読者の皆さまへ |
「山さ行がねが」は、アマゾンアソシエイトなどのアフィリエイト収益によって運営されています。多くの読者様が日常的にAmazonなどのオンラインショッピングを利用されていると思いますが、その際に当サイトに設置された 【リンク】 を経由して頂くことで、リンク先での任意の商品の購入代金のうち数%が収益化されます。当サイトを継続してご利用される読者様には、ぜひ御協力いただけるよう、お願い申し上げます。 |
2023/6/7 8:41 《現在地》
いざ出陣!
ヘキサのある魅惑の駅前未舗装路から、速やかに国道392号へ戻る。
道道665号としては、終点から起点へ向けて逆順に進むことになるが、基本的にはこの順序でしか完全走破は出来ないはずだ。なにせ起点は山の中で、そこへ通じる道道以外の道はないようだから。
終点から約120m、国道とぶつかったら、左折する。
この先しばし、国道との重複区間である。
昭和57(1982)年に、道道本別白糠線が昇格して国道392号が誕生した。
明治30年代に茶路川流域の入植が行われた際に整備された拓殖道路が元になっており、このような由来を持つ道の例に漏れず、多少の起伏は無視して直進する傾向が強い。
国道昇格前後は、廃止される白糠線の代替バスの走行確保が重視され、大々的に整備が進められた。
確かに現在の国道392号は北海道にある大半の国道の例に漏れず、走りやすい快走路である。
写真は上茶路集落内のメインストリートだ。
古い航空写真を見ると、向かって左側の土地には炭住が編み目のように建ち並んでいたが、既に跡形もない。右にある現住の住居は、おそらく炭鉱開発以前から住まわれている開拓者の末裔ではないか。
この一連の重複区間内に、道道665号の気配を感じることはなかった。
猫注意!!!
なんだって〜〜〜!!!
クマ注意なら分かるが、危険なヌコが出没するのだろうか。
いや、あり得るのかも知れない。
この似顔絵の凜々しさは、なかなかのものである。
8:46
上茶路駅跡入口の丁字路から約500m国道を北上すると(道道終点から約650m)、それまでの直線が崩れ、緩やかな左カーブと下り坂が同時に始まる。
このまま道なりにあと200mほど下ったところが道道665号との再度の分岐地点であり、そこへ行くのに遠回りは必要ないのだが、私は敢えて遠回りを選びたい。
実はこの場所には国道の旧道が存在する。
現道の線形に引っ張られて分かりづらくされているが、旧道はチェンジ後の画像に示した赤破線の通り、ここまで続いた直線を延長するように通じていた。
現状でも黄色い矢印のように進むと、この旧道へアプローチ出来る。
ここで突然旧国道へ行こうとする理由は、この先に道道665号の旧道区間があると考えたからだ。
@ 地理院地図(現在) | ![]() |
---|---|
A 昭和48(1973)年 | |
B 昭和42(1967)年 | |
C SMD24(2024) |
ここに新旧3世代の地形図+αの比較を用意した。これらはレポートの冒頭でも比較したが、改めて現在地の周辺にフォーカスして見て欲しい。
@は最新の地理院地図である。
国道は「現在地」から左へ曲がり、「保静橋」の手前の丁字路が道道665号の分岐地点である。
これをA昭和48(1973)年版と比較すると、太く描かれた道道本別白糠線(後に国道へ昇格)は右方向へ延びており、少し先から道道上茶路上茶路停車場線(既に認定済)が左へ分岐している。
改めて@を見ると、今でもこの旧道道は途切れながらも描かれているようなので、現状を確認したかったのだ。
B昭和42(1967)年版は道道認定前の状況だが、分岐の位置が少し違って見える。おそらく白糠線延伸に伴う跨線橋の開通で、道が少し変わったのだろう。
C地形図ではなく、2024年版のスーパーマップルデジタルだ。
この地図だとなぜか、今なお旧道区間が道道として塗られている。
単なる間違いだと思うが、こういう地図もあるという参考まで。
というわけで、旧国道へ突入しました!
特に通行規制はないが、あまり車が出入りしている雰囲気は感じない。
地図を見ると、2.5kmほど茶路川の左岸を進んだ先で、再び現国道にぶつかる様子。
現国道には2度の茶路川横断を含む4本の橋があるが、いずれも平成18(2006)年竣功となっていることから、同年辺りが国道の切り替え時期と思われる。
旧国道に入っても、もちろん道道665号重複の気配はないのであるが……
8:47 《現在地》
旧道に入って200mほどで、さっそくその場所が現われた。
地図上から判明した、旧国道と旧道道の分岐地点。
道道が重複区間から単独区間へ脱皮する旧の地点だ。
しかし正直に言うと、一度私は通り過ぎている。
通り過ぎた後に、あれ? おかしいな? と距離を見て、引き返して撮り直したのが、この写真だ。
ここが道道の分岐地点だったって分かります?
分かりにくいよね? 道路と道路の分岐というより、単に沿道にある農地の入口っぽいのである。というか、そうとしか見えなくない?
でも、実際に曲がろうとすると……
うおぉ〜〜〜!
またしても、珠玉を感じる廃道味のある風景が!!
