久々の “島さ行がねが” の舞台は、 屋代島。 初!瀬戸内海!!
中世に村上水軍が根拠とし、幕府艦隊が第二次長州戦争の砲火を吹き、戦艦陸奥が謎の爆沈を起こした海上交通の要衝で、著名な民俗学者宮本常一の故郷となった風光と風土に恵まれた、山口県産ミカンの80%を生産するこの島で、私はどんな道と出会ったのか。
屋代島、別名周防(すおう)大島は、諏訪湖の約10倍にあたる130平方キロの面積を有する、わが国で22番目に大きな島(北方領土を除く、壱岐の次で沖永良部島の前。瀬戸内海では淡路島と小豆島に次いで3番目)。瀬戸内海を安芸灘と伊予灘に分ける防予(ほうよ)諸島の主島でもある。
本土(本州)との最短距離は島北西部の大畠瀬戸で1km弱しかなく、昭和51(1976)年に世界初の多脚式橋脚を持つ大島大橋(当初は有料道路、現国道437号)が架橋されたことで陸続きになり、いわゆる離島ではなくなった。島形は東西に長く約30kmあるが、南北方向は薄く、島西部で約10km、東部は特に薄くて、幅1.5kmに満たない部分が半島のように続く。
全域が山口県大島郡周防大島町に属し、同町の人口は2020年現在約15000人。“町の木”はみかんの木、“町の花”はみかんの花、主要産品はみかんである。そして私はみかんが好きである。みかんの旬は冬である。探索日は冬である。ナンダこの簡単すぎる方程式。
もちろん、みかんのためだけに秋田から片道1500km近くも車を走らせたわけではなく、探索があった。
はるばる向かった島での探索対象は、山口県道60号橘東和線という主要地方道である。
島の東部、前述した半島のような細長い陸地の南岸(伊予灘側)に沿って走る路線で、全長約35km、島を一周する径路の一部を構成している。
しかし、途中に道路地図上(右図)では車道が繋がっていないように見える部分がある。
地図上の流れを追いかけてみると、起点の東安下庄(ひがしあげのしょう)を出発した路線は、20km地点の片添ヶ浜までは順調に南海岸を走るのであるが、そこで突如南岸に別れを告げて島を横断、21km付近で北岸の平野(ひらの)に達し、そこで島内最大の幹線道路である国道437号に触れるか触れないか(後述)したかと思うと、22km付近の森(もり)で急に表記が怪しくなり、間もなく徒歩道表現へと陥落。徒歩道のまま再び半島を横断し南岸へ戻ると、24km付近の和佐(わさ)で車道表現が復活。以後約11kmは南岸に沿って走り、最後に島東端に近いところでもう一度横断して北岸、陸奥記念公園があり四国松山行きフェリーが出る伊保田(いほた)終点に達する径路である。
路線名と起点や終点の地名が一致しないようだが、平成17(2005)年まで、起点は大島郡橘町、終点は同郡東和町という両町を結ぶ県道だった。
右図は最新の地理院地図で、平野から森を経て和佐に至る区間が県道を示す黄色で描かれている。
この区間の問題はまず、主要地方道でありながら島の脊梁山脈(高さはせいぜい100〜150m)を横断する森と和佐の間の峠越えが、徒歩道として表現されていることだろう。
ウィキもこの区間を「通行不能区間」としている。すなわち【自動車交通不能区間】供用中の道路のうち、幅員、曲線半径、こう配その他道路の状況により最大積載量4トンの普通貨物自動車が通行できない区間をいう。なのだろうが、現道自体はあるらしく、山口県道路情報サイトでは特に通行規制は表示されていない。(探索当時及び執筆時点)
通行止めではないっぽい? 通れるの?(笑)
もう一点気になるのは、平野と森の間の奇妙な径路だ。
ここで県道は、国道から50mも離れていない隣接地を500m近くにわたって並走するのだが、結局合流することなくサヨウナラするという“奇妙な径路”を描いている。
近くに県道の支線があり、支線は国道と接続しているのだが、これは最近開通したものであるらしく(平成13年の地図にはない)、以前は、国道とは終点以外で接続していなかった。
このように超絶接近しながら合流しない径路が、地味に興味深かった。
――というわけで、県道60号の連続した3kmほどの区間に、2つの気になる箇所があるので、これらをまとめて探索することにした。
もっとも、地図上におけるこれらの印象は総じて地味で、わざわざ秋田から行くほどなのかと思われるかもしれないが、私が一番好きなのは、もともとこういう印象を受ける場所である。
それに、私は何年も前からこの道へ行ってみたいと思っていた。焦がれていた。
なぜならば――
最大幅1.0m規制標識の在処らしい!
「最大幅1.0m」規制標識は、過去に某静岡県道でタイ記録を見たことがあり、
これより狭いものは、某石川県道で「0.8m」というのを見たことがあるだけだ。
情報提供者は、フェイスブック友達の橋本康成 氏(Facebook)で……
山口県周防大島の右下の方です。
地図では不通区間になっていましたが、
海岸部を走る町道から見上げると
ガードレールは続いているように見えました。
……とのことで、まだ見ぬ“山口県特産黄色いガードレール”の行き先を、是否この目で確かめたかった!
ところで、これは余談だが、なんと上の写真の遙か先まで、
グーグルカーが入っていて、ストリートビューが撮影されている。
敢えてこの時点でリンクは貼らないが、待ちきれない人は探して見てくれ。
一応、ストビューも避けている区間が少しだけあるが、
「よくこんなところに入って撮影したな!」と、驚いてしまった。
通行止めではない主要地方道なので、当然のこととして、突入したのかも知れないが……。
それでは、久々に“島”へGo!!