Post from RICOH THETA. - Spherical Image - RICOH THETA
2020/6/3 12:14
驚いた!!!
いきなりの全天球画像だが、ここでの驚きはこの表現方法以外では伝えづらい。
即ち、三次元的な造形の妙があった!
我々が今抜け出してきたばかりの坑口を起点に見て欲しい。
道は、坑口前で再び直角に左折して、階段を登り、階段上で直ちに切り返し、
坑口の直上を短い橋で跨いでから、直角に右折して階段を登る。
ここまでが見える範囲だが、おそらく前述の最後の階段の上がゴールだ。
大人が二人並んだら窮屈なサイズの隧道は、入口から急な階段。
そこを出ると小さな踊り場で、真上に無骨なコンクリート橋が渡っている。
そして橋の上にもまた急な階段。狭い範囲を上手く使って高度を稼いでいる印象。
「大岩」の中の狭い範囲を高度に利用して登っていくのには、ほんとパズル的な巧さを感じる。
深読みすれば、「大岩」という景勝地の外見をあまり変えずに登頂路を付けたいという思惑があったろうと思う。
このたくさんの構造物がある面が、深浦の陸地からは隠されていて見えないことも、そう考える根拠だ。
↓ここにある立体的なルートを、平面の航空写真上に再現すると、次の通りである。↓
この線形、いわゆるループということになるが、
隧道と橋をアスレチカルに組み合わせているところにパズル的な面白さを感じる。
本来、人道という括りだけなら、遊歩道に不向きなハシゴを許容しないとしても、
ルート設計の自由度は非常に大きかったはずで、たとえばらせん状の隧道を掘るなどしても、
「大岩」の上と下を結ぶことが出来たはずだ。しかし敢えて隧道と橋を組み合わせたことは、
利用者に意外な驚きを提供したいという、遊び心の発露であったと思う。
そしてこの設計者の企ては、見事に成功したと言える。
なんせ、さっきから私とHAMAMI氏は笑顔が溢れて止まらなくなってしまっていた(笑)。
笑いの沸点がアンモニア並みに低い私はともかく、HAMAMI氏のこの表情は結構レアだ。
ひとしきり笑った後……、いや後ではないな、笑いながらだ。笑いながら坑口前の階段を上り、次の橋に向かって切り返す地点まで進んだ。
隧道内から急な階段だったが、外にある階段はもっと急で、一応手摺りはあるももの、一昔前の観光地を思わせるスパルタンな印象である。
ところで、海の様子がさっきまでとは全然違う。
さっき見ていたのは潮間帯の穏やかな内海で、いま見ているのは日本海の外洋である。
別に今日は波の高い日ではないが、短い隧道を抜けただけで、ここまで海の表情が変わったことに驚く。
この変化はそのまま、「大岩」が常に体感している海の二面性ということになる。
あと、波の高さだけでなく、海面との比高ももちろん大きく変わった。
さっきまで海面は手の届くところにあったが、今は10mも下で騒いでいる。
まるで出来の悪いらせん階段のように歪な線形だが、
おおよそ10m四方ほどの狭い範囲内を、行ったり来たり、捻ったり、回ったり、
とにかくいろいろ工夫して登っていくのが、微笑ましい。
この先の橋を渡って、急な階段を上れば、いよいよゴールであろう。
が、ここで我々はまた、ただの観光客として立ち去ることが許されなくなる発見をしてしまう。
HAMAMI氏が、笑顔を止めて、あらぬ方向を凝視しいるのが、その証拠だ。
やりやがったらしい。 さっそく【効果】が出ちまったか。
12:16 《現在地》
HAMAMI氏のそばに行くと、そこにはこんなものがあった。
太い、鉄棒?
手摺り……にしては、変だな。
塞がれた旧道じゃねーか?!
