本州と北海道を結ぶ3本の海上国道の1本を前回紹介したので、折角なので残りの2本も紹介しよう。
とはいえ、今回も北海道には渡らない。本州側のお話しである。
その2本とは、国道279号と338号である。
それぞれの経路は右図の通りで、2本セットで下北半島の周回ルートを形成している。
また、前回の国道280号は本州の青森市が起点で、北海道の函館市が終点であったが、この2路線はともに北海道の函館市が起点である。
起点から約2kmで海上区間が始まり、約38kmの航路を経て下北半島の北端にある大間港から本州に上陸。ここまでは重複区間だが、以後はむつ市内で一度交差する以外は別ルートで、それぞれの終点を目指している。
特筆すべきは、函館市内の約2kmの陸上区間は、国道279号と338号の重複区間であり、そこに国道279号の“おにぎり”が存在する(らしい)ことだ。
国道280号の道内の区間は、全線が北海道側の国道との重複区間で、かつ北海道側の国道の番号だけが案内されているらしいので、国道279号はこの点で、より海上国道の存在感を際立たせる魅力がある。
そもそも最も重要なポイントとして、国道279号および338号の海上区間には現在もちゃんと定期航路(大函航路)が設定されていて、車で行き来できるということを挙げない訳にはいかないだろう。
ここは本州と北海道を結ぶ、唯一の“生きた”海上国道なのである。
ところで皆さまは、私がこのレポートで単に大間港のフェリー乗り場でも紹介するとお思いだろうか。
もちろん、フェリー埠頭も紹介するが、本題はそこにはない。
左の地図は最新版の地理院地図だが、ここに描かれている国道の路線をよく見て頂きたい。
海に向かって切れている。
そう。
それはそうだ。海上国道は地図に描けない。
そうではなく、その切れている場所が問題だ。
地理院地図に「フェリー発着所」と書かれている地点から、大函航路を結ぶフェリー船が発着している。
だが、国道はそこではなく、少しずれた場所で終わりを迎えている。
…まあ、理由については予想が付く。
以前、国道が指定された当時は、この端点の辺りから船が出ていたのだろう。
はい、解決。
でも、 でもだよ。
気にならないか?
だってさ、この国道が切れてる場所って、マジで本州最北端の国道だぞ。
これより北に本州の国道はない。
東京から走り出した車が、国道だけを辿って自力で着ける最北の場所。
そんな、国道ファンにとってはある種の“記念すべき”地点が、現代の海陸交通網から外れた場所に、ひっそりと残っているとしたら…。(まあ、ひっそりしてるかは分からないけど…)
ともかくこの端点を、私は猛烈に見てみたくなった!!
2012/1/4 13:58 《現在地》
1月4日にこの地域の出身者でも何でも無い人間が、大間にいる。
これって少しばかり珍しい事のような気がするが、気のせいだろうか。
まあそんなどうでも良い話は置いておいて、2012年1月4日、午後2時直前の大間の町の風景である。
天候は見ての通りで曇りがちな晴れだが、気温も風景から予想できるとおり、激寒である。
もちろん、私は自転車である。しかも、だいぶ前から走りっぱなしである。寒い。
それに、午後2時にしては妙に明るくない。なんか黄昏のムードがある。
安易に、最果ての淋しさだとか言いたくないが、ではこの景色をもっと簡単に言い表せる言葉があるのか?
ちなみに、私が大間を訪れるのは、これで3度目だった。
一番最初は、皆さまの中にも記憶している方がいるかと思うが、あの大間線の探索の初日の最後に、ミリンダ細田氏と一緒に大間に来た。
大間に辿りついた時にはもう夜で、ふたりで「淋しい淋しい」と言いながら、これから向かうフェリー埠頭で車中泊した記憶がある。
さて、私は早速、国道279号と338号が揃って本州の果てに向かう、その重複区間が始まる交差点にいるわけだが、地形図やその他道路地図のどれらとも異なる案内が、現地でなされている事に気が付いた。
この交差点にある青看だと、直進が国道279号であるのは問題無いが、右折が国道338号だというのは、各種地図とは異なる表記である。
この右折の道は、種明かしをしてしまうと、国道279号と338号の共通する旧国道ではあるのだが、現在は国道指定から外されていると解釈している。
だが、青看はそうは言っていない。
正直、全ての地図が間違っていて、この青看だけが正しいとは思えない私がいるが、直進しても右折しても、いずれ同じ端に辿りつくので、ここでは直進…
と思いきや、ちょっとだけ左折ッ!
左折すると、そこは国道338号である。(今まで居たのが国道279号)
すぐ目の前には大間原発の工事現場が盛大に広がっていて、先の展開が見通せない風景なのだが、そんな場所にあるこの青看が、私は印象深くて好きなのだ。
「むつ 113km」
遠いなぁというのは、私を含め誰もが思う共通の認識だと思うが、実は、ただ「むつ」に行きたいだけなら、この場所で即座にUターンすべきなのだ。
何を言ってるか分からない方は、このレポートの冒頭の地図を見て頂きたい。
国道279号と338号は、この大間で別れた後、やがてむつで再び出会う。
だが、そこまでの距離は、前者だとおおよそ47kmだが(証拠:googleストビュー)、後者は延々と迂回し、青看の通り113kmもある。
だから、ここからむつに行きたいならば今すぐ引き返すべきなのだが、そんなことは青看が教える義理ではないから、教えない。
旅は旅人の選択に委ねられている!
