加賀沢橋からは、目線の高さに高山本線の第一宮川橋梁を望見する。
そして鉄橋は、その背後の川沿いを通る旧国道をほとんど完全にブラインドしていた。
もし鉄橋が無ければ旧国道はここからよく見えるはずで、万才橋や大決壊の状況も一目瞭然だったろう。(確認していないが、高山本線の車窓からは、それらが大変良く見えると思う。)
鉄橋を渡り、そのまま加賀沢トンネルへ突入する。
工事銘板によれば全長432m、平成12年6月竣功(開通は飛越トンネルと同時の平成12年8月)という、片側に広い歩道を持つ現代的なトンネルであるが、実際には432mを走っても出口は現れない。 それが、このトンネルの大きな特徴なのだ。
フル・カバード・ブリッジという個性。
地図を見なければ、ここは単にトンネル同士をスノーシェッドで連結しただけに見えるかも知れない。
だが、それでもよく観察すれば、地上の道にはありえない橋梁用の欄干が外壁沿いに設置されている事に気づくだろう。
おそらく道路構造令に準拠するためには、欄干を外壁の鋼鉄壁で代替するわけにはいかないのだろう。
この鋼鉄のスノーシェッドこそ、宮川と県境と旧国道を一挙に跨ぐ「飛越橋」である。
現地には橋名を語る銘板も親柱も見あたらないが、手元の道路地図に注記があった。
そして私にとってはこの場所が、この探索で一二を争う正念場だった。
ここから壁の外へ出たい!!
来たッ!!
長さ100mほどの橋上スノーシェッド区間内に一箇所だけ、
外光が大きく差し込んでいる横穴があった!!!
上部に「避難口」の表示が出ていたが、私にとっては目的外使用の僥倖である!
「かならず 施錠して下さい。」
………。
だ、 大丈夫か?
ここから出ていって、そのまま締め出されたりしたら結構ショックなんだけど…。
自転車を扉の前に残していくので、万が一道路管理者がやって来たときにそれを見て配慮をしてくれる事を期待しよう。
まあ、おそらく実際にはこんな心配は杞憂で、常に開けっ放しなんだろうけれど…。
これは余談だが、飛越橋に連続している飛越トンネル。
このトンネルの工事銘板が目の届く場所に置かれていたのだが、そこにはなぜか坑門の銘板に掲げられている名前とは別の「小豆沢トンネル」という名が刻まれていた。しかもそのすぐ上に、チョークで書き足した「飛越トンネル」の文字。
稀にこのように、工事銘板と坑口の銘板とでトンネル名が食い違うことがある。
前者は工事中の仮称で、開通時により親しみやすい名前に変更した場合などが考えられる。
まるで、私を誘い込む虎穴の如くに開け放たれていた鉄扉をくぐり抜け、
太陽が照りつける明るい世界へ。
扉の外に待ち受けていたのは地面ではなく、畳一枚ほどの広さの金属製の足場であった。
紛れもなく、自分が橋の途中から外へ出たという事が感じられる場面だった。
そしてその狭い足場の中央には、地面へと通じる梯子があった。
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