静岡市清水区在住の吉川さんという方から、彼の地元にあるという“変わったトンネル”をご紹介頂いた。
まあ、どう変わっているのかは、本編をご覧下さい。
それでは、どうぞ!!
静岡市清水区在住の吉川さんという方から、彼の地元にあるという“変わったトンネル”をご紹介頂いた。
まあ、どう変わっているのかは、本編をご覧下さい。
それでは、どうぞ!!
2015/4/18 12:28 《現在地》
東海道線の新蒲原駅を起点に行動を開始した。
もちろんいつもの自転車である。
これから紹介するトンネルは、廃ではないので自動車でも大丈夫だが、じっくり味わうためにはクルマは出来るだけ小さい方がいい。
新蒲原駅から600mほど離れたここが、入口らしい。
目印の「ハイキングコース」の案内板がある。
目の前の十字路を直進して、その案内された方向へ進む。
ちなみにここで横断する1.5車線の街路は国道1号の2世代前のルート(旧旧国道)で、正真正銘の「東海道」だ。近世には五十三次の15番目にあたる蒲原宿と呼ばれていた。
車1台分の狭い路地を道なりに進んでいくと、100mほどで二手に分かれる。
徒歩ならば、どちらを選んでも私の目指すゴールに辿り着けるが、そこは本題ではないので省略し、普通に車も通れる左の道を選ぶ。
この辺りから、上り坂が顕著になる。
蒲原は東海道、国道1号、東名高速、JR東海道線などが海岸沿いの狭い土地にひしめく交通の要衝であるが、そうなった原因として、背後はすぐに山が迫っている。
いま私が向かっている場所はその背後の山の一角である。
急斜面なので、道は途中一度切り返して登っていく。
市街地もさすがに途切れ、海からの風が直接ぶつかってくるような坂道だ。
そしてこの説明から予測出来るように、この辺りからの眺めは、とてもよい。
ご覧頂こう。
狭い平地を埋め尽くす蒲原の街と、巨大な防波堤のように海岸線を走る国道1号の高架道路(富士由比BP)。
高架を走る車の1台1台を、これほど気高いものに彩って見せる眺めを、私は他にいくつあげられるだろう。
海岸線を右に見れば、手前は東海道の名だたる難所薩埵(さった)峠の険しさと、遠くは風雅な日本平の山影が。
翻って左を見れば、伊豆半島の長い連なりが、まるで巨大な島のように海の向こうに霞んでいた。
12:34 《現在地》
こんなに容易いことで非常に気分をよくした私が前進を再開すると、間もなく進路上に覆い被さる巨大な橋が現れた。
この橋の正体は、東名高速道路である。
ここでも道は二手に分かれているが、このまま直進する。
お目当てのものは、
もう、すぐそこに見え始めている。
これだ〜!!
これが、地元の吉川さんに教えていただいたトンネルだ。
…トンネル?
トンネルだよね確かに。
土被りがないようだが、
すぐ上を東名に抑えつけられているようだが、
確かにトンネルの形をしている。
それに、なんか随分と古そうだし。
東名高速と同時に作られた地下道のようには、さすがに見えない。
ここの東名の開通は昭和44年である。これは我が国の高速道路としては非常に初期の開通であり、
当時の我が国にはこの坑口の周辺にあるもの(狭い道、木製電柱、木造家屋)が氾濫していたのだが、
そういうものの頭を一気に飛び越え、我が国の交通を現代へと力強く牽引したのが、この東名高速だった。
そんな交通史上の出来事を、象徴的に等寸大のジオラマとして再現したわけでも無かろうに、
何とも濃厚な取り合わせの風景だ。
高さ制限2.8mの標識が立つ坑門。
ツタが坑門上部の大半を覆っているので、扁額の有無が良く見えないが、
しばらく目を凝らして観察した結果として、「ない」と判断した。
他に意匠と呼べるもののない、シンプルなコンクリートの坑門だが、
特筆すべきことは多く、高速道路の真下にあるという立地、断面の狭隘さ、
そして、その必要性に疑いを感じてしまいそうな短さだ。目測10m程度。
東名高速が奏でるくぐもった自動車の走行音を前方に聞きながら、とても短いトンネルをくぐる。
あっという間に貫通すると、続いて正面に現れた上り線の高架橋をくぐるのではなく、
それを厭がるように、急旋回で右へ折れた。
そして、そのまま……
ガード下で
これだけでも、地元の吉川さんが私にわざわざ連絡をくれた理由が十分わかったが、
じつはこのループの構成要素である小さな地下道、本当に、トンネルなんである。
道路台帳に書かれた、ちゃんと名前も付けられたトンネル。
その名も、
“第二城山隧道”
スペック……
…全長13m、幅2.8m、高さ3.2m…
竣工……
昭和9年 !!!!!!
昭和9(1934)年作のループトンネルが、東名高速の下で、今までずっと息を潜めてたッ!
当然この立地では、地形図や地理院地図程度の縮尺では描きようもないから略されてる。
でも、廃止もされずに、どっこいこいつは生きていた。
次回はこの続きを。 どうやら隧道がもう1本ある。
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