目移りしちゃうほど、いろいろなアイテムが残されている!!!
そしてまたヘキサがあるじゃないか!!
ワクワク……! 今から一つずつ見ていこうね!
まずはこれ。真っ先に眼球に飛び込んで来た、俺の眼球みたいに濁った白の道路情報板。
なんか白いってのは珍しい気がする。だいたい黄色いよね。
もう道と一緒に役目を終えているようでボロボロだが、旧国道時代はちゃんとここで道道の道路情報が提供されていたことが分かる。
「上茶路」って地名がハメコミプレートになっているが、ここを変えると他の路線にも使えるのは便利そう。
まあ、「上茶路」の範囲は滅茶苦茶に広いので、これだけだとどこの情報なのかよく分からない気もするが…(笑)。
はいはい。
これは振り返って撮影。
この「止まれ」がないと、道路っぽく見えないくらいには、轍が薄くなっている。
というか、道道665号旧道は初っ端から未舗装だったのか。
駅前の短い単独区間も未舗装だったが、こっちもなのか。
最近では、いわゆる不通区間のようなところを除けば、そうそう未舗装の都道府県道は出会わない気がするが、さすがはダート王国北海道?
またも出会ったヘキサちゃん!
本標識もそうだが、特に補助標識の退色が著しく、ほとんど読み取れなくなっていた。
そしてやっぱり支柱は銀色だ。全く錆びてない。
この旧道区間の現状は廃道さながらであるが、道道としての供用自体は廃止されていないんだと思う。
そう考える根拠はこの後でも出てくるが、だからこそ道路標識の類が一つも撤去されず残っているんではないかと。
旧道道の入口から50mほどの地点に架かる1本の短いコンクリート橋。
その名も、「上茶路跨線橋 Kamicharo kosenkyo」。ちゃんと案内標識が完備されていた。
しかし、親柱や銘板などはない。
だが、この橋の名前を検索すると、「令和7年度箇所表」という、北海道道路局の資料がヒットする。
そして判明。
この外見的には廃道に見える旧道上の橋、なんと、令和7年現在も道道665号上茶路上茶路停車場線の現役施設であった! 北海道橋梁長寿命化修繕計画の対象リストに入っているではないか!
全国Q地図の「2018年度全国橋梁マップ」にも本橋が道道の橋として記されている。それによると、竣功は昭和42(1967)年、全長20.6m、幅6.1mの橋である。
そんなわけだから、この地図上にピンクでハイライトした部分は、どうやら道道665号の単独区間としての供用が続いている模様(そして通行規制がされている)。
侮ったスーパーマップルの地図の方が、地理院地図よりも正解に近かったという大逆転発生だ(意図した記述かは不明だが)。
いずれにしても、旧国道の国道指定が解除されたことで、道道の単独区間が少し増える結果になった模様である。
だからなんだと言われたら、マッタクカエスコトバモナイガ。
普通に道道を利用したいだけなら、現国道からアプローチすれば事足りる。
完全に道路マニア専用のどうでもいい話。
この上茶路跨線橋が跨いでるのは、言わずもがな、白糠線の廃線跡だ。
竣功年からしても、間違いなく白糠線の北進駅延伸時に作られた橋である。
線路が掘った切り通しを跨ぐ橋であり、線路がなければ橋が生まれる理由がない。
写真は、橋の上から北進方向を撮影したが、樹木が多く見通しはほとんどない。
葉がなければ、間近にある第11茶路川橋梁の雄姿を眺められたはずだ(葉陰に僅かに見えるが)。
(参考までに、保静橋からの同橋の眺めを【ここ】に。なお橋の上にはレールは残っていない)
跨線橋から同じように上茶路駅方向を見ててみたが、やはり見えるのは緑ばかりだった。
だが、薄暗い切り通し底の廃線跡に目を凝らすと、
ここもレールは敷かれたままなんだねぇ〜。
これが林鉄跡だったら飛び降りる勢いで急行したに違いないが、今は道道の時間だ。ヨシとしよう。
(白糠線の廃線跡については、毎度お馴染み歩鉄の達人さんがドローンも活用した非常に見応えのあるレポートを公開されているのでオススメだ)
とっても賑やかだった旧道区間(法的には現役)の入口を後に、跨線橋まで渡り終えると、この旧道自体の終わりはすぐだ。
前方下を横切る現国道が現われ、その“対岸”に道道の本来の続きが見えた。
跨線橋から現国道まで、地理院地図には道が描かれていないが、一応道は存在する。現国道と摺り合わせるために急ごしらえした道だろうか。シケインみたいな曲がりと急坂である。
8:50 《現在地》
下りきって、現国道のガードレール外へ到達。
広い国道の“対岸”に、通常アプローチすべき道道665号の単独区間の入口が待ち受けていた。
鉄壁のガードレールによる無言の封鎖に、手も足も出…………さないと先へ進めない。
こんな真っ当に辿り着きようがない区間にある上茶路跨線橋で、今年どんな橋梁長寿命化修繕計画が練られるのか楽しみである…。
廃線を跨ぐ事実上廃道である橋の修繕、ぜったいにむだだとおもいます(笑)。
次回、 ようやく! やっとか! 今度こそ!! 真っ当に道道の起点を目指す。