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<読者さまにお願いしたいサイト貢献>
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2022/10/8 9:58 《現在地》/海抜110m
終点の「富内橋」から5kmの地点にあったのは、予告されていたような砂利道ではなく、解放状態の規制ゲートであった。今はそこからさらに1kmを越えて進んでいるが、道はまだワルくなっていない。
たし、少し前から明確な上り勾配が始まっていて、道の隣を流れる鵡川との比高が大きくなってきた。
そして、道すがらのカーブから、たまたま視線が通じた川の上流に……
(チェンジ後の画像)……明らかに廃墟らしき、白いコンクリートのビルが建っているのが見えた。
地形図を確かめると、確かにここから1kmほど上流の川べりに、ポツンと一軒の建物が描かれていた。
道道はそのずっと上を回り込んでいて、建物の近くは通っていない。
わざわざ見にいくには少々遠く、素通りをしたのであるが、帰宅後に検索をして、正体が判明。
建物の正体は、福山発電所の廃墟であった。
しかも、一般的な電力会社が運用していた施設ではなく、地方自治体としての旧穂別村が開設運用した、珍しい発電所であったという。

福山発電所は本編道路と直接深い関わりを持つ施設ではないが、沿道の貴重な土木遺産であったことが帰宅後の机上調査で判明したので、共有したい。
昭和43(1968)年発行の『穂別町史』によると、福山発電所は、旧穂別村時代の昭和32年7月に穂別電気利用農協が竣工し、翌月に運転を開始した、実質的には村営の発電所であった。
当初から村内の広い範囲に配電を行い、昭和37年の町制施行後も、同47年に町が北海道電力の配電網に組み込まれるまで稼働を続けた。
我が国において、地方自治体が発電事業を営み領域内に配電を行うことは、明治大正の電力事業草創期は珍しくなかったが、次第に大規模電力企業への統合が進み、太平洋戦争期の電力統制による国営化と、その後の電力会社体制の確立によって、ほぼ絶滅していた。
にもかかわらず、北海道の小さな自治体である穂別村が、戦後に単独の電力事業を行った背景は、次のようなものであったという。
戦前を通じて穂別村は配電会社の供給区域から除外され、全く電気の恩恵に浴することなく、石油灯火に頼っていた。
たまたま昭和20年に国鉄富内線を富内駅から延伸する計画が起こり、平取村との境界に約1kmの隧道を掘削する工事を行うべく、遠方から配電線が敷設された。この際に村は国鉄と配電会社に陳情を行い、自前で延長する分の送電線を設備することで、富内や安住、穂別などの主要な市街地が初めて点灯した。
だが、この工事は戦後に中止されることになり、昭和27年3月からの送電中止が村に通達された。
暗黒回帰の苦境へと陥った同村は、農業組合の臨時総会によって村内一円を配電区域とする独自の水力発電所の開設を議決。4億円余りの借入金で工事費を賄い、鵡川の水力を利用する1600kWの福山発電所を建設、完成させた。(中止された鉄道工事は後に再開し、昭和33年に振内駅まで延伸開業)
村の未来は自分たちの手で勝ち取るものだ。そんな強い意志を感じさせる、なんとも熱いエピソードである。
10:00
6.5km附近にて、7回目となる「通行止 福山には(以下略)」の看板が現れた。
特に何の脈絡というか、法則性もなく、しかし執拗に、この報せが繰り返されている。
よほど普段の交通量が多く、また沿道に様々な出入りのある幹線道路であれば分かるが、ほぼ一本道であるこの道道が、ここまで叫び続ける理由は謎。
「34km」ポストが現れたが、これまで(39〜35kmポスト)とは違う、内地でも一般的に良く見るタイプのキロポストだった。
そうなった理由は色々と想像できるが(例えば道を拡張したときに古いキロポストが失われたとか)、正確なところは分からない。
10:05
見通しが良すぎて自転車だと少しうんざりする種類の上り坂を進んでいくと、一番見慣れた平凡な“ヘキサ”が現れた。
富内橋の袂にあった【香ばしすぎる】
と同じ道路標識だが、よく見るとフォントが違うし(「6」の数字が分かりやすい)、設置には相当の時間差があるのだろう。
そして新しさを感じるといえば、ヘキサのすぐ先に架かっている橋もそうである。
なぜか銘板が「しまろっぷばし」「シマロップ沢川」の2枚しかないが、資料によって不足を補完すると、「シマロップ橋」「平成3(1991)年竣工」である。
この年代を新しいと感じるのは、私が廃道オジサンだからだろうが、明らかにこれは先代から架け替えられた橋であろう。
そのような改良が行われる以前の道が、【冒頭に予告】
されていた道路状態だったのだと思う。もうここは7kmくらい来ているから。
シマロップ橋を過ぎると今度は、北海道らしい動物をあしらった「動物注意」の標識が。
キツネを意匠にした動物注意自体は内地でも見た憶えがあるが、キタキツネがとても多い北海道では、(エゾ)シカの次くらいによく採用されている気がする。しかも標準の意匠が決まっていないせいか、色々なデザインがあって飽きない。
この標識のキツネは、ちょっと悪戯そうで、油揚げが特に好きそうだった。
10:07
で、順番的に次である33kmポストが現れるよりも先に、前方から……
怪しい気配を察知。
上り坂の先なので、直ちに近づくわけではなく、待ちきれぬ気持ちが、ズーム――
オン!
