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  [No.5047] 三弦橋の勇者。 投稿者:   投稿日:2010/07/01(Thu) 23:47:00
三弦橋の勇者。 (画像サイズ: 360×640 73kB)

先日、チャリとインフレータブルカヌーを担いで輪行していって、
途中の駅からはカヌーを自転車の荷台に積み込んで、
森林鉄道廃線跡としては恐らく最も有名な
下夕張森林鉄道夕張岳線の第一号橋梁こと
通称『シューパロ三弦橋』にカヌーで迫ってみました。

三弦橋、
下路2本、上が1本の断面が△の珍しいトラス橋で全長381m。
三弦橋タイプのトラス橋は水道橋としては珍しくありませんが、
鉄道が実際に使った橋としてはオンリーワンの、
シューパロ湖というダム湖にかかる橋。
マイナーにメジャーな橋なので、別に説明は要らないかと思います。

でも、
この貴重な橋は八ッ場ダムよりも効果の係数が低いシューパロダムが完成すると
残念ながら現在よりも約40m水位が上がるシューパロ湖に水没し、
数十年に一度の渇水でもないと見られなくなります。
(現在のダムもダム湖の底に沈めるというなかなか大雑把なダムです)

さて、
こんなメジャーな橋に行ったから勇者だなどと名乗る気はありません。
単にシューパロダムPRセンターの係の方からお聞きした
勇者の話がしたかっただけなんです。

三弦橋、
普通の人は国道からカメラを取り出し、35mm換算35mmのレンズで、
381mという長大な森林鉄道が真横から全部収まるような
遠くから眺めて満足するしかありません。

でも、
カヌーを使えば誰でも簡単に三弦橋には到達できるし、
大夕張ダム管理事務所職員も頻繁に三弦橋の橋台付近には
行って居るみたいです。

そんな三弦橋ですが、
ダム管理職員の公務を除いて最低でも今年は3人も到達しています。
一人は私、もう一人は大夕張地区に昔住んでいたご老人がカヌーで。
最後の一人が問題の勇者です。

到達方法は不明ながら、
大夕張ダムの対岸から一人で橋を渡りきり、
大夕張ダム側は現在はシューパロダム建設で24時間作業中。
渡っている人影に気づいた現場職員は気が気ではなかったことでしょう。
で、渡りきったところを保護して工事現場の外まで車で保護した。
と、そんな話をPRセンターの方が話してくれました。
今年の春先のことだそうです。

この人のとんでもないところは大きく2つ。
1つはアプローチ方法、もう1つは橋を渡りきったこと。

単独で後顧の憂い無くアプローチするには徒歩になります。
私の知る限り、車で行けるところまで知り合いに送ってもらっても、
廃線跡をたどって5km以上も歩くことになります。

しかも、
最低でも2カ所は回り道もできずに廃線跡のスカスカの鉄骨の上を渡り、
ヒグマも出没する廃線跡を歩くわけです。
……恐ろしい。

それより恐ろしいのが三弦橋本体です。
三弦橋の簡単な諸元を挙げると幅6mに高さ8mの二等辺三角形、
中央部は軽便なのに何故か鉄骨間が1250mmほど空いていて、
2本を跨いで歩くには、相当のあしながおじさんである必要があります。

まぁ、
2〜3m置きに鉄骨間を結ぶ補強はあるわけですが、
それでも、外枠にさわることもできず、ところどころに枕木の残る鉄骨を
一本橋を渡るようにして381mに渡って歩ききらねばなりません。

おまけに、
私が行った頃には湖面と橋とが7〜8mもありましたが、
春先であれば雪解け水の為に水位は満水状態で湖面との距離は3mほど。

それなら怖くないね……ってことにはならないわけで、
雪解け水の処理の為に現在のダムである大夕張ダムはゲートを全門開放中。
橋の最後の100mほどで落下した場合、ライフジャケットを着けていても、
そのまま流されてダムから紐無しバンジーを楽しむことになります。
写真の右手に見えるのが恐怖のゲートですな。

そんな湖面の流れを間近に感じる3mという高さは、
ともすれば恐怖を誘うでしょうし、ダム放流の轟音も歩くにつけ近づく。
そんな死の一本橋。

渡る先には手すりもなく、
安全帯を装着できるような鉄骨もない。
足下の鉄骨に装着しようにも2〜3m置きの補強が邪魔。
おまけに枕木などもところどころに残っている為、現実的とは思えません。

考えれば考えるほどに、
挑戦することが単なる蛮勇にしか思えませんが、
PRセンター職員の、地元の方らしいおばちゃんお二人の話では、
これに挑み、渡りきった剛の者が、実際に居たようなのです!

挑むことそれ自体が愚者ですが、
渡りきった、やりきったのであれば、それはもう勇者!!

あんまり凄いお話でしたので、
見知らぬ勇者に心からの拍手を送りたい、と、
吐き出し口を求めてこちらに書かせていただきました。
長文、失礼しました。

追記:
余談になりますがシューパロ湖には九十九式重構桁という、
鉄道聯隊謹製の非常に珍しい可搬式のインスタント・トラス橋が残っています。

最大では145tの広軌機関車と45t貨車が通行できたという実績があり、
基本的には120tまでの鉄道ないし車両を通行させる為のもので、
組み合わせ方と総数で桁間の距離も耐荷重も思いのまま、
組み立てたらピン接続するだけ。
便利ですな。

三弦橋と同じ夕張岳線の第五・第六橋梁として、また普通の林道橋として。
最後の一つは誰でも簡単にアプローチ可能で渡ることが可能です。
(ただし、車両通行止めゲートのため、徒歩かチャリ限定)

私の知る限りでは、
この3つが国内に現存する全ての重構桁です。

これらも全て早ければ2012年にも水没する予定ですので、
興味のある方が北海道方面に行かれる際には、
是非とも望遠レンズで覗いてみてください。


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