十二ノ森公園の謎の道 前編

公開日 2010.12.26
探索日 2010. 8.23
群馬県利根郡片品村

ちょっと右の地図をみておくれ。

愛用している「スーパーマップルデジタル ver.11」の画像なんだが、中央付近の山の中に、この場所には似つかわしくない注記がある。

野球場」「並木公園」「十二ノ森公園」の3つだが、下地の等高線はかなり険しく描かれており、2つの公園についてはともかく野球場というのは流石にこんな場所に作れるだろうか?
麓の道からは140mくらい高いところだぞ。
それに、いくら縮尺を上げてみても、この3つの場所に行くような道は現れない。


もしかして廃公園とか、そういうのか?

何となく気になったので、行ってみた。

<この場所について>
ここは群馬県利根郡片品村の北部に位置する戸倉地区【周辺地図(マピオン)】で、沼田と会津を結ぶ街道の宿場としてひらけた場所で、現在は尾瀬の玄関口として知られている。




尾瀬の玄関口を見下ろす、十二ノ森公園


2010/8/23 14:39 《現在地》

私がここに行ったのは8月末の平日だが、一応学生は夏休みの時期である。
そのせいだろう。明らかに尾瀬界隈の通行量は沿道住民の往来を超えていた。
特にここ戸倉は、尾瀬ヶ原へ続く鳩待峠のマイカー規制に伴うバス乗り換え地であり、お土産物屋なども多いことから、混雑といってよいレベルの通行量があった。

写真の地点は戸倉の中心部、尾瀬ヶ原へ向かう県道63号と尾瀬沼へ達する国道401号の分岐地点手前で、右側に駐車場や土産物屋などが所狭しと並んでいる。
そしてその一角に、「十二ノ森公園」の真新しい案内板が建っていた。





「ああ、なるほどね。」

さっそく謎は解けてしまった。

地図に道が描かれていなかったのは、単に公園が出来たばかりなので間に合わなかったのだろう。
この巨大な案内板からは作りたての匂いがするし、とうてい“廃公園”という感じではないことが分かった。

これは流石にボツかな…。


ん?




なにやらトンネルが有るようだ。

公園の中の遊歩道に。

しかも、この案内板を信じるなら、それなりに長いトンネルのような気がする。

公園に長いトンネル。 なんとなく、“変な風景” が期待される。


まあ、せっかく来たんだし行ってみよう。 「並木トンネル」へ!





というわけで、結局は十二ノ森公園というところに行ってみることにした。
案内板がここにあるくらいだから、それはすぐ近くにある。

左の写真は国道と県道の分岐地点で、私は左の沼田方から来て奥へ進む。
目指す公園へ向かうには、一旦この県道に入るのである。




県道水上片品線に入り100mも行かないうちに再び分岐。
ここで県道と分かれ、後方の道に入る。

先ほど見た案内板の通りに進んできてはいるが、思っていたのと少し印象が違う。
もうこの先は十二ノ森公園の敷地だと思うが、特に看板は無い。
それに、「車輌進入禁止」とだけ書かれた車止めは、楽しさに水を差すような冷たさだ。

不安になった私は、先ほど撮影した案内板をデジカメの再生モードで見直してみたが、やはりここしか考えられない。



公園へ向かう道に入る。

一応は公園らしく、道の周りに植樹されたような木がポツポツと生えており、黒いアスファルトにいくらかの緑陰を与えていた。
しかしそれだけである。後はただの車道に見える。
車止め後に続く公園道路としては、いかにも「つまらない」ではないか。
もちろん、単に公園で遊ぼうと思ってきたワケでは無い私にとっては、むしろ興味深い違和感だったが。

しかもこの道は、かなりの急坂で上っていく。ペダルが重い。
炎天下の午後にはかなり堪える展開である。
それにまだ、人っ子一人出会わない。
すぐ下からは、観光バスを待つ大勢の人の声が聞こえてくるのに。




橋の向こうにやっと“公園らしい”ものが見えた。

丸太で作った展望台だ。
例の案内板には「お山の大将」と名付けられていたが、大将にしては小さい。

そしてこの橋、素通りするにはちょっと変な橋だった。

銘板は無いものの、橋桁の側面に工事銘板が取り付けられていた。
身体を橋から乗り出させてこれを撮影したが、竣功は1998年10月で、発注者「水資源開発公団」、施工者「片品第4共同企業体」というものだった。
公園の橋にはちょっと似つかわしくない面々だ。