キタ〜〜!!! ←嬉しそうwww
約束されていた、道の転落劇が、2km弱ほど予告に遅れて、始まった模様。
10:08 《現在地》/海抜130m
終点の富内橋から6.7km地点にて、砂利道となった。
同時に道幅も1車線となり、外観的にはその辺の林道のような感じまで、一気に転落。
色々な道路標識が、両側の藪から零れ落ちたみたいにたくさん見えているのは、道道としての悪あがき的だが……。
そして、この絶好のタイミングを逃すわけもなく、8回目の「通行止 福山に(以下略)」が登場!!
まさか、こんなものを数える日が来るなんて、流石の私も思わなかったなぁ。
そして、この場所で一番のインパクトを放っていたのが、この看板だ。
「危 この先急カーブ多い 幅員 せまい トレーラー通り抜け出来ません。」
そんなことが、リズミカルなテンポで告白される。
……トレーラーのドライバーが今それを言われても、もう絶対に遅いんでは?
普通の大型車くらいならまだギリギリ2車線を使ってUターンできるかもだが、トレーラーは……。
そんな悪い冗談はともかく、この看板が、いわゆる汎用フォーマットでなかったのであれば、この道路には、うっかりトレーラーが間違って入ってきてしまう可能性が想定されるような、広域輸送的な需要が見こまれていたことが、窺われる。
ここが本当にただの林道に毛が生えた程度の道なら、わざわざトレーラー相手の警告は書かないだろうと思う。
そのようなことも感じながら、いよいよ明確に堕ち始めた道へ、突入!
10:09
(メタいが)いつもなら更新を区切りそうな場面であったが、このまま進む。
未舗装区間に入ってもまだ上り坂が継続している。
砂利を弾きながら、ノロノロと進んでいくと、すぐにこれが現れた。
旧制道路標識の中では“白看”と並んでよく見る「注意」の旧デザインである(昭和25年3月から昭和46年11月までの形式)。
なぜか、標準的な道路標識よりも少し小さく(規定の範囲内ではあるが)、支柱が高かった。
そして、とてもボロかった。
ここから分かるのは、単純な、道の古さである。
古いし、かつ、そういう時代から道路標識を設置する程度には、交通量が多い道だったことを感じさせる。
昔は今と違って、道路標識が全然設置されていないような道も少なくなかったのである。
古い道路標識がある山岳道路は、バカに出来ないということだ。
現在標高は160m附近なんて聞かされても、「低山だな」くらいの印象にしかならないと思うし、確かにその通りなのだが、そこがまたちょっと面白いと思った。
だって、この景色から160mって感じがするかっていうね?w(前回レポした山田入林道の10分の1の標高)
しかもここ、むかわ町役場がある鵡川河口近くの鵡川市街地から、川沿いの道道ベースで約50kmも遡っている。それだけ陸に入ってまだこの標高しかなく、でも景色はもう絶対に山奥のそれじゃんというギャップw
北海道らしい、大らかな地形のスケール感があるということが、言いたかった。
あと、河床との比高はいま50mくらいあり、ちょうどこの下辺りの川べりに、福山発電所の廃墟がある。
見下ろしても見えなかったが。
10:12
今度は、旧制標識ではないものの最近新たに設置される場面が想像できない、「警笛鳴らせ」が現れた。
警音器の設置が義務づけられている自動車は、警音器をここで鳴らさないと警音器吹鳴義務違反(点数1、普通車違反金6000円だったかな)。
自転車はベルはあっても警音器ないから鳴らせないよぉ。
すぐ先に見通しの悪い谷沿いのカーブがあるので、設置意図はよく分かる。そして、道の古さもね。
10:13
おおっ! 生きていたか貴様!
「34km」ポストは標準タイプに置き換えられていたのに、今度の「33km」ポストはまた北海道らしい旧式だった。
こんな感じの道が、占冠まで延々さんじゅううんキロ続いていた時代も、あったんだろうなぁと。
とか言いつつも、今のところ未舗装の1車線になったというだけで、普通の道路の域は出ていない。
いわゆる“険道”ではあるだろうが、路面も悪くはないし、ちゃんと轍も続いている。
8回も“言われて”るのに、こう考えるのはおかしいのかも知れないが、案外このまま通り抜けられるのではという気持ちは、むしろ以前より高まっていたと思う。
案外この程度の荒れ方なのかもという、そんな気が、君もしはじめたんじゃナイカイ?