(北海道から上陸してきた不慣れなドライバーが、うっかり交差点で国道338号を選ぶと、いつまでだってもむつにさえ辿り着けず、北海道もでっかいが本州もでっかいんだなと思い知るはず…笑)
脱線ついでに、こいつも紹介しないわけにはいかないだろう。
交差点に立つ、本州北海道連絡橋の速成看板。
私も子供の頃、青函トンネルが開通したことを知った時には、多分自分が大人になる頃には道路だって北海道に繋がっているだろうなって思っていたっけな。
お金の問題だけで、技術的にはもう作れるって言うなら、作って欲しいけどなぁ。
さて、改めて冒頭の交差点を、青看が国道279号として案内している方向へと進む。
ふおぉ。
なんか変な声が出た。
国道の行く手に、鈍色の水平線。
この色が堪りませんな。
こんな色の海を渡った先にある北海道とか、なんか恐くないか。(わりとマジで)
もうこの時点で、国道全体から“最果て感”が滲み出ている気がする。
まだ道は素晴らしく完備されているけど、なんかもう景色が最果て。
私の中の勝手なイメージだが、“ナントカスク”とか、そんな地名を付けたくなってくる。(←ユジノサハリンスクみたいなのね…)
そして、大間と言えば、これっ!
自転車よりでかいマグロ。
でも、今日はマグロ丼を食べるのはやめておこう。
結構高いし、前に食べたからね。
お金が無くなっちゃう。
(トロより、ドウロが旬なんです!! )
14:04 《現在地》
先ほどの交差点から約400mで、海岸線にほど近いところまでやって来た。
道はここで丁字路になり、左右の選択を迫られるが、青看に“おにぎり”がない。
しかし、地図によれば国道はここを右折である。
その一方で、青看の通り、フェリー埠頭へは左折である。
このフェリー埠頭は、もちろん函館に渡るためのフェリー埠頭である。
私の最終目的地、本州の国道最北端へは右折だが、久々にちょっとだけフェリー埠頭を覗いてみよう。左折寄り道!
そうそう、これが大間のフェリー港だったな。
この砂利敷きの駐車場は、今でも良く覚えている。
なんか鋪装されていないってのが、また印象深いんだよな。
おおっ!
それにちょうど船が入港してるじゃないかー。
津軽海峡フェリーの「ばあゆ」1529トンだ。
今回、レポートを書くために調べていて分かったんだが、この探索をした2012年には健在だったこの「ばあゆ」(昭和63(1988)年完成)は、2013年4月に引退し、今はインドネシアで第二の人生を歩んでいるそうだ。
だから、いまこの場所に行っても、「ばあゆ」を見ることはもうできない。
それどころか、「ばあゆ」の代わりに就航した新造船「大函丸」のために岸壁が改修され、今では上の写真の左側の辺りに出来た、新たな岸壁に発着しているという。
気付いたら、ここに来てからもう15分も経っていた。
この間、ただ埠頭に立ってぼんやりと、遠のいていく船を見送っていた。
この海の向こうにも、まだ見ぬ日本が広がってるんだよなぁ…。
まさにこれぞ海の道! 国道も黙ってここに来ていれば、言うことないのにね(笑)。
港の船が居なくなり、しばらくは閑散とした時間がはじまる。
まあ、船が居る時でもあまり人は居なかったけど、今に較べれば遙かに動きがあった。
沖へ向かった船を追い掛けるように、晴れ間も遠くへ消え、またどんよりとした1月の雲が空を覆った。
平屋建ての古ぼけた乗船券売り場兼待合室に、立ち寄ってみる。
船の待合室には、バスや鉄道の待合室にはほぼ見られないものがある。
それが私の目当てであった。
←これこれ(笑)。
懐かしいアーケードゲームが、船の待合室や、あと船内の遊戯室には付き物だ。
これは私が山行がの「ヨッキれん」になる前にハマりまくっていたネオジオだな。
もっと当時流のマニアックな言い方をすれば、MVSってやつだ。
この筐体には最大4本のゲームをセットできるが、ここには3本のゲームが入っている。
タイトルは… どれどれ…
「ザ・キング・オブ・ファイターズ98」
…まさに王道、ネオジオを代表する名作格闘ゲームである。私は専らアメリカンスポーツチームを愛用していたな。もう秋だぜ!!
「メタルスラッグ」
…1作目はレアだなぁ。ナスカというマイナーなメーカーが出したこの1作目が余りにも上出来だったので、シリーズ化して近年まで出続けていた。
もちろん私も遊びまくった。
「2020スーパーベースボール」
!!! マニアックすぎるセレクトだ!!!
こいつはネオジオマニアを自称する私もやった事が無い。や、やってみようか……。
いや、やめておこう。
野球ゲームはほとんど経験が無いんだ。
たぶん100円をどぶに捨ててしまう。
それにしても、最近ではすっかり絶滅してしまった(つうかメーカーがもうない)MVSが現役で稼動しているなんて、やっぱり船着き場は最高だぜ!!
おっ、こっちにも何かあるぞ。
はなひゃくキター!!
これまた船着き場&船内の定番、パチスロ(4号機)である。
この花火百景も当時、ホールでよく遊んだマシーンだ。
アルゼの透過液晶は本当に綺麗でな。
このマシーンの液晶に表示される花火は、本当に美しかった。
リプレイ外しとかあってな。
でも、どうせなら元祖の「花火」か、「大花火」を設置して欲しかったな。或いはこの筐体限定なら「闘神雷電花田勝」をもう一度打ちたい。
…って、液晶に「大当り」って出てるんですが?!
デモ画面にこんなシーンあったっけ?
もしかして、前任者が当りの最中にやめて帰った?
う、打つか… 久々に4号機を。
…いや、やめておこう。
実は、プライズ版(ゲーセンにあるやつのこと)のパチスロって、ほとんど打ったことが無いんだよな。
うん、満足した。
国道に戻ろうかな。
のろのろしてると、マジで大間の日暮れは早そうだからな。
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