静岡県道75号清水富士宮線 吉原狭区  第3回

公開日 2013.01.09
探索日 2012.12.10


これより、
「静岡県道75号清水富士宮線」
初の“見どころ”なるか?

地図上からは、現地の光景が想像できなかった。

地図に描かれた県道のラインだけを見れば、それは伊佐布川の谷底(標高80m)から、地図中に「峠」と示した2連続のピーク(標高180m)へと至る、約1.8kmの単純な峠道に過ぎない。

一方、新東名高速道路の本線や新清水JCTのランプウェイのラインは、この地に県道が“先住”していることは無論、谷や峠といった複雑な起伏を持った地形が存在することさえ、全く感じさせていないのである。

二つの道はそれぞれ“地上”と“空”という別の世界の住人として、何の交渉を持つこともなく、虚しく重なり合っているのだろうか。
その真景を確かめたいというのが、今回の探索の最大の動機であった。




ウィキメディア・コモンズより転載。(URL)

上の画像は、新清水JCTの俯瞰映像である。
本線とランプウェイが一見複雑に錯綜しているが、各線をなぞっていけばそれぞれ幾何学的に有意な形をしており無駄はない。
地形についても全く無視を決め込んでいるワケではなく、部分的には地山を利用している事が分かる。

さて、この壮大な眺めの中に、我らが県道75号はどのように“絡み合って”いるのであろうか。
辛うじて見える部分を赤実線で、見えないが実在する部分を黄色い破線で書き足したのが次の画像である。



ウィキメディア・コモンズより転載。(URL)

今回の冒頭でも述べたことだが、県道はとても素直に峠越えをやり遂げようとしている。
それは確かに狭隘であるかもしれないが、決して不自然なルーティングではないし、言わば“どこにでもある”道である。

そんな平凡な県道が、高速道路に“空”を争奪された光景が、今回(第3回)のテーマである。


…ご覧いただきましょう。




高速道路と県道が激しく絡み合う区間


さあ、いくぞ!

これから数多の高速道路を全て 踏み越え、
私の頂点、自らの“峠”を目指します!!

※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計



は〜い。 まずは一回目、くぐりま〜す。

県道を最初に跨いだのは、清水連絡路から新東名の名古屋方面へ渡るランプウェイで、
空中で90度カーブする特徴的な高架橋だった。 カウント+1。

※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計
1



竹林の道は1.5車線を維持しているが、伊佐布の集落を離れてから、まだ1台の車ともすれ違っていない。
車通りが絶えなかった農道大向線とは別世界である。

別世界と言えば、道の作りも全然違うことに気付く。
農道はとにかく随所に急勾配があったが、この県道はとても緩やかである。
自転車にとっては、とても走りやすい。

さらにさらに、農道では見なかったものを発見した(←矢印の箇所)。

それは空積みの石垣である。
ブロック塀ではなく石積みで、それがモルタルを使わない空積みであるということに、かなりの年季を感じる。 この県道の歴史は、農道(昭和45年完成)とは比べものにならぬほど古いかも知れない。



しつれいしま〜す。

てなことを言っても、全然高架橋には届いて無さそうである。
また逆に、高架橋が地上に与えている影響も、影と少しの橋脚くらいであって、限定的である。
特にそれを実感するのは、木がね、木というか竹なんだけどね、
竹がね、スックスク伸びてるのに、ぜんぜん高架に届いてないし、反対に高架下の木々を伐採したような形跡もない。
今のところ路外に見慣れた進入禁止の柵もないし、地上と高架は、上手くやれている感じがする。

高速の本線をくぐったので、カウントは+2(上下線別々ね)


※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計



このまま突き進めば、もう1本ランプウェイをくぐりそうだったが、それはお預け。
県道は余裕で2車線分ありそうな広幅員の1車線道路に変わり、その直後右に曲がっている。

カーブの正面は明らかな仮設橋である。
なお、仮設橋の入口がどこにあるのかあたりを見回してみたが、近場には見あたらなかった。
いずれ、仮設橋を取り壊していないという事は、まだ使う予定があるのだろう。
中部横断道延伸工事の時に…。




9:03 【現在地(地図)】/【現在地(空撮)】

こっ、これはっ!