なんだかんだ言いながら、もうそろそろ区間(15km)の半分が過ぎるところだしね。
10:16
そんな侮りに喝!ということなのか、違うのか、それはわからんが、7.3km附近にある大きめの待避所の路傍(赤矢印の位置)に、9回目となる「通行止 福山(以下)」が斃れていた。
このまま最後まで“連呼”しながら何事もなく通り抜けができたら、それはそれで一つの伝説になりそうな予感がするが、オオカミ少年だったらもう誰にも相手にされなくなっている頃だ。
だが、その先の路傍(桃色矢印の位置)に、今までとは別の色の看板が現れているのも私は見た。
そのオレンジ色の看板は、工事現場とかでよく見るやつで、ただし肝心の文字が背景色と同化するくらい、退色して消えかけていた。
それでも目を凝らして読むと、「50m先通行止 ゲート有り」と書いてあった。
通行止の告知としては、実に連続10回目!!!であったが、初めて具体的な通行止の開始地点の告知がなされていたのである。
すぐじゃねえか50メートルは!!
10:17 《現在地》/海抜180m
はい、すぐでした!!!
ついに、とうとう、ようやっと、閉じたゲートが通せんぼう。
富内橋から約7.5km、富内橋〜福山国道交点の区間内ほぼ中間地点である。
また、この場所は地形図にも描かれている林道の分岐地点になっていた。
左折が林道で、入口に「民有林林道坊主山線」と書かれた林道標識が立っている。特にゲートはない。通り抜けられるのかは確かめていないが、地図上では約11kmの山越えで、今朝通った道道74号の中穂別へ通じている。
分岐地点を観察する限り、封鎖されている直進の道道よりも、左折の林道へ多くの轍が導かれているようだった。
というか、ゲート方向にはまったく新しい轍はない。皆無。
関係者が入っているとかも、ないっぽい。
あれ? 結構マジなのかこれ?! ……ここでそう思った。
施錠されたゲートの両側に、隙間なく土嚢が積まれていた。
ここまで再三再四……再十一(ゲートに取りつけられた通行止の道路標識をカウント)にわたって通行止が告知されてきたわけだが、一度たりとも、通行止の期間と距離の通知はなかった。一体いつから封鎖されているというのか。
距離については、現場に表示はないが、道路情報提供システムによれば3.6kmとのこと。
…それでは逝ってみよう。
今さら絶対にやり直したくない約42kmを背負った状態で、突入!
10:18
ワルニャン!
…………
……これは、廃道っぽいなぁ。
両側の藪が路上にまで進出し始めている。
道路標識が点々とあるのが、また… 香ばしい。
これまでもずっと道に沿って設置されていた電柱は続いているが、使われてるんだろうか。そもそも何処行きの電線なのか。
10:21
(またメタ発言)まだ区切らないか。今日のヨッキは粘るなぁ。という感じで、封鎖ゲートを越えてもまだ終わらない。
ゲートから150mばかり、緑で鋪装されたような浅い草の道を進んでいる。厚い砂利鋪装のおかげで、藪の浸蝕をギリギリ耐えている感じだ。
そしてここで、富内集落の入口以来となる旧式道路情報板との再遭遇。
封鎖区間内に入ってからはもちろん初めての遭遇で、なにが表示されているのか、注目だ。
「大崩附近」ってwww
この地名が、体を表しすぎている。
そりゃあ、「落石」もするだろうよ! 落石するための地名みたいなもんだ。
あとこの道路情報板、わざわざ「徐行」を付けているのが、シャレオツである。
ここに表示されている道路情報を見たら、徐行しろってコトなのか、この情報板を見るために徐行しろってコトなのか。
いずれにしても、法的効力がある規制標識なので、この標識の直後から徐行義務があり、徐行の対象となるもの(通常は交差点やトンネルなどの構造物)を通り過ぎるまでは、ずっと徐行を続ける必要がある。だが、このように道路情報板に徐行標識が附属している場合、どこまで徐行を続ける必要があるのだろう……? どなたかご存知? 「大崩附近」を通り過ぎるまでなのか、反対側(にもあると仮定される)道路情報板までなのか。
文字が消えかけていたが、肝心な規制の内容は、「通行注意」であった。
「大崩附近」「落石」「通行注意」である。
先ほどのゲートが封鎖される前日までの表示を、そのまま継続しているのだろう。
そうでなければ、ここも「通行止」にされていたはずだから。
実際に道路情報板が操作される人の動きも想像すると、リアルさを感じる表示内容だ。
……では、ますます注意しながら、進むとしよう……
「大崩」という場所へ……。
10:23
道路情報板から50mばかり進むと、尾根を回り込むような左カーブに突き当たった。
前方は鵡川の谷に開いていて、道は等高線に従って左へ直角に折れる。
曲がります。
あああっぁあっ!!!!