さらに、橋の下も変だった。




橋の下には、川もなければ道もない。

そこにあるのはただ夏草に覆われた凹みであり、よくよく目を凝らしてみてやっと見つけたのは、

しょぼいU字溝だけだった。


はっきり言ってよく分からない。
この橋にどんな意味があるのか。
築堤で乗り越えられない理由があったのだろうか。

分からない。


分からないまま、十二ノ森公園へ。




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14:48 《現在地》

十二ノ森公園に着いたよ〜。
お空も大地も点在する遊具たちも、みな独り占めって感じ。
左にあるのは駐車場なんだが、車止めの奥にあっちゃ意味がない。

あ、プラウザ閉じないで。 「戻る」ボタンも駄目。

公園系のネタはいらないという人も、我慢してもう少し着いてきてね!
どんどん行くよ!




ちなみに公園のマップはこんな感じ。
駐車場の脇に設置されていた。

まあ設備としては、山の山腹にあることを除けば平凡な公園である。
平凡すぎて、誰もいない。
なんか、哀しくなるくらい無人である。

まあ、なんとなく分かる気がする。
ここが都会の近くならばいざ知らず、どうして尾瀬の膝元までやって来て出来合の遊具で遊ばねばならんのだと、そういう疑問を抱くのも無理はない。
バスを待つ間とか、時間つぶしに使えということなんだろうか。

まあいい、適当に景色を見ながら先へ進もう。
目指す並木トンネルは、まだ先だ。





真新しい遊具たちが、夏草に溺れつつある園内の模様。
この景色は、細田氏に捧げよう。
きっと彼なら、あの奥の東屋で一晩明かしたいとか言うと思う。


遊具のある場所を過ぎると、路上には2度目の車止めが出現。
こんどは看板もないし、放任主義?



このあと、道はさらに上って折り返す。

折り返して、眼下に戸倉の一帯を見下ろすようになる。



見ろ
車がゴミのようだ!

ぶっちゃけ、この広大な山腹を切り開いて作った十二ノ森公園の意義は、混雑した下界をしばし離れて上のような感想を持つことに尽きるかも知れない。

…というのは冗談としても、ほんと面白いほどこの公園は無人だ。
しかし苦労して上ってきただけあって、なかなか見晴らしは良い。

見ろ、“お山の大将”もゴミのようだ。

ちなみにあの車が沢山停まっているところが、本編序盤で「駐車場」と表現した「尾瀬第一駐車場」である。
国道からそこへ向かうため(だけ)に片品川に架かっている巨大なアーチ橋は、「思い出橋」という。
率直に言って、残念なネーミングだ。




14:56 【現在地は右画像にカーソルオン】

何の予告もなく、急に未舗装になっちゃった。


つうか、公園はもう終わり?

終わりなんだろう。

例の案内板を思い出すと、「並木トンネル」があるのは「並木運動公園」という場所で、十二ノ森公園から600mくらい離れていることになっていた。

この道の先に、別の公園があると言うことか…。

トンネルも…ほんとうに……  あるのか?




この先にトンネル?

狐か狸に騙されているような気分になりながらも、特に立入禁止なども無いわけで、だらだらと進んでいる。
この辺りまで来ると、最初はあんなに急だった上りもほとんど平坦に近付いていた。

この道は外見的には完全にただの林道であり、公園と公園を結ぶ以外に何か使い出があるとも思えないのに、子供に媚びるところがない。

だが、この道を漫然走行中、それは突然に現れた。








“それ” 出現中!



え?  分からない?

見えない??


確かにまだ見えにくいかも。




 チラッ

というレベルをもう超えている(笑)。


はい、出現。

出現しました、公園のトンネルが。



…公園のトンネル??

これが?




おい!

これが、公園のトンネルか?!


なんか、コワモテすぎないか?


つうか、
そもそもがデカ過ぎね?

これじゃ、手前の道がゴミのようだろ。






これは絶対に何かおかしい!!






このタネは、次回明らかに。