これは新しい潜り方(笑)。

イキかけて、でもイキきらない。

新東名の本線の内、上り線をくぐっているのに、下り線はくぐらない。寸止め(笑)。

なんか可笑しいぞ。


…いや、それよりもこの景色はなかなか見どころがあるぞ。

まずは、道幅の尋常でない広さに目が行く。
車線数は1だが、幅は4車線分くらいありそうだ。奥のカーブミラーと比較して欲しい。
これは明らかに高速の工事で手を加えられているな。




新清水、冬の大三角形。

一辺の長さが約250mある巨大な三角形である。

これは今回得た新清水JCTの眺めの中でも、たぶん上位に来る。

とにかく新東名を跨ごうとしているランプウェイの高さが凄まじい。
ちなみに、奥に見える山の向こう側は前回紹介したこの高架だ。


この眺めに感歎の後、ガードレールに促されてを向くと…。




JCTのコアが出現ッ!

核(コア)だ、核。

あそこが新清水JCTの中心だ!


もう既にコンガラガッテルように見えるわけだが、これからじっくり解体していこうじゃないか…。クフフ。

とりあえず、本線を片方だけくぐったので、カウントは+1と…。

※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計


いやはや、おいしい眺めである。

県道は至って真面目に山登りをしてるのに、数々の高架がめちゃくちゃそのやる気を削いで来やがる(笑)。
「何だよその上り方は、グダグダじゃねーか?」
きかんしゃトーマスが電気機関車たちにイヤミを言われる定番のシーンが脳裏に浮かぶ。
「なにくそ! こっちが道路の正統派ナンジャイ!」
私はそう県道を応援してやりたい。
高速なんて、高速なんてッ…。

そしてここで、本日3つ目くらいの“イカの耳”的な物を発見。

これも“イカの耳”というか、“イカの足”と言うべき感じがあるが、絶空に途切れた高架橋だ。

やがては中部横断道の本線が、あの途切れた高架橋の先に建設されるはずである。
想像すると、とってもワクワクする。



いや、
ワクワクするなんてもんじゃない!


“新清水JCTがその真なる姿を現わせしとき、

 この地の“空”には、今の2倍近くの高架橋が、

 うねりまくる事になるであろう。” (ヨッキ予言)


今回の探索や、グーグルマップの空中写真映像などから、既に分岐に必要な準備施設(イカの耳類)は大半出来上がっていることを確認しており、ここには左図のようなフルスペックのクローバータービン形JCTが計画されている事が伺えるのである。


これが全て完成したら、上の写真なんてどんな景色になるか、想像できないぞ。
(書き加えてみようかと思ったけど、スキル不足で無理だった)

今のところ、平成29年度に中部横断道開通の予定なので、その頃に再訪して見たい!




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峠への上りも今がたけなわか。

ここまでの緩やかさに較べれば、だいぶ峠道らしい登攀感を感じさせる。
特に頭上にばかり目が行く景色なせいで、アゴが上がって、普段以上にしんどい感じがした。
とはいえ、農道の上りに較べれば全然良心的なのであるが。

先ほどは寸止めでくぐらなかった、新東名の名古屋方から清水連絡路へ渡るランプウェイを、ここで初めてくぐった。カウント+1。

※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計



そろそろ高架下の敷地が物々しくなってきた。

よく見る高速道路の高架下と同じように、立ち入れないエリアがボチボチ増えてきたのである。

しかし、そのフェンスに掲げられた注意書きのシュールさが目を引いた。
四カ国語の内容(日本語が中国語兼用なら五カ国語か?)は良いのだが、イラストが…なんか… Microsoft Word の素材“臭”が全開である。
カメラや望遠鏡のイラストは分かるんだが、左上のサングラスをした太陽や、その横の帽子をかぶったお月様の絵は何の意味があるの?