なんか、ありそうな気はしていた。
だって、あの変な階段隧道が大昔からある感じはしなかったもの。
階段隧道が作られる前の、素直に岩場の外周を回って登ってくる旧道が、ありそうだと思っていた…。
……そして、見つけてしまった。
錆びた太い“鉄棒”の意図は理解したが、もちろん入る。
先代の歩道も、そこまで古い明治時代のものとかではないようで、
急なコンクリート階段や木製の手摺りを固定していたらしき支柱なんかがあった。
下っていこうという意図を感じる。だが、その進み得る距離は極端に短かった。
わずか5歩で、写真の場面にぶつかり、ここにも木の棒で塞がれていた痕があったが――
船越英一郎。
私は呆気なく自白を余儀なくされる。
だって、これ以上踏み出せないもの。
「私には歩けません」 と自白。
別アングル。
HAMAMI氏がいるところに、鉄棒で塞がれた旧道の入口があり、
そこから5歩ほど(このアングルだと岩陰の)階段を下れるが、
“矢印”の突端にある木柵が、道形が現存する末端であり、それより先は、
海に削られたか、橋が落ちたか
道がない。
……これについては、帰り道で下側からもう少しだけ調べてみようと思う。
スゲーなこの道(笑)
また我々の顔面に笑いが張り付いてきた。
なんか、昔のRPGのダンジョンのイメージ画像みたい。
スケルトンとか3体くらい現われそう。潜っていくとマグマとかありそう。
たのしすぎるwww
それはともかく、旧道と合流した先に橋はこの1本しかないので、
ここからは先は、旧道のルートとも重なっているのだと思う。
最後に控えていた急な階段を、ピカピカの手摺りに導かれながら上る。
手摺りだけ新しい感じだ。急な階段は、旧道時代のお古だろう。
登り切る!
12:21 《現在地》
これが、「大岩」の上の景色だ。
ロッククライマーでもなければ、遊歩道の手ほどき無しでは辿り着けない領域に、
どこかの高い山の上とも見えるような、荒涼の中に秘められたささやかな平穏がとても愛おしい、
下から見上げた印象よりは起伏に満ちた、案外広くはない草地があった。
本当に、この眺めだけだと、「どこここ?」って感じだと思うが……
錆びが進んで、たぶん寄りかからない方が無難な金属手摺りの外に目を向けると、
ついさっき歩いていた“蛇の道”が本当にすぐ真下に見えて、楽しかった。
立体パズルを完成させるような楽しさが、この道の探勝にはあると思った。
設計者は、凄くセンスがあるんじゃないか。
頂上では何をするということもなく、短時間を過ごしただけだった。
道はここで終わっていて、適当に草を食んだ後は、来た道を戻るよりないところだ。
ただ、眺めはとても良くて、これを見るために上ってくる価値はある。
あと、この島のすぐ近くにもう一つ、「小岩」とでも呼びたくなる島が浮かんでいるが、
そっちの方から常にニャーニャーニャーニャー凄い音がする。
そして、なんかごま塩を振ったように、岩に白いものが点々としている。
果たしてその「小岩」は、海鳥たちのコロニーであった。
こっちの島みたいに広くないし、草もほとんど生えていない不毛の島に見えるが、
人が上がってこないというだけで、彼らには望ましい住処なのだろう。
岩場に直に丸くなっている姿が、なんとも微笑ましかった。
(変な道で人が登ってくるまでは、こっちも彼らの天地だったんだろうな)
頂上からの下山シーンを、カット無しの全編フルでご覧いただこう。
それでもたったこれだけの時間である(笑)。
――で、最後は――
12:27 《現在地》
さっきちょっと意味分からないまま終わった旧道に、ケリを付けたい。
まず、下側の旧道分岐地点は、地形的にここしか考えられない(←)。
突然、舗装路が終わって階段隧道に入っていくのだが、かつての道は、このまま海際を危うく進んでいたのであろう。
実際に進んで見ると、すぐにその証拠を見つけた。
進んだ先の岩場に、手摺りか何かを固定していたらしき2つの小孔を発見した。
そして道はそのままの高さで、岩のクレバスを渡って、その先の隧道!! ……みたいな海蝕洞を、まるで隧道のように抜けていく ……ように見えた
が!
小さいと思っていた岩のクレバスが思いのほか深く、波濤に溺れていたために、
横断不能
…………
……こんないいところで、やはり旧道は核心部に触れさせてはくれないのか…。
落胆する私に、意外な展開がッ!↓↓↓
動画を最後まで見ていただけただろうか?(笑)
下ばかり見ていた私が陥った、なんとも可笑しい罠であった。
(笑)(笑)(笑)
12:27 《現在地》
上だったんだ、旧道の続きは。
我々はちゃんと下側からも、旧道の辿りうる末端まで到達していたのだ。
そのことに気付くのに遅れた(苦笑)。
下と上の末端を結ぶ間は、おそらく外階段だったのだろう。
それが大波で失われて、旧道は廃止されたのだと思う。
なお、帰宅後に歩道の付替が行われた時期を調べてみたが、分からなかった。
完結。