わったりしていたら、県道の全長も変化すると思うが、今も昔もこの県道401号の総延長は35.4kmで変わっていないのだ。(具体的な資料は机上調査で紹介する)

ここはこの状況で今も県道なのである。



路面不同沈下地帯を振り返る。
車道と自転車道を合せると2車線分くらいの広さがあった道路は、見事に三段の平場に変貌していた。

なお、向かって左の土手は、市道の築堤だ。
もしかしたら、斜面に市道の大きな築堤を作ったから、その重みで地すべりが起り、たまたまそこにあった県道が巻き込まれたのかもしれない。
そうだとしたら……ますます酷い仕打ちだよぅ…。



思いがけない“災害”に遭遇はしたが、ともかく市道を跨いで県道の続きへタッチできた。
だが、いよいよこの県道の現状には一切の手心がないことが分かった。この先は、どうなっているのか…。
現役自転車道県道への礼儀として自転車を連れ込んでしまったが、大丈夫なのだろうか…。

とりあえず車止めが見えているところは自転車道だろうから、進んでみる。








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