この切り返しカーブも、道幅がとんでもなく広くなっている。

きっと高速道路の工事用道路として使われたのだろう。
その時に「狭隘区間?何それ?」というくらい拡幅されたものと考えられる。
しかし工事終了後も通行量的に2車線化する必要は感じられず、そのまま(特にカーブが)だだっ広い1車線道路になったのだろう。




切り返すと、そこに110.7kmポストがあった。
もちろんこれは、頭上の新東名のキロポスト。

でも、なぜ県道端に高速のキロポストが必要なのかと思っていると…。
そのとなりに、答えがあった。



なるほど、なるほど。

県道を走っていて、高速道路の破損など異常を発見した際に通報して欲しいと。
で、通報した時に「どこ」かを簡単に伝えられるように、キロポストを設置しているのだな。

それにしても、偶然なのか、多少は狙ったのか。

この地点のキロポストの数字は、110.777kmである。
スリーセブンだ、やっふ〜!
そしてついでに、橋の名前も判明したぜ。
伊佐布第一高架橋と。



ぐぬわ〜!

今までで一番、新東名に接近しているが、
ここまで近付くと、もの凄い圧迫感を感じる。

県道もあまりに気圧されてアイデンティティを確かめたくなったのか、
ここに500m刻みのキロポストを設けていた。 ガンバレ県道!
今が一番辛いところだぞ! …たぶん。




そして遂に…

JCTの“コア”に最接近する
カーブに、到着!
↓↓



変則的四重立体交差!?

おそらく日本各地のJCTにこういう地点はあるだろう。
あるだろうが、その核心部をにょろりにょろりと迷い道のように、
しかし自らの峠越えの目的は頑と譲らぬ県道が、走っている。

こういう取り合わせの風景は、きっとレアなものだと思う。

なかなか県道も、誇らしげじゃないか?
私にはそう見えるが。



やっぱり四重立体交差しているよな。

この景色は、一見の価値ありだと思う。

もちろん、これが今回のハイライトシーンである。



前回に続いて今回も、山形みらいさんのブログ「『くまドル』山形みらいの **雨天決行** 傘を持って外に出よう」の2012年3月12日の記事「おやびんが撮ると新東名はこう写る。」から、1枚の画像を転載させていただく。


これが新東名のランプウェイ上から見た、県道75号だ。
地面を走っている道がそれであり、レポート中の現在地は右端のカーブの地点である。

ランプウェイや本線上には、この日だけの特別なウォーキングを楽しむ沢山の人影が見えているのに、県道には全くそれが見えない。
まるで現在の状態を予言しているかのようだ。
私だけぽつんと県道側にいてあげたい気分になるな(笑)。

山形みらいさん、画像提供ありがとうございました。






9:08 【現在地(空撮)】

同じ地点から今登ってきた谷の方を振り返ると、“イカの耳”をもう一つ確認できた。

あそこから伸びるランプウェイは、右の本線の上を越えて中部横断道へ向かう事になる。
まだまだ高架橋の数は増えることになる。
県道が跨がれる回数も…。




「コア」の前後で、県道は新東名本線(上下線)と、ランプウェイ2本に計3回跨がれたので、カウントは一気に+5となる。

※ここまで高架下を潜った累計回数※
本線(上下線)/ランプウェイ/ 合 計
10

これで10回の大台に乗ったのである。
わずか1kmの間に10回である(笑)。



これは10回目の交差直前の光景だが、

右の山の上に私の興奮を呼ぶ光景が思いがけず展開していた。

こういうの、大好きだから!




前後とも欠けている、橋!

明らかに作りかけの存在であるが、現在工事が行われている様子は無い。
現地ではこれが何であるか、はっきりとしたことは分からなかった。

だが、今なら言える。



この橋も“イカの耳”である。

もう完全に耳でも何でもなくなっているが、同じ性格のものだ。
つまり、将来増設されるランプウェイの一部が先行して建設されたのだろう。

順調にいけば、平成29年にはあの橋も我々が自由に通行できるようになる。

なお、座席の位置が高い車で清水連絡路から新東名の東京方へ向かうランプウェイを走ると、右手防護壁の向こう側に、この孤立した高架橋の路面を見下ろす事が出来る。
ワルクードからだと、このくらいだけ…。




9:12 【現在地(空撮)】/【現在地(地図)】

一之瀬橋から上り始めること20分、約1.4kmの道のりを走り、

標高160mにある「最初の峠」に到着した。

そこは思いのほか長く直線的な掘割りで、何となく不思議な気がする場所だった。



次回、歴史を秘めた県道のささやかな逆襲が始まる。