そろそろ、緑資源幹線林道(大規模林道)が恋しくなってきていないか?
ないと言われてしまうと立つ瀬がないので、興味を持ってほしい。
なんなら、以前のレポートも紹介しておこう。これとか、これとか。
個別の路線よりも、緑資源幹線林道(大規模林道)が何者であるかを知りたい人なら、こちらの記事がオススメだ。
が、全く予備知識がなくても、構わないぞ。気にせず読み進めてくれ。
緑資源幹線林道は、かつては全国に合計29路線、約2200kmの建設が計画されていたが、大部分の路線の完成を見ぬまま、事業主体(森林開発公団→緑資源公団→緑資源機構)の消滅によって未成道と化した、我が国を代表する“未成道の巣”である。
そして今回紹介するのは、北海道内にあった3路線のうちの一つ、滝雄厚和(たきおこうわ)線だ。
もとは北海道大規模林業圏と名付けられた北海道唯一の大規模林業圏内を連絡する大規模林道として計画された路線である。
緑資源幹線林道滝雄厚和線は、上図の通り、滝上白滝区間(23km)、白滝丸瀬布区間(22km)、丸瀬布留辺蘂区間(21km)の3区間からなっており、このうち前者2つは、平成21(2009)年の事業廃止時点までに完成することが出来ず、未成道に終わった。
全体像としては、北海道の東西を分ける大山脈である北見山地と石狩山地の東縁に沿って国道273号、333号、39号の主要幹線を南北に結ぶ経路で、未成区間を含む全体計画は約66kmに及んでいた。
仮に全線が計画通り2車線舗装路で開通し、そのまま高いレベルで維持が成されていれば、それなりの交通量が期待できたとは思うが、3分の1の区間しか繋がらなかったのでは使いようもない…。間違いなく、未成道の悲哀を背負った道である。
そして今回紹介するのは、このうち最も起点寄りの滝上白滝区間の北半となる、滝上町(たきのうえちょう)内の区間である。
距離や立地条件的な面で、本路線の中ではこの区間が最も末端を目指すためのハードルは高いように思うのと……、
ここの末端は、地図上で、なんだかとても刺激的ッ(↓)
この図の赤線で描いた道が、原図のSMD26(スーパーマップルデジタルVer26)には無色の道として描かれている、かつて緑資源幹線林道であった道だ。
そして、この全てが今回探索しようとしている道である。
単純に約12kmある、行き止まりの一本道だ。
そして、私は今回この起点の拓雄まではクルマで向かったのであるが、その道がまた長い。
国道273号が通る滝上町の中心部から拓雄までの距離が約22kmあり、ちゃんと鋪装された道道ではあるのだが、これがまたほぼ一本道である。
沿道に自宅があるとかでない限り、スタート地点の拓雄に辿り着くまでも20km以上の一本道を辿り、そこからようやく探索が始まる。たとえクルマを使っても遠さを感じるし、隔絶感がある。
そしてこのことがまた、未成道の末端に箔を付ける、一つの魅力となっている。
さて、勿体ぶりました。
この未成区間の気になる末端(ピンク枠のトコ)なんですけど……(↓)
トトトトンネルが!!
出口でブったギラレテル!!!
こういうのだいすきだよ〜。
探索前移動 〜道道617号オシラネップ原野濁川停車場線〜
2023/10/27 13:09 《現在地》/海抜130m
ここは、滝上町の濁川で国道273号から南折し、オシラネップ川沿いに延びる平和な2車線舗装路である道道137号を約4km南下した地点だ。
間もなく、道道137号と道道617号の分岐地点があり、それを案内する青看が現れた。
直進が道道617号オシラネップ原野濁川停車場線であるが、その行き先表示は、「この先 行き止まり」という表示になっている!
青看レベルに固定された道道の行き先が、地名ではなく「行き止まり」。
なんとも香ばしいが、地図を見れば分かるとおり、その行き止まりというのは、この道道の中にはない。
道道の終点のさらに先にある、旧緑資源幹線林道の行き止まりを予告してくれているのである。
そして私は、その【行き止まり】
を目指す者である。
早くも終わりが予告されてしまったが、その場所というのは、まだまだ遠い(約30km先)。
そして、到達の第一歩として、道道の終わり≒林道の始まりへ行かねばならない。
遠くの「行き止まり」を目指す旅を始めよう。(当分先まではクルマで行くぞ)
これが交差点を直進し、道道617号へ入った最初の場面だ。
北海道では標準デザインである道道標識と供に、パトランプ付のアナログ式道路情報板があり、こちらにも、「通り抜けできません」の表示がなされていた。
が、この通り抜けの出来ない場所が、道道の外にあるのだとしたら、ちょっとだけ気の毒だ。
道道にはどうしょうもないことで、この道道は永久に開通が案内出来ない道になってしまっているのだから。
もしも緑資源幹線林道が開通していたら、先ほどの青看の行き先も、「白滝」や「留辺蘂」となっていたことだろう。
ちなみにこの道道単体としては、路線名の通り、「オシラネップ原野」という場所を起点に持ち、「濁川停車場線」という場所を終点に持つ路線である。これから向かう山の中にあるのがオシラネップ原野で、既にクルマで通過した麓の濁川市街地に“あった”のが濁川停車場だ。濁川駅は昭和60(1985)年に全線廃止された国鉄渚滑線の駅だった。
同駅からこの交差点までは、道道137号と617号が重複しており、この先が単独区間である。
道道617号の単独区間に入っても、道はそれまでと変わらぬ歩道のない2車線舗装路で、地形も線形も悪くない。
「北海道らしい」という言葉で伝わる人も多いと思うが、川沿いの恵まれた谷底平野に、牧草地と造林地が代わりばんこに現れ、牧草地には集落と呼ぶほど集まっていない牧家がたまにある。沿道の地名も疎らだが、雄柏や上雄柏などが見え、かつては各々が開拓集落だったのだろうと想像できる。
路線バスが全く通っていないということが、沿道の現住人口の稀薄を物語っていよう。
道は良いが、ほとんど誰にも行き交わない、そんな道を、クルマの速力に頼って、ずんずん進む。
進むほど、徐々に沿道の風景に占める牧草地と林野の割合が後者優勢に傾いていく。
そして、冒頭の交差点から約16km進んだところで、第一号橋という名の大きな橋を渡って、ずっと並走しているオシラネップ川の右岸へ入ると、道は突如1車線になったと思いきや、その数百メートル先で、敢えなく砂利道に落ちたのであった。
こうして約17kmも進んだ地点で、遂に道道は、道道となる以前のおそらく林道に由来する本性を示すに至った。
とはいえ、砂利道としては路面状態は恵まれており、クルマでの走行に不安も感じない。
また、道が良くても、そうでなくても、とにかく対向車というものは分岐から一台も見なかった。
こんなにも寂しいと、クルマから出るのが、億劫になるよ……。
……そして、
13:30 《現在地》/海抜295m
分岐から実に18kmも進んだ地点にて、かつて緑資源幹線林道だった道の入口に辿り着いた。
そこは、辛うじて鋪装道路と呼べる砂利が浮いた1車線の道道から、右折路が分かれる分岐であった。
そして私はもう見つけた。
緑資源幹線林道だった道の入口に大抵残されている、特徴的な標識を。
木々の向こうに、見え隠れして、誘ってやがる!
キターーッ!
国道から22kmも入り込んだ、全く無人の山中に立ち尽くす、
いつものかんばん。
林道界の朽ちた徒花、緑資源幹線林道の空虚な名乗りだ……。
当然の2車線舗装路!
ここに辿り着くまでに、道道が金尽きて手放した高スペックを、
別の財布から作ってますからと言わんばかりに、緑資源は取り戻す!
(お前それでどっかに繋がってるなら何も言わないけどさぁ……)
林道側から、分岐を振り返る。
この丁字路が、緑資源幹線林道滝雄厚和線の滝上白滝区間の起点であると同時に、路線全体の起点だった。
すなわち、「滝雄(たきお)」という地名であることが示唆されるが、地図にある周辺の地名は別で、「拓雄(たくゆう)」というものである。
なんとなく、同じ由来に別の字を宛てたような雰囲気がある二つの地名だが、その関係性ははっきりしない。
林道名を記した看板の裏側に、同じ林道の事業者が作設した案内板が取りつけられていた。
よく見ると、「緑資源幹線林道」の文字がシールで上書きされたものに見えるが、当初は「大規模林道」となっていたものを修正したのだろう。これはよく見る修正だ。
私は、探索すべき林道の起点であるこの交差点のはずれにクルマを停め、探索の準備を始めた。
ちなみに、この時点では、林道側に関する一切の通行規制や、その予告も見当たらないが、なぜかグーグルカーは、ここで引き返したようだ。
野生の勘だろうか。お陰でこの先の風景は、マジ不明である。
この地点の周辺を最新の地理院地図で見ている。
現在地の丁字路を直進して、オシラネップ川の右岸をそのまま南下する道が都道府県道の色で塗られているが、林道が接続される以前からあった道道の末端部分である。この500mくらい先に、本当の道道の起点があるらしい。すなわち、路線名における、オシラネップ原野と呼ばれた地点である。
時間に余裕があれば、ついでに道道の起点も見ておきたいが、あくまで本題は緑資源の方なので、今はその探索を優先する。
まだ13時台だが、林道の末端までは、ここからでも12kmもあり、その全てが上り坂だろうから、自転車ではそれなりに時間が掛かりそうなのだ。
またいつもみたいに暗くなるのは、イヤだろう。
ちなみにこれが、いまは行かないけども、直進する道道の様子だ。
本来の道幅は【来た道】
と変わらないと思うが、明らかに交通量のほとんどを緑資源側に取られている様子で、轍が薄くて怪しい感じ。
そのうえ、「通行止」の道路標識が、何の説明もなく取りつけられている。
特に封鎖はされていないが……、見るからに怪しいのである。
13:35 探索準備完了!
自転車に乗り換えて、出発します